国民病「アレルギー」をコントロール。患者と医師が踏み出すべき第一歩
一般社団法人 日本アレルギー学会
理事長
東田 有智
アレルギーは国民の2人に1人が持っているといわれている。しかし、アレルギーの正しい知識と経験を持つ医療従事者は非常に少ないのが実情だ。一般社団法人 日本アレルギー学会は日本のアレルギーに対する正しい知識と治療を広めるため、アレルギーのエキスパートを育てるための活動を行っている。理事長 東田有智が語るアレルギーとの付き合い方、これからのアレルギー治療の未来とは。
東田いろんな統計が出ていますが、よく使われるのは厚労省の統計だと思います。これは治療を受けている人が対象になっています。アレルギーで治療を受けてない人ってものすごくいるんですよ。今、採血でアレルギーがあるかどうかチェックすると、だいたい国民の2人に1人。
坪井2人に1人!?
東田6000万人ぐらいはいるということですね。
坪井毎年花粉症の時期になると今年から発症したっていう方も多いですよね?
東田コップに水があって、いつ水がこぼれるか、です。こぼれたときに症状が出る。だから溜まっていくとこぼれるんです。いつ(症状が)出るかってことですね。
坪井なるほど。
宮川アレルギーといいますと、結構会話中に出てきます。私は鼻の方でアレルギー性鼻炎でした。調べてもらったら、ハウスダストということなんですけど。
東田一旦、体がそれを異物と認知してしまう、感じてしまった以上はもうずっとそれはもう感じたままです。
宮川そうなんですか。
東田だから、ハウスダストっていうのは家のホコリです。避けようがないじゃないですか。
宮川そうですね。
東田だから、それが入っても反応を抑えるような治療になるわけです。
宮川(坪井さんは)なにがありますか?
坪井私は食品のアレルギーですけれど、ピーナッツとかカシューナッツとかあらゆるナッツが駄目なんです。食べると嘔吐してしまったり、気管が狭まってきてしまったりします。
東田かなり重症ですね。そういうことが起こると次に血圧が下がる。これが「アナフィラキシー」という反応です。これは命に関わります。
宮川「アナフィラキシー」ってよく聞くんですけど、どういうものなんですか?
東田ナッツ、これは体にとって抗原というわけです。この抗原に抗体を作ってしまっている。普通の免疫なら抗体ができたらいいんですけど、これはアレルギー反応なんで過剰反応しているわけです。ナッツと抗体が反応してしまって体にとって良くない物質を出します。そのときに気管が狭くなったり、血圧が下がったりしてしまう。これがアナフィラキシー反応というものですね。
坪井治療法はどういったものがあるんでしょうか?
東田アレルギーは免疫の過剰反応です。その過剰反応を抑えないといけない。免疫を抑える薬ですね。となるとステロイドがあります。ステロイドと聞いたらほとんどの人は「え!?」という。みんな怖い薬っていうイメージがありますね。
坪井そうですね。
宮川昔の話ですけど、本当私の親族の場合、非常に強い喘息でステロイド系の薬でちょっと(顔が)膨れたりとか。
東田おそらく、飲み薬でステロイドを飲まれていたと思うんですけど、がっつりステロイドを飲むと間違いなく副作用が出るんです。顔が丸くなったり、糖尿病になったりとか。だから今の喘息の治療は吸入なんですね。吸入薬でステロイドを吸う。肺の中にだけ入れるんです。全身に行かない。量的にも少ないです。マイクログラムですね。要するにそれまで病態が見えていなかったんです。
宮川はい。
東田喘息、これは「炎症」なんです。気管支炎なんですよ。
宮川はい。
東田気管支炎、要するに風邪ひきと変わらないんですよ。それが1980年代になって初めて解明されたんです。最近のことなんです。だからステロイドを使う根拠がはっきりしたのはまだその時期なんですよ。やっとそこが見えた。つまり炎症というのがわかった。今炎症を抑えるための治療になっている。
その炎症はなぜ起こるのか?今そこに入ってきた。だから、そこを完全にブロックすればおそらく喘息は治癒に持っていけるだろうと。
坪井だいぶ進んできているということなんですね。
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