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秘仏の写真ばかり約200点を集めた美術館「空海の曼荼羅(まんだら) 風の櫻美術館」が今月18日、徳島県にオープンする。
四国八十八箇所をはじめ、高野山や京都の秘仏写真を収蔵する。
すべて写真家の櫻井恵武(めぐむ)さん(69)の作品である。
櫻井ーー私は49歳のとき大病を患って臨死体験をし、即身定仏の夢を見ました。その夢が忘れられず、その後の人生をかけて秘仏の写真を撮ろうと決意したんです。
と櫻井さん。
そして得度し、4年間高野山で密教を学んだ。
櫻井ーー仏像は人間が持っている心の内面です。目では見えない真理の世界に挑戦しようと思いました。
櫻井さんはもともと東京を拠点に活動する写真家だったが、僧侶になってからはひたすら秘仏を撮り続けた。
僧侶といえども、秘仏の撮影には寺院への説明が欠かせない。
櫻井さんはおよそ15年間かけて四国八十八箇所ひとつひとつを訪ね、丁寧に交渉を重ねた。
その後、京都や高野山の寺院にも足を運び、そうして撮影した写真は200点を超えた。
櫻井ーーこれまでさまざまなところで写真展を開催しましたが、徳島の人たちのご協力をいただいて、美術館を開くことになりました。とてもありがたいことです。私も東京から徳島に居所を移しました。
徳島といえば四国八十八箇所巡りの起点。最初に秘仏の写真を観ることに、どんな意味があるのだろうか。
櫻井ーー徳島の剣山(つるぎさん)に邪馬(やま)台国が存在したという説もあります。もし本当だとすれば、徳島は日本の起源ということもできます。秘仏の写真を公開するのに最もふさわしい場所といえます。
現在、櫻井さんは清流・吉野川の近くに建つ古城「川島城」の正面に住居を構え、開館に向けて準備を進めている。
櫻井ーーそれほど大きな美術館ではないので、写真は季節ごとに40点から50点づつ、入れ替えながら公開しようと思っています。季節ごとに秘仏の魅力を感じてもらえればと思います。
その作品を見せてもらった。
まっすぐに力強い視線を浴びせてくる仏像、穏やかな表情に引き込まれそうになる観音像…まるで生きているような顔である。
じっと見つめていると、語りかけてくるような錯覚さえ覚えた。櫻井さんの写真には魂が入っているようだ。
櫻井ーーこの写真が1人でも多くの人の心を癒(いや)すことができればと願っています。
四国を訪れる人たちとって、心休まるスポットになりそうだ。
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- 公開日 2011.06.10
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