思いやり 癒やしスポット生む(vol.37)


BUSINESS FLASH

「パワースポット満載の青森県で癒しの神秘体験を」。
今秋、青森県が県内に点在するパワースポットとミステリーゾーンをパンフレットにまとめ、『祈りと癒しの美知の国』として、全国の旅行会社などにプレゼンテーションを始めた。

三村県内には、身近すぎて気づかなかった〝癒しスポット〟がたくさんあります。これを全国に発信して、青森だけでなく東北全体の観光に活気を与えたいと思っています。

と青森県知事の三村申吾さん(55)。現地で開催した発表会では、自ら壇上に立ち、パワースポットの魅力をアピールした。

今回発表されたパワースポットは、世界的に有名な「恐山」をはじめ、およそ40カ所。不思議な雰囲気が漂うミステリーゾーンも多く、合わせて約60カ所を〝癒しスポット〟に認定した。
今後も県内の市町村に呼びかけ、潜在するスポットを発掘していくという。

たとえば、青森駅から車でおよそ1時間。五所川原市の山奥に、なんとも神秘的な巨木が天に向かってそびえている。樹齢約800年、樹高33メートル。幹周り7メートルを超える巨大ヒバで、太い幹から12本の枝が伸びていることから「十二本ヤス」と呼ばれており、「若者が山の魔物を退治したとき、供養のために植えた」という伝説が伝わる。

三村新しい枝が出て13本になると、必ず1本の枝が枯れ、いつも12本を保つ不思議な木です。この『12』は山の神祭日に通じる神聖な数で、神が宿るといわれているんですよ。

観衆を笑わせながら、ポイントをひとことで伝えるコミュニケーションセンスに、思わず引き込まれてしまう。
津軽地方の神社の鳥居には、ユニークな小鬼が座っているという。
その数なんと30カ所以上。
神社へ行くと、まるで相撲のシコを踏んでいるような小さな鬼が、鳥居から参拝する人たちを見下ろしている。

この鬼は「鬼コ」と呼ばれ、魔除けともいわれている。そんな〝鬼信仰〟から、2月3日の節分には「福は内、鬼も内」と唱えるそうだ。たしかに〝癒しスポット〟である。
しかし、雪国の青森県が、なぜこれから本格的な寒さを迎えるこの時期に、新しい観光スポットを打ち出すのか。

三村東日本大震災で家族を失った人たちが、恐山へ会いに来られるのですが、冬になると、雪のため入山できない。だから、この時期に〝癒しスポット〟を発表したんです。

そんな思いで、県内の占い師を紹介した「占いのまちマップ」も制作した。
12月から2月までの3カ月間、青森駅近くの商業ビルに占い師を集めたイベントも開く予定だ。

被災者を思いやる温かい心が、秘められた観光スポットを発掘させたのかもしれない。

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  • 公開日 2011.12.26

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