「平和産業」小売りの雄だから見据える、アジアから世界への社会貢献とは


イオン株式会社
名誉会長相談役
岡田 卓也

特選インタビュー

焦土に開く、1946年7月、一枚のチラシが人々に新しい時代の訪れを告げた。後の4グループを率いる岡田卓也(おかだ たくや)は、小売業は平和産業という信念のもと、受け継いだ老舗の呉服店岡田屋に変革をもたらしていく。
いち早く多店舗戦略に乗り出し、1969年には総合スーパージャスコを展開。そして現在、一大チェーンストア、イオンを始め、国内外180の企業からなるイオングループを築き上げた。半世紀以上にわたり経営のトップとして事業をけん引してきた岡田卓也が説く企業の大義とは。上海の国際チャンネルで、中国初の日本語による報道番組のプデューサー兼キャスターを務める呉四海(ウー・スーハイ)がその核心に迫る。

企業の歴史は、合併の歴史

岡田例えば私の郷土でありました四日市には、三重紡績というのがあって、そしてそれが大阪紡績と合併して、そして東洋紡績。戦前の日本の最大の産業が紡績だったんですね。それで日本一の紡績会社になった。
もう一つは伊勢電鉄という郷里にありまして、それが大阪軌道、あるいは奈良鉄道とが合併して近畿日本鉄道という日本で一番電車の路線の長い鉄道会社になったという歴史があるわけです。そういう歴史を見て、私も企業は合併の歴史だと考えて、そしていろんな方に呼び掛けたんですよ。呼びかけても、どうするんだということで話はなかったんですけど、たまたま意気投合して姫路の二見、後ほどそれに参加してくれたその他いくつかの企業と合併を繰り返してジャスコ、Japan United Stores Company(ジャパン・ユナイテッド・ストアーズ・カンパニー)っていう名前を略してジャスコっていう名前を付けたんです。
ところがその頃、新しい本当の専門店が日本になかった。ショッピングセンターを作っていく中で、そういうところに入っていただく専門店、これを例えば英国のビューラーシティだとか、そういうのとかあるいは、アメリカでタロットとか、こういうところと提携して日本に進出してもらうこと考えて色々そういうことをやりました。
そうするとグループの中のスーパーだけじゃなくて、力添えだけじゃなくてという、そういう考え方もありましたし、いよいよあと10年で30年だという危機感もあって、グループだけはやっとイオングループという名前に変えていったということもあるわけです。

グループの発展は合併、それからM & Aにあるということなんですけれども、ジャスコグループ、イオングループの発展の中で、それぞれ印象に残った合併というか、M & Aというのはあるんでしょうか。

岡田最初の合併というのは、私らは心の合併といったわけです。やっぱり合併でうまくいくか、いかないのかというのはお互いにその合併した企業の全員が、心が一つにならないとなかなか上手くいかないんですね。
だからよく言われるのが、その時に入った新入社員が常務ぐらいになるまでその合併は時間がかかると、本当の合併は。と言われることもあるんですけどね。そういうことも含めて私たちは心の合併ということを体験しました。そしてお互いに交流する。だから、最初に合併した時の本社はワンフロアー、壁はなし、という本社にいたしました。


心の合併を成功させ、小売業の新たなビジネスモデルを築き上げた岡田卓也。企業の原点を象徴する次なる言葉とは。

白石Leader & Innovation・賢者の選択、今回お招きしておりますゲストは、イオン株式会社名誉会長相談役の岡田卓也さんです。よろしくお願いします。では、続いての企業の原点を象徴する言葉は何でしょうか。

岡田卓也 企業の原点② 焦土に開く

岡田私は、ちょうど戦後何もないところで、お店を始める、そのたびに、チラシを初めての店にまいたんです。学生だったもんですから、ほんと言うと、チラシの原則ではないんですけど「焦土に開く」という題をつけたんです。そうしましたらお客様がそのチラシをもって、店頭に並ばれました。そして涙を流して「やっと戦争が終わった」とおっしゃったんですよ。それまでにもラジオとかそういうもので、新聞等で戦争が終わってから1年以上も経っているんですね。
それに関わらず、小売店がチラシをまく、これが平和の象徴だと思ったんですね。小売業っていうのはやっぱり平和産業だと言い続けてきたわけです。そしてちょうどジャスコができて20年たった時に、私は、3つの原則を唱えたわけです。一つは、絶えず革新をし続ける企業集団であって、お客様第一だと、そして「平和産業」であると、同時に「人間産業」であると、そして「地域産業」であると。それを3つの原則を決めたわけです。これはずっと今もイオンの原則になっております。

平和産業と人間産業と地域産業ね。

岡田だからこれらの違いは、毎日平和でないと成立しないということでありますね。同時に毎日お客様という人間と我々の企業の社員さんが絶えずそこでお目にかかってサービスをしたり、人間同士の心と心が通い合うことがその一つの小売業の繁栄につながるだろうというように思いますね。
それからそれぞれの世帯やそれぞれの地域、それぞれの大学の学区にはそれぞれの地域がある。そこの地域にもきちっと貢献もしていくということであると思うんですね。そういう意味で地域に貢献しながら、地域の方々から信頼を受けて、そして繁栄をしていくというのが原則であると思うんです。


イオングループの海外展開、それはマレーシアから始まった。1985年首都クアラルンプールに海外1号店を開店。1996年にはクアラルンプール証券取引所メインボードに株式上場を果たした。現在イオングループはASEAN諸国、中国をはじめ11の国と地域で事業を展開している。海外進出のきっかけ、そしてそこに流れる岡田の基本理念とは何なのか。

マハティール元首相との出会い

岡田マハティール首相が25年くらい前、もっと前になりますかね、首相におなりになって初めて我が国を訪問されました。

マレーシアの。

岡田はい。マレーシアの首相。その時に迎賓館でお目にかかりまして、そしたらマハティールさんの方から、マレーシアの小売業の近代化に協力をしてくれというご要請でございまして、それからすぐに私もマレーシアに参りまして、マハティールさんとお目にかかってマレーシアで小売業を展開いたしました。
私どもは原則として、マレーシアにおきましても香港におきましても、全部現地の企業として、ということは現地の証券取引上に全部上場しておりますし、その他私どもの子会社のクレジット会社も、香港もタイもマレーシアも全部現地で株式を公開しています。そしてそれぞれのトップは、全部現地の人が小売業の場合は現地の方が全部トップになっております。ここ10年まさにアジアの時代が、私は来たと思っておりまして、アジアでいろいろな展開を今、始めておるわけです。

当時はマレーシアで店を出店されたということなんですけれども、やっぱり何か苦労されたことはあるんでしょうか。

岡田最初は全然生活も違いますから、だからそういう点では色々苦労したわけですけど、それは現地を主体に、マレーシアのお客様を主体に考えれば解決していく問題だと思うんですね。現地の方の意見もよく聞いてという意味で、マレーシアも香港も今やトップは全部現地の方ですから。

香港とかあるいは中国に出展されたきっかけは何でしょうか。

香港 中国 出店のきっかけ

岡田香港は香港の方からぜひ来てほしいという要望でございました、最初は。中国もすごく似たケースでございましたですね、最初は。出店の要請のようなものでした。私は特に将来非常に変化するであろうと思って、例えば、15年ほど前に山東省のチンタオのお店なんか、中国にその頃ない店を作ろうと思って、駐車場のある店を作ったんですね。車でいらっしゃるお客さんはそんないませんよと言われたんですが、あっという間に車でいらっしゃるお客様がどんどん増えたと。周りは何にもその時はなかったんですが、今は車が渋滞し、周りには高いビルが連立するような立地に変わりましたね。ということは非常に大きく、日本の変化の、私は4倍以上のスピードで中国や東南アジアでは変化をしているんではないかとさえ今思っているんです。

その後、これからどんどん中国、中日ということで巨大なマーケットに対して、イオンさんとしてはこれから中国へのこういう進出に関してはどういういうお考えをおもちでしょうか。

岡田原点は同じなんですよね。どの国においても、その国の生活者の、いわゆる私どもから言えばお客様のためになる店は何かということで、展開をすべきだと。でその地域の発展に寄与するかどうかということだろうと思うんですね。

白石今の時代だからこそ重要なことって言うと、お客様にとってもどんなことだと思われますか。

岡田今はまだ、どんどんモータリゼーションもまだ発達している時ありますから、それにふさわしいような店舗がまだ中国、東南アジアでは必要でしょうね。もっとしばらく経てば、日本は今高齢化社会に入ってきているわけですから、中国もかなり高齢化社会には急速になることもあるわけですからね。だから時代はどんどん変わってきますから、その時代に合わせた形でどういう展開をし、変化に対応していくかということだと思いますね。


1998年イオン環境財団の呼びかけで始まった、万里の長城・森の再生プロジェクト。これまでに日中のボランティア延べ1万5000人がこの活動に参加した。そして、プロジェクト開始から12年後の2010年、植樹された木の数は100万本に達した。自ら現地に赴き、木を植えていく岡田。植樹活動にかけるその思いとはどのようなものなのか。

出演者情報

  • 岡田 卓也
  • 1925年
  • 三重県
  • 早稲田大学

企業情報

  • イオン株式会社
  • 放送日 2012.06.24
  • 業種:
  • スーパーマーケット 商社(食品・農林・水産) 専門店(アパレル・ファッション関連) 食品 専門店(複合)
  • 本社:
  • 千葉県
  • 所在地住所:
  • 千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1
  • 資本金:
  • 489億7,000万円
  • 売上高
  • 2兆1,853億円(2017年2月現在)
  • 従業員:
  • 8万5,492名(2017年2月現在)

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