地域をプロデュースする新リーダーを 動き出す地方創生のカギは人材づくり


時代刺激人 Vol. 279

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

人口減少に伴う地方消滅リスク、シャッター街化が進んで閉そく感広がる地方商店街など、数多くの問題を抱える全国各地で最近、危機感の高まりをきっかけに、自分たちの町を変えようという意欲的な取り組みが生まれ、地方も少しずつ変わりつつある。

「活力ある地域は何が違うのか
ー地域を元気にする処方箋」講演が刺激的だった

木村さんを知るきっかけになったのは、経済産業研究所セミナーでのことだ。「活力ある地域は何が違うのかーー地域を元気にする処方箋」という講演テーマが何とも刺激的で、話を聞いても面白かったので、ジャーナリストの好奇心でおつきあいを願った次第だ。
木村さんの話で興味を持ったのは、「今、地方では先取り自治体と課題を背負った自治体との差がはっきり見えてきた。『ないものねだり』から『あるもの探し』、住むまちの産業や文化など地域資源の掘り起し、独自のストーリーを作り出し個性ある展開で『定住したくなる』『行ってみたくなる』感動のまちづくり、人づくりに取り組む自治体が出てきた。『できない』理由探しではなく『できる!』をいかに実現するかが今、多くの自治体に問われている」と。

 

さらに、私の関心事の地域をプロデュースすることについて、木村さんは、こう述べている。地域を活性化するポイントとしては、地域所得・売り上げの向上につなげる事業構想、地域人財養成とその定着のシステム化、地域で汗する人を評価する仕組みづくり、女性、若手、年配者の活躍する場づくりと支援体制、まちの将来を見据えた新たな産業興しなどだ。問題は、周囲の地域資源が有用であることを自ら知り、気づき行動に移すこと、そして地域ビジネス創出、農商工連携などにつなげ、発展させることだ、という。

地域で活動する人にはリーダープロデュース役が
求められる、と指摘、自身も活動

地域をプロデュースするリーダー人材をどう作り出すべきかについて、木村さんは「地域で3、40年間ほど、常勤者として勤めている行政、商工会議所・商工会、農協・漁協、地域金融機関、小中高校の教員などが参画し、それぞれ持つ地域情報を共有し、一体感を持って、自分が何をやれるか、貢献できるか役割分担を考えることが必要だ」と述べると同時に「何が地域に重要か、必要かなどの事業構想、事業構築づくりが今後、重要になってくる。地域で長年、さまざまな活動にかかわってきた人たちには、単なる『部分最適』を大きく『全体最適』、あるいは『価値共創』に押し上げて推進するリーダー・プロデュース役が求められている」と述べている。

 

ここまでの話ならば、地方再生プロジェクトなどにかかわる専門家は同じような問題提起をする。しかし木村さんの場合、ここから他の専門家とは違うところがある。木村さんは、そういった問題提起をする一方で、自身が地域をプロデュースする外部リーダーの役割を演じるのだ。

木村さんが「地域プロデューサー人財塾」開講などを
自治体の仲間に呼びかけも

つい最近、木村さんはソーシャル・ネットワーク・システム(SNS)のフェースブック(FB)などを活用して、全国の自治体職員のうち、現場で地方創生などのプロジェクトにかかわっている仲間の人たちに対し呼びかけを行った。その呼びかけは「自治体職員から地域リーダー、地域プロデューサー人財を養成することが大事だ。各地で展開している自主勉強会の人たちが中心になって自治体間のネットワーク構築による広域連携を行うほか、状況によっては地域プロデューサー人財養成塾を開講し地域からイノベーションを起こす事業展開も必要だが、まずは世話人会をつくって意見交換から始めよう」という内容だ。

 

私は、好奇心もあったので、木村さんが呼びかけた自治体職員人たちの世話人会の初会合に参加した。東京都内で休日に開催された会合だったが、全国各地から、数多くの若手、中堅幹部などいろいろな人たちが自身の休日返上で、木村さんの呼びかけに呼応して集まったのを見て、うれしくなると同時に、みんなはヨコ連携、広域連携しながら情報収集、問題意識の共有、そして状況によっては、木村さんの指導のもと、ネットワーク構築をしてみたいのかな、と思った。
木村さんによると、この自治体職員有志を中心に「地域からイノベーションを起こすための全国自治体職員の集い」といった形にして、2016年の早い時期に動き出したい、という。これなどは、木村さんが地域をプロデュースする外部リーダーの役割を演じようとしているもので、素晴らしい取り組みだと思った。私もジャーナリストの立場で応援したいな、と思わず感じたほどだ。

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