加速する人手不足!時代を読み、日本の製造業の担い手を育成する企業の挑戦
日総工産株式会社
代表取締役社長
清水 竜一
近年、日本の労働人口の不足は深刻な社会問題となっている。海外の働き手を呼び込む動きも顕著になる中、適切な人材を適切な現場に送り込むことは雇用側と非雇用側の両方の課題だ。日総工産株式会社は人材サービス業を中心に成長してきており、日本の製造業の現場に数多くの人材を送り込み、メイドインジャパンを支えている。代表取締役社長 清水竜一が唱える「働き方改革」、その真相に迫る。
ドーキンズ 日総工産で育てた優秀な人材が、配属先で引き抜きに合うっていうことはありませんか?
清水 はい。実はそのような話っていうのは、結構多く起こっております。せっかく当社で育てた人材ですから、お客様に行ってしまうのは残念なことではあるんですけど、その方のためになる転籍の話であれば、これはもうやむを得ないというふうに思ってますし、その場合はやはり先方での正社員として雇用していただく。そして技術者とか、製造現場の管理監督者として、将来があるんであれば、そこを積極的に支援するということになっていくんじゃないかというふうに考えております。
蟹瀬 去っていくのは当然残念だと思うんですけれどもね、それだけ優秀な人材を育てたという証にもなりますよね?
清水 はい、そのことによって、次に入る方々が、日総という会社で働いてその先に、メーカーの社員、エンジニアとか製造系の管理監督者になっていくという道があるんだと、これも一つのキャリアパスの形だと思うんですね。
蟹瀬 それはプラスですね。
清水 プラスだと言えると思います。
一人ひとりが自己実現に向けて邁進することで、必要とされる人材が生まれる。
それが日総工産が作り上げる、メイド・イン・ジャパンを支える最高のプロ集団。
ドーキンズ さて、清水社長のプロフィールを拝見しますと、大学卒業後、日総工産に入社されるまで2年空いていますが、その間は何をされていたんですか?
清水 はい。実はですね、学生時代の友人の中に関西の出身者が非常に多くてですね、彼らと話していると同じ日本人でありながら、価値感がずいぶん違うなという印象があったんですね。その背景に何があるか、これはビジネスにも何か通ずるものがあるんじゃないか、ということですね。関西の会社に就職しました。
ドーキンズ その2年間で何かこう発見されたんですか?
清水 大学の同級生とデパートに買い物に行ったら、値切ってるんですねデパートで。僕はデパートで値切れるって知らなくてですね。実際に応じてくれるデパート側の姿を見て、これは営業上やっぱりカッコばかりつけてないで、合理的にいろんなものを考えるというのはあるのかなと。これが象徴的な一つの現象で、関西流と関東流の良いものをミックスすれば、営業的に非常に役に立つじゃないかな。というのが私の関西流という私なりの認識です。
蟹瀬 そして、入社されたわけですよね?一番最初どういうお仕事だったんですか?
清水 一番最初はですね、出稼ぎという言葉があって、地方から農業漁業の方々が出稼ぎに来ているので、寮に入ってるんですね。寮での面倒を見たり、工場の中で仕事をするのに必要ないろんな準備をしたり、ということと、こういう環境で仕事をさせて欲しいとかですね、残業が多すぎるとかですね、そんなことをお客様と交渉する、この二つの仕事をさせていただいておりました。
蟹瀬 元々だけどその農業だとか漁業で、シーズンオフというでしょうかね。そういうときに出稼ぎで来られるわけですよね。あの方々が忙しいときはいなくなっちゃいますよね?どうするんです?
清水 そこが実は一番問題で、実は当初我々の仕事というのは、北海道とか東北の出稼ぎの方をメインにしていたんですが、九州あるいは沖縄の出稼ぎの方々もたくさん使うようになったんですね。というのは、やはりその生産している品目とか、あるいは漁業で獲ってるお魚の種類によって、忙しい時期が違うんですね。その形をうまく繋ぎ合わせてこの仕事をしていた。
蟹瀬 日本ならではの四季があって、時期がずれているという。そうですか。そして2004年に社長に就任されてますよね?それから経済はそんなに悪くなかったと思うんですが2008年になって、リーマンショックになった。あの頃はもうはっきり覚えてますけど、いわゆる派遣切りっていう言葉がもう新聞の紙上なんかでも出てましたけれどもね。あのころはどういうふうに考えられたんですか?
清水 いやあ本当に苦しかったですし、なにせあらゆる業種の製造品の製造量がもう、ものすごい量で落ちましたんで、残念ながら雇用期間を満了してやめていただく方というのは、たくさん出たんですね。そのときに、その後、これからどうしたらいいかという非常に大きな転機が訪れました。これは何かというと、当時、通常のオペレーションするオペレーターと言われる人たちを中心に仕事をしてたんですが、やはり他社が連れてこれないような、やはり技能とか技術のレベルの高い人を、一度お客様が手放しちゃうともう戻ってきませんよと、我々が堂々と言えるそういう人材育成に取り組まなきゃいけないな、ということを強く決意致しました。
蟹瀬 だけどそれをするためには相当な投資っていうのも必要になりますよね。そのあたりの葛藤っていうのはなかったんですか?
清水 ございました。そこから株式公開の準備をして、公開をした資金を得てですね、徹底的に人作りに向き合っていこう。また、よりその方々が安定的に仕事ができるように雇用の考え方も、もう一段進めていこうということで、今も取り組んでいるところです。
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