32億円の赤字からの脱却。医薬品卸売の老舗企業が抱く「不易流行」の思い
アルフレッサ ヘルスケア株式会社
代表取締役社長
勝木 尚
平均寿命が伸びる昨今、我々の健康への意識も少しずつ高まりつつある。アルフレッサ ヘルスケア株式会社は医薬品の卸売りを中心に事業展開している企業だ。120年を超える老舗企業だが、一時期は深刻な経営不振に陥っていた。代表取締役社長 勝木 尚はこの赤字脱却のためにイノベーションを起こした。勝木が唱える「人生100年時代」に生き残る企業戦略とは?
勝木 よく経営の資源、人・モノ・カネ・情報と申します。モノは人が作り、お金は人が生み出し、情報は人が持ってくる、人、人、人と会社でやってます。ですから、人の教育を主眼に頑張っていただくと、会社は必ずや再生できるというふうに思いました。
マーケティングスペシャリストは多くの知識が必要となる。実際にどのような研修を行っているのか担当者に話を聞いた。
(インタビュー:管理本部 総務人事部 部長 中澤 勉さん)
中澤 当社は中期経営計画の中で人材育成を重点課題として掲げ、新入社員研修やOJT、CDTによる棚割り提案、全国営業担当者会議、漢方研修、階層別研修、通信教育の受講などに取り組んでおります。
通信教育につきましては2014年に資格取得・通信教育規定というものが制定されまして、社員の自己啓発やスキル向上を図ることを目的に取り組んでいます。
現在アルフレッサ ヘルスケアでは、従業員の95.8%が受講しており、2018年には日本能率協会マネジメントセンターから通信教育、優秀企業賞が贈られている。
中澤 研修で学んだ、自立自走・タイムマネジメントを自身の業務に生かしていただき、常に向上心を持って業務に取り組んでいただきたいと思います。
蟹瀬 どういうスペシャリストを育てようと思われたんですか?
勝木 お薬の多岐にわたる分野のことが総合的に判断できて、我々の業界では「棚割り」っていうんですけども、一つあるいは三尺っていうですね、90cmあるんですよ。あの棚に、どういうふうに機能的に、お客さんがわかりやすい売り場演出をするか、それを私どもはCDTと言うんですね。Consumer Decision Tree。いわゆるそれぞれの方にあった、お悩みを解決するというふうな棚割りにするためには、やはり教育は大変重要です。
福井 今のお話で、本当にこの人材育成にかなり注力されていらっしゃることはわかったのですけれども、その他に何か注力された点はありますか?
勝木 毎年1万種類ぐらい新製品が出るんです。その内、そうですね、3年5年後に残っているといいますかね。500ぐらいって実はいわれているんです。多くの商品がリニューアルの商品もあるんですけども、残念なことに姿を消している商品もあります。
その中で、やはり日の目を見ないっていったら、言い方悪いかもしれませんけれども、素晴らしい商品があったりするんですよ。これを発掘して、お客様にもっともっとPRしていく仕事こそが、我々の一つの重要な仕事ではないかなと思いまして。当社の専売商品っていうように位置づけてるんですけども、私どもが一生懸命売っていこうじゃないですかと、いうようなメーカーさん来ていただいて、商品開発して一緒に売っていくということを、実は一つの柱にしてます。
勝木 今日は一つ「しおナイン」という商品がございます。国民の癌、心疾患、心臓ですね。脳疾患、いわゆる成人病といわれる分野ですけれども、高血圧や糖尿病などのたくさんの疾患。これはもう最大の関心ですけど、その中で高血圧って実はどんどん増えてるんです。
日本高血圧学会によると、現在日本には高血圧の患者が4300万人いると推定されている。血圧の管理に最も有効といわれているのが、食塩摂取を減らすこと。WHO世界保健機関では、世界中の人の食塩摂取目標を1日5gと定めているが、日本人の平均摂取量は1日10.7gと、WHOの目標基準の倍以上となっている。日本高血圧学会は1日6g未満という目標も掲げ、毎月17日を「減塩の日」として呼び掛けている。
勝木 私が思ったのは、減塩もしますけども「もっと好きなものを食べてください。」でもその前に、2錠3錠飲んでると、塩分を排出してくれたら素晴らしいじゃないですか。
蟹瀬 そういうものがあったわけですか?
勝木 あったんです!
福井 ええ!?
こちらは、熊本県で医療製品や健康食品の製造を行っている、トイメディカル株式会社。2013年の設立以来、主にメディカル向けのディスポーザブル商品に力を入れている。ここで開発されたのが、塩分を排出するという「しおナイン」。開発経緯についてお話を聞いた。
(インタビュー:トイメディカル株式会社 代表取締役社長 竹下 英徳さん)
竹下 我々が開発いたしまして、アルギン酸塩いう昆布とか、海藻から採れる成分を主体にしております。そのアルギン酸塩が食事中の塩分、つまりナトリウムイオンと結合いたしまして、身体に吸収されるのを抑制します。
つまり、飲むだけで減塩ができるという、非常に画期的なアプローチの商品です。もともと我々、透析患者さんのテープというのを開発していたんですけれども、その中でたまたま私の友人が透析患者でして、彼曰くやはり一番困ってるのは食事なんだと、そういう話をもって、もう一度やっぱり病気になる前みたいに、熊本ラーメンを食べれる、そんな生活がしたいっていうところで、こういうニーズがあるんだけど、先生何かちょっと一緒に考えてくれませんかっていうことで、開発を始めた次第でございます。
こちらは塩分濃度計を使った実験。ナトリウムを含んだ水を塩分濃度計に入れ測定した後、しおナインのパウダーを入れて混ぜ、10分ほど経過を観察してみると、塩分濃度が下がり続けているのが分かる。これがしおナインが食事に含まれる余分な塩分を吸着し、体外に排出させる仕組みだという。しおナインを共同開発した、熊本大学の藤原博士にもお話を聞いた。
(インタビュー:熊本大学大学院 生命科学研究部 細胞病理学分野 藤原 章雄 博士)
藤原 原料は最終的にはアルギン酸塩が入ってますけれど、アルギン酸塩も2種類入ってます。しおナインの中には。それも配合割合っていうのも考えました。どのぐらいのパーセンテージずつで、配分すれば吸着が強いのか。
あと、動物実験でも効果が見られるかっていうことを、いくつか比率を評価しまして、商品になってます。トータルで考えると、やっぱり2年半くらいかかってるかなと思います。まだ、その健康食品という形ですので、しおナインを摂取することで、少しでも塩分排出することで、体の健康が少しでも体調いいなと思ってくれればいいかなと思ってます。
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