リスクがあっても任せる人材育成。10兆円企業へ、先代から伝承した教えと夢
大和ハウス工業株式会社
代表取締役会長
樋口 武男
男は、創業オーナーの意志を継いで会長となった。赤字の関連会社を立て直し、本社の赤字も解消、大和ハウス工業・樋口武男(ひぐちたけお)代表取締役会長が語る、熱湯経営の哲学とは?
樋口それは僕は就任したときにマスコミの人がいろいろ取材に来るでしょう? 平成5年といったら第一次リストラブームのときですよ。で、どの新聞記者も全部「まず社長をリストラですね」と言うんですね。
蟹瀬まず人員を、要するに固定費を減らすわけですよね?
樋口リストラっていう言葉しか使わないから、「あんたらの言うリストラは、首切りか?」と「それとも本来のリストラクチャリング、事業の再構築をせいということか?」と言ったら、「当然、経費減らさないかんでしょ?」と言うから、「それやったらせん」と「わしは、本来のリストラクチャリングをやる」と。
「そうせんと、気持ちがなえてるのにリストラするって言うたら優秀なやつは辞める。そんなことしたら会社再建できへん」と。
「だから厳しくはするけど、頭から今はやりのリストラというやり方はせん」と。で、「厳しくする!」と宣言したんですよ。で、厳しくすると、1年で120人ぐらい辞めましたよ。
蟹瀬やっぱりですね。
樋口そうすると、人事課長が「大変です」と「退職者が多過ぎます」と言うから、「退職者が多いことが大変なのか?」と、「どういう人が辞めたのかということを知った上で言え」と言って「調べてみ」と、「多分、元年、2年、3年のバブルの最盛期に入った人が大半と違うか、それを調べてから来い!」と言って、で、やっぱりそうだった。
蟹瀬いわゆる苦労しないでほいほいと時代の流れで入ってきた。
樋口そうです。で、中途採用もする、新卒もするということで、8カ所ぐらいあった支店をずっと20カ所ぐらいまで広げると、拡大すると、で夢が……。
蟹瀬減ったらそれでいいというのではなくて、そこから新規に採用していったわけですか?新しい人材を。
樋口そうです。
蟹瀬これはだけど英断ですね。リスクももちろん伴うわけでしょうしね。
樋口だけど、社員に夢を与えないと「頑張れ!」言ったってなんのために頑張るのかということがないと駄目でしょう?
蟹瀬その過去の往復ビンタの経験があるから(笑)。
樋口そのときに気持ちが一つになったのは、コミュニケーションですよ。だから団地にもそれを応用したんです。全部、860人ですから、管理職は個別面談できますよね。あと中堅社員、若手社員って分けてグループ懇談会やるじゃないですか。幸いにして拠点が少ないから回っていけるわけですよね。
蟹瀬ご自身も現場のほう随分行かれた?
樋口マンションやってる土地の購入するときは、やっぱり初めは稟議書(りんぎしょ)で起案者から私の所に来るまで2週間ぐらいかかるんですよ。で、……。
蟹瀬順番にはんこを押してって?
樋口ええ、順番に判を押して14ぐらい判を押して。
蟹瀬14個?
樋口それでその判を押している役員つかまえて「これ、おまえ見てきたんか?」と。「いやー」こんな言うから、「見てなかってどっちがええか悪いかわかるんか?」と。「だから私が全部見る」と言って全部現場へ行って、その場でやりとりして「行け」とか「やめとけ」とか、これやりました。
蟹瀬大体、いい物件なんていうのは、そんな14個もはんこ押してるうちになくなってしまいますよね?
樋口おっしゃる通り。
蟹瀬やっぱりスピードというのはものすごく重要な。
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