「平和産業」小売りの雄だから見据える、アジアから世界への社会貢献とは


イオン株式会社
名誉会長相談役
岡田 卓也

特選インタビュー

焦土に開く、1946年7月、一枚のチラシが人々に新しい時代の訪れを告げた。後の4グループを率いる岡田卓也(おかだ たくや)は、小売業は平和産業という信念のもと、受け継いだ老舗の呉服店岡田屋に変革をもたらしていく。
いち早く多店舗戦略に乗り出し、1969年には総合スーパージャスコを展開。そして現在、一大チェーンストア、イオンを始め、国内外180の企業からなるイオングループを築き上げた。半世紀以上にわたり経営のトップとして事業をけん引してきた岡田卓也が説く企業の大義とは。上海の国際チャンネルで、中国初の日本語による報道番組のプデューサー兼キャスターを務める呉四海(ウー・スーハイ)がその核心に迫る。

イオン1%クラブとは

岡田最初は日本でもあまり社会貢献活動ということについては、日本はだいぶ遅れていたんですよ。まだ東欧諸国だとかアメリカの方がはるかに進んでおりまして、私どもはかつてアメリカのゼネラルミルズという企業と提携しまして、例えばタボットという子会社ですから、そういうところと一緒になってやりましたリ、デートロスターという子会社があってそういうところと一緒に展開をしたりしたわけです。
度々、本社のあるアメリカのミネアポリスというところに訪問いたしますと、ミネアポリスと言うのはアメリカの中でも貢献活動が非常に盛んなところでありまして1%クラブ、3%クラブ、ハイ%クラブっていうのがいっぱいありまして、スリーエムさんとかゼネラルミルズもそうでありますけれども、立派な企業が社会貢献活動をしておるのを目の当たりに見たわけです。特に今、ターゲットというアメリカで非常に成長しております、スカルトストアー、巨大な企業でありますけれども、その親会社がミネアポリスに百貨店がございまして、そこがどんどん社会貢献活動を早くからやっておったんです。
ところが、そこが買収されかかった時に市民の方々が、これだけ社会貢献活動をするところの経営が変わったら困ると言って、州法まで変えて阻止されたという歴史があるんですよ。しかもそれが小売業だったということ、私はそれでそういうことからも学んで1%クラブというのを作ったわけです。それからもっと他にも学ぶところがあったんです。これは韓国の企業から学んだんです。韓国の企業からは、お店の一定の地域、そして社会貢献活動のボランティアの方々に貢献するというので、月のうちで1日だけをレシートの色を変えるんです、お買い物の。そのレシートを、どこの社会貢献活動の団体にあなたは応援しますかという形で、それを入れるわけです。
そうしますと、そのお買い物をされた方のレシートですから、その1%を社会貢献しているその団体に寄付するいう運動を韓国で私は学びまして、早速日本に持ってきまして、今黄色いレシートというので、イオンのそれぞれのお店でそれもやっているわけでありますね。だから色んなところにそれを学んだわけですけれども、1%クラブを作って、例えば一つは学校を作ると。

学校建設支援事業

岡田カンボジアでは非常に地雷がたくさんございまして、タイの国境辺りに。そしてそれに傷ついた子供たちが一時たくさんおったわけです。それに日本赤十字社さんと一緒になって、医師センターを運営するというのに応援したりとかですね。学校はもう300校以上、東南アジアの、カンボジアとかベトナムだとか、あるいはラオスとか、そういうところにどんどん作って子供たちが学ぶと。

日中高校生交流事業

岡田それからあるいは高校生の交流。今年も日中友好40周年ということで、北京から100人の高校生の方が日本にいらっしゃる。そして日本からも100名の高校生が北京に行くというような交流を、これもずっと続けております、10何年以上も続けておるわけですね、各国の。そういう形で色んな意味での社会貢献活動をしていく。その中でも特にアジアとの、あるいは中国の中での交流というのは、そういう若い人たちからやれば変わってくると思うんですね。
だから早稲田と高麗大学と北京の清華大学とこの3つの学生さんたち20名ずつ60名日本に来ていただいて環境フォーラムをやっていただくと。そういうことを色々と交流を含めることが、またそれぞれの国との振興にもなり、発展にもつながるだろうというふうに考えております。

日本は今、アジアそして世界をまたがる国際企業に発展してきたんですけれども、会長は小売業に携わってこられまして、今振り返ってみてよかったなと思った点がございましたら聞かせてください。

岡田やっぱりすでに日本でもGDPの関数は個人消費なんですよ。だけどまだ日本では小売業の地位は低いんです。だからこれを変えなければならないと、これは私どもの世代では成し遂げられなかったことだと思うんですけどね。
しかしそれと同時に、GDPの関数が個人消費であるということと同時に、それだけのたくさんの国民の方々が我々の流通業等を活用していただいているんですよね。そういう意味では社会的に意味があった事業を一生やれたということは非常に喜んでおりますね。これをもっと、もっと日本だけでなくして、ずっと平和が続く限り、諸外国で展開をしていって、諸外国の方々の生活を豊かにしていきたいというふうに思っております。

小さいころからお父さんを亡くされて、お母さん、そしてお母さんの祖父ということで色んなことを学んでこられたんですけれども、今すごく印象に残っている教訓というか出来事というか、あるいはお言葉があれば、ぜひ聞かせてください。

岡田私は先ほどのお話のように、父親を2歳で亡くしておりまして、父親の顔は知らないんですけど、やっぱりいろんな困難に打ち勝っていくことこそ、あとは楽しい人生があるということだと思うんですね。
だから必ずしも苦境に立った時っていうのはその苦境を乗り越えれていけばそこに新しい道が開けていくというように思うんです。私どももただ単に色んな曲面やあるいは経済の変化等にはあったわけでありますけども、絶えずそれを克服すれば必ず新しい道が開けるということだと思いますね。

会長が書かれた本を拝読しますと、道徳、経済、科学と三位一体とおっしゃっていますけれども、この真意をもう一度ここで。

岡田それは私の祖父がそういうことを絶えず色紙に書いておったわけでありますね。それと私どもの古い書類の中にも倫理観というものを非常に大事にしてきたということだと思いますね。そういうものがあってこそ企業の永続性もあるというふうに思うんです。そして単に企業が拡大するとか収益を上げるということだけが企業の使命ではないというように思うんですね。

白石今日は大変貴重なお話を聞けましたね。どうもありがとうございました。

岡田ありがとうございました。

岡田やっぱりいろんな困難に打ち勝っていくことこそ、あとは楽しい人生があるということだと思うんですね。私どももただ単に色んな曲面や経済の変化等にはあったわけですけれども、絶えずそれを克服すれば、必ず新しい道が開けるということだと思いますね。

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出演者情報

  • 岡田 卓也
  • 1925年
  • 三重県
  • 早稲田大学

企業情報

  • イオン株式会社
  • 放送日 2012.06.24
  • 業種:
  • スーパーマーケット 商社(食品・農林・水産) 専門店(アパレル・ファッション関連) 食品 専門店(複合)
  • 本社:
  • 千葉県
  • 所在地住所:
  • 千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1
  • 資本金:
  • 489億7,000万円
  • 売上高
  • 2兆1,853億円(2017年2月現在)
  • 従業員:
  • 8万5,492名(2017年2月現在)

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