「シルクロードを逆走せよ」マーケットの見方を変えるために必要なこととは?!
クオンタムリープ株式会社
代表取締役社長
出井 伸之
日本が取るべきアジア戦略。次世代を担う起業家たちの育成。山積する日本経済の問題、課題。そんな中、一人の男が新たな会社を立ち上げた。日本が誇る世界企業ソニーを牽引してきた男である。新たにクオンタムリープ株式会社を設立した代表取締役、出井伸之は、これから何をなそうとしているのだろうか。その理念と戦略、その全容に迫る。
蟹瀬今日は、本当にお忙しい中ありがとうございます。
出井いえ、とんでもない。
蟹瀬出井さんというと私のイメージでは、あまり日本にいなくて世界中を飛び回っているイメージなのですけれども。今でもけっこう行かれているのですよね。
出井そうですね。ええ。
蟹瀬どのあたりにいるのですか?
出井おととい、ニュヨークから帰ってきました。最近、行くとこはアジアが多いんですよ。
蟹瀬それは、どういう理由からですか?
出井ニーズが高いっていうか。要するに、日本から学びたいっていう人がけっこう多くて。
蟹瀬今回は、クオンタムリープという新しい会社を作られて、そしてそこで何を出井さんがやろうとしているのか。今日は、是非詳しくお伺いしたいなと思っています。
出井なかなか分かりにくいんですけれども。
石田まずは、出井社長のプロフィールをご紹介させていただきます。1937年東京生まれ、1960年に早稲田大学を卒業して、ソニー株式会社に入社。1995年、社長兼COOに就任後、会長兼グループCEOなど10年にわたって歴任。2005年、ソニー会長兼グループCEOを退任。2006年9月にクオンタムリープ株式会社を設立され、現在に至ります。
石田さっそくですけども、このクオンタムリープってどういう意味なのでしょうか?
出井あのね。量子力学の言葉なんですけど、アメリカ人だと口語でジャンプするって使われるんです。成長するとか。ソニーに私が入って、それから出るまでに、900倍になったんです、売り上げが。ということは、クオンタムリープを何回もやったと。それで、自分で会社作った時には、クオンタムリープってつけようと。リープスってSが付いているでしょう。
蟹瀬何回も飛ぶ。
石田ジャンプしていくっていう。
蟹瀬日本語にするとカエル飛びみたいな感じですよね。
出井カエルってすぐに落っこちちゃうんじゃない。
蟹瀬ビューッと飛び上がっていく・・・。
出井ゴルフでも何でもそうなんですけど、やっていて時間が経つと急に上手くなる時があるんですよ。それが、クオンタムリープですね。
蟹瀬それを繰り返していくと。
出井日本は、やっぱり今はクオンタムリープが必要だと思っています。
蟹瀬日本は昔ながらのモデルの連続性っていうのですかね。そういうものが重視されている気がするのですけれども。
出井それも・・・。
蟹瀬違うのですか。
出井それもあるけれど。日本ほど、時代、時代に合わせて飛んできた国も無いでしょう。坂本竜馬なんてクオンタムリープを起こせって言ったわけじゃない。ああいうことですよね。
石田そうですね。
出井ああいうことですよね。でも、明治維新が起きてから何しようかって、そんなに明瞭に思っているわけじゃない。飛ぼうという。飛んで、世の中ずっと飛んで、戦後もすごく飛んだっていうのがあるから。まあ、けっこう皆、自信ないですけど。日本くらい飛んできた国は無いんですよね。
蟹瀬そうか。そういうふうにも見られるってことなのだね。
石田そのクオンタムリープの会社なのですけれども、どれくらいの規模。スタッフの皆様、どれくらいいらっしゃるのでしょうか?
出井会社の規模は、出来るだけ小さくしようと思っていたの。ソニーって物凄く巨大な企業でしょう。なるべく小さくして、その代わり個人の自分の会社であることで働こうと。個人事業主の集団みたいにしたいわけ。今までの会社だと正社員とか派遣というわけです。ではなくて、僕の会社で働いている時は、その一定の時間を捧げてくれれば、それで契約しましょうっていう。そういう会社なんですよね。
蟹瀬何人くらい、いらっしゃるのですか?
出井今、全体で名刺を持っている人は30人くらいいますかね。だけど、その他は、一生懸命プロジェクトで働いている人がたくさんいるから。今の会社の常識とちょっと合わない会社なんですけど。
蟹瀬ソニーっていう大きな会社では、社員がたくさんいて、その船を動かすっていうのは物凄く大変なわけでしょう。その辺のご苦労があって、もうそんな想いはしたくないぞという思いがあるのだと思って。
出井そんなことはない。大会社には、大会社の苦労があり、ベンチャーにはベンチャーの苦労があり、お金を借りようと思ったら個人保証もしなくてはいけないとか。まあ、いろいろあるんですよ。
蟹瀬丸の内に、ドーンと立派オフィスを構えてらっしゃるのですよね?
出井いやいや。小さなオフィスじゃないですか。ただ、眺めだけは良いんですけれどね。
蟹瀬だけど僕は、出井さんとはいろんな公私お付き合いをさせていただいてきているのですけれど。何が驚いたって、まあこういう会社を作られたことが一つの驚きなのです。それ以上に、吉本興業とね。
出井うん。
蟹瀬株の公開買い付けをやりましたよね、吉本興業と。その後、エンターテインメント部門を吉本の方が吸収するような。
出井あれはね。吉本興業っていう物凄く古い創立98年、上場してから50年なんですね。再出発したい時にファンドなんか一回入って来るじゃない。
蟹瀬ええ。
出井そういうのをしないで、私どもみたいな会社がコンサルティング会社として事業の提案をしたり。
蟹瀬コンサルティングっていう以上に、株の公開買い付けをやると。出井さんって拝見したら分かるように恰好が良くて、どちらかというとアメリカンスタイルっていうイメージが強いわけですよ。その人が、コテコテの関西の吉本をね。
出井みんな、そう言うんですけれども。実は、女房が大阪人なんですよ。だから私のやったことで唯一反対しなかったことは、吉本興業と一緒にやるのは良いんじゃないみたいな。それで、上手く再出発が出来て、非上場化して。新しい投資家を集めて、今吉本の経営陣の方たちが新しい新吉本を出発させた。
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