日本のこれからを担う
2人の起業家。夢と情熱で
世の中に貢献するヒント
西田亮介(株式会社チトセロボティクス 代表取締役社長)
倉原直美(株式会社インフォステラ 代表取締役CEO)
近年、日本では「アントレプレナー(起業家)」、夢を持って行動に移す若者が減少してきていると言われている。そこで、今回は「日本アントレプレナー大賞」を受賞した2人の起業家を招き、起業の背景やこれからの展望を語ってもらった。2人のアントレプレナーの目に映る「夢」と「情熱」、「起業に対する姿勢」はこれからの若者に対する明確なメッセージが込められていた。
株式会社インフォステラ-2016年、現在の代表取締役CEOである倉原直美が宇宙の通信インフラ構築を目的に設立。2018年に衛星通信アンテナ共用事業の立ち上げを目指している。人類の宇宙進出に貢献をする。倉原が目指すソフトウェア技術を駆使した宇宙通信インフラとは?
ドーキンズ さて、冒頭のVTRでもご紹介ありましたが、インフォステラは「宇宙の通信インフラの構築」を目的として設立されていますが、具体的にはどういった事業なんですか?
倉原 人工衛星と通信するために地上の人間が使う設備が必要になってきます。アンテナを含む地上の設備、それをシェアするというビジネスを考えています。
インフォステラではアンテナをシェアリングすることで通信インフラを整備し、宇宙とインターネットが常時接続されている未来を創り出していくという。
ドーキンズ 今もBSのパラボラアンテナが各地にあると思うんですけど、あのアンテナではだめなんですか?
倉原 そうですね。人工衛星にもいろいろ種類があってBSのパラボラアンテナ。これぐらいのサイズのやつですね。あれは静止衛星と呼ばれる種類の衛星との通信に使われるものです。それだと使えない種類の衛星が今たくさん増えているところなんです。
通信衛星には大きく分けて2つのタイプがある。静止衛星は地球の自転速度と同じ速度で回り続けているため、地球から見ると止まっているように見える。一方、周回衛星は常に地球上を回り続け、およそ90分で地球を一周している。インフォステラはこの周回衛星を使ったビジネスを想定しているという。
ドーキンズ なぜ周回衛星を使われるんですか?
倉原 一番の理由はやっぱりカバレッジですね。静止衛星ですと同じ地点しか見ることができない。周回衛星ですと全地球をカバーできる、そういうグローバルなカバレッジが必要なサービスにおいて周回衛星が必要になってきます。
蟹瀬 コスト面ではどうなんですか?
倉原 周回衛星のコストが非常に安くなってきていて、それを使った民間のビジネスっていうのが増えてきています。
近年、周回衛星の小型化によるコストダウンで、多くの民間企業が衛星ビジネスに参入。小型化された衛星が数多く打ち上げられているという。
蟹瀬 人工衛星は非常に小型化されてきてコストダウンされて数も多くなっている。それなのになぜシェアリングする必要があるんですか?
倉原 静止衛星と呼ばれるタイプの衛星ですと、地球の自転のスピードと衛星の動いているスピードが一緒で、日本から常に同じ衛星がずっと見えているので、アンテナが一基あればいいんです。ただ周回衛星ですと、地球の自転のスピードと衛星の移動速度が違いますので、一回衛星が見え始めてから、見え終わる時間が平均10分ぐらいしかないんです。
そのウィンドウが1日あたりだいたい4回発生するんです。逆に言うと4回しかなくて、1日40分ぐらいしか一つの衛星と一つのアンテナでは通信時間が確保できない。残りの時間が衛星と通信できないので、衛星との通信機会を増やすために世界各地にアンテナを持っている必要がある。
ドーキンズ 世界各地にアンテナを持てばそれが解消するのならば、どうして皆さんそれをなさらないんですか?
倉原 設置コストがまず高いということと、効率的に大変な問題があるので、1事業者で世界各地にたくさんのアンテナを持つということが物すごく大変なんすね。
周回衛星はシステム上一つのアンテナに対し、通信可能な時間は、1日およそ40分。逆に言えば、アンテナはおよそ23時間休んでいる状態。インフォステラが目指すシェアリングは、世界中のこうした休んでいるアンテナを集めて必要としている事業者に提供するというもので、2018年には本格的にサービスを開始する予定だという。
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