



「行き過ぎた円安だ」と思わず叫びたくなる状況が最近、東京外国為替市場を含めたグローバルな外為市場で起きている。この状況が続けば、日本は「弱くて安い通貨」の国だ、と世界中から見られかねない。それだけに、日本にとって対応が重大課題となってくる。
円と米国ドルの為替レートが最近、円安・ドル高方向に大きくシフトし、一時、1ドル163.18円という値をつけ、その後も163円台前半での円安が続いている。1ドル80円を割り込む円高で大騒ぎした時期に比べると、2倍の開きがある。その比較で見ても、現状は明らかに異常で、「弱くて安い通貨」という市場の円評価となってしまう。
関係者によると1986年12月以来、39年半ぶりの円安で、歴史的レベルという。
こうしてみると、円安への政策対応は重要だ。円安状態が長引けば、輸入品価格が円換算で跳ね上がり、国内物価押し上げにつながる。輸入インフレリスクへの対応が課題となる。
円安の行き過ぎに歯止めをかける対応策は、いろいろあるが、ドル売り・円買い為替介入もその1つ。しかしドル売り為替介入が巨額になれば、ドル基軸通貨国で同盟関係にある米国の神経を逆なでしかねず、日本としても、大胆な為替介入を躊躇せざるを得ない。
他方で、為替介入は、ドル・円取引の流れを、市場介入で半ば強引に変えようというもので、通貨当局が巨大外国為替市場に立ち向かうには限界がある。現に、2026年4月末から1か月間、政府が、円安行き過ぎ是正に向け11兆7349億円の巨額介入を行い、5円ほど円高に振れたが、介入前レベルに戻り、為替介入効果は一時的でしかなかった。
日米間の金利差が円安を招いているのも無視できない。低い金利で調達した円資金を割高金利の米国で運用する「円キャリートレード」が活発化、その結果、円売り・ドル買いが進んで「行き過ぎた円安」になってしまっている。
日銀は2026年6月16日の金融政策決定会合で政策金利を1.0%に引き上げたが、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利の誘導目標との間で、まだ2.50~2.75%の金利差があり、これがドル高・円安要因となっている。ただ、為替対応のために金融政策を発動することは、政策混乱を招きかねず、あり得ないことなので、状況を見守るしかない。
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