琵琶湖型経営!?「全部が力を合わせ、目標に向かっていこうやないか」の迫力
ヘリオス テクノ ホールディング株式会社
代表取締役社長
斉藤 定一
「でっかい恐竜(大企業)が生き延びたわけではないし、一番長く地球で生き延びたのはね、ウイルス(中小企業)ですよ」。小さな会社ほど、変化しやすい。経営破綻の危機からV字回復、仰天の大逆転。ヘリオス テクノ ホールディング株式会社、斉藤定一が提唱した「琵琶湖型経営」とは?
坪井経営への道筋に光が見えたフェニックス電機。新製品の売れ行きが功を奏し、業績はV字回復を果たしました。しかし、斉藤社長の目指すゴールはさらに先にありました。
斉藤上場を果たすために、いかに引っ張っていくかと。
蟹瀬具体的にはどういうふうに進められたのでしょうか?
斉藤更生計画の中にストックオプションというのを設けたんです。これは後にも先にも、うちだけだと思います。更生計画で再建を前提にしているような更生計画、聞いたことがない。
蟹瀬まず聞いたことないですね、僕も。
斉藤だって、どこもやったことないもの。
福井どの社員の方に分配したのですか?
斉藤全員。発行株数の10パーセントを分けたの。
蟹瀬これ、本当にインセンティブになったのでしょうかね?
斉藤初めは疑心暗鬼でもね、本気でやっているというところを見せると、みんな「あれ、本気やな」と。だから、その最後の2年間くらいのクソ馬力はすごいクソ馬力だったですね。
坪井実際にストックオプションを受け取った社員の方はどう思っているのか、お話を伺いました。
関係者上場というのは本当に目先で非現実的なことで感じていましたので、斉藤社長がいるから、頑張ればなれるのかなというふうには感じましたけど。
坪井上場した瞬間のお気持ちはいかがでしたか?
関係者なんていうんですかね……、いやらしいですけど、「おっ!」って自分の頭の中で金額が浮かびましたね。
坪井こうしてフェニックス電機は経営破綻からわずか7年で株式市場への再上場を果たしました。これは当時の最短記録であり、今もなお、社員の誇りです。
フェニックス電機は2002年にジャスダックへの再上場後、2005年に東証二部、2006年に東証一部への上場を果たした。
蟹瀬とっても月並みな質問なのですけれども、再上場したときのお気持ちはどんな感じでしたか?
斉藤もともと上場会社ですから、再上場して、やっと元に戻っただけですよね。私の仕事は新しくできた株主さんに報いなければならないことです。だから、上場したことは単なるスタートに立った気持ちだったですね。
蟹瀬次へ次へと目が行くのですね。
蟹瀬僕だったら、万歳三唱ですよ。「やったぜー!」という……。
何事も人のせいにはせず、自分の問題として取り組む。すべての答えは自分の中にある。それに気づくことで、人は成長する。
福井さて、経営破綻から見事に再生された、このフェニックス電機なのですけれども、2009年に社名を今のヘリオス テクノ ホールディングに変更されていますよね。この名前を変えたというところはまずどんな意味があったのですか?
斉藤一つの会社、日本技術センターという会社を買収したんですよね。二つの会社、フェニックスと日本技術センター、二つの会社を統合するのに持ち株会社が一番簡単に統合しやすいということで……。現在はその持ち株会社の下に三つ、事業会社があるんですけども。一つはもともとランプを作っていたフェニックス電機ですね。一つはその後、買収した日本技術センター。これはエンジニアリング会社なんです。で、一番最後に買収したのはナカンテクノ。液晶ディスプレイですね。
蟹瀬今、お話を伺っていると、異業種のホールディング体制を取られていますよね。これはどういう理由からなのでしょう?
斉藤これは一つで拡大すると、非常に不安定になるんですね。会社を安定させるために事業を多角化したほうがいいなという気持ちがあったんですね。だから、一見、全然バラバラの会社を傘下に収めて、経営規模よりも事業分野を拡大しているという考え方ですね。
蟹瀬今後の展開ですけども、どのように考えていますか?
斉藤ナカンテクノの中国での販売力、フェニックスのランプの開発技術、日本技術センターのなんでも設計できるという技術者たち。これを統合してシナジー効果の出るような分野に進出したいなと。そこで具体的に考えているのが、日本が中国に生産工場を持って生産しているが、今はこれが逆転して中国のメーカーが日本でものを作る工場になっている分野。中国のファンドを引っ張りこんで、とくに私が面白そうだと思っているのは半導体関連の部品。この辺を資本業務提携で思い切って伸ばしたいなと思っています。 で、売るのはね、一番大きな市場相手に、中国と言わずに東アジアですね。中国、日本、台湾、その辺をまとめて、販売したいなと。こういう夢を持っていると……。
蟹瀬夢は広がる一方ということですね。
選択と集中、異業種統合、シナジー効果、環境に合わせて、常に変化成長する。それが斉藤が目指す永続企業。
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