内向きの日本、メジャー大谷選手ら若手の活躍で変わるか?

2024/8/30

日本全体に連鎖し世代交代のきっかけになればベスト

米メジャーリーグ野球での大谷翔平選手ら日本人選手のアクティブな活躍は全く見事だ。異文化が錯そうする米国で、人種を超えてあらゆる人たちを興奮させているのだから、素晴らしい。彼ら若手の行動は、今や内向き思考の強かった日本人を刺激しつつある。

パリ五輪で世界の強豪を抑えて金メダルをとった陸上のやり投げ、体操、レスリング、柔道、ブレイキン、フェンシングなどの若手世代の動きも同じ。どれをとっても素晴らしかった。この感動が日本中に連鎖し、世代交代のきっかけになれば、間違いなくベストだ。

健康被害が問われる小林製薬の前会長の企業私物化は驚き

そんな中で、冒頭から、世代交代がらみで、あまり楽しくない話を1つ。創業者一族の関与する企業の長老が、経営を私物化する問題が最近、判明した。その企業は、紅麹(こうじ)サプリメントで数多くの消費者に腎臓病被害などを引き起こし、企業責任が問われている小林製薬(山根聡社長、本社大阪)で、問題の長老は、小林一雅前会長のことだ。

小林氏は経営責任をとり会長職辞任の意向を示したあと、7月23日付けで特別顧問職に就いた際、事業再建へのアドバイス名目で、何と月額200万円の報酬を要求したのだ。同社規定では、顧問職の報酬は月額50万円なので、要求報酬額は4倍にあたる。その一方で、健康被害で企業責任が問われているのに、関係者によると、小林氏は「現場が対応する問題だ」とし、我れ関せずの姿勢だった、というから驚きだ。

創業者一族保有株の「数の論理」で経営ガバナンスが効かず

小林製薬の山根社長は8月8日の会見で、紅麹サプリ事業からの撤退を表明すると同時に、補償対応に関して「誠実に対応させていただく」と述べた。しかし、巨額報酬問題に関しては、社外取締役4人を含む7人の取締役会で、議論があったものの、最終的に承認した、という。企業経営ガバナンスは全く効かず状態だのだ。

前述の関係者の話では、社外取締役の中にガバナンス問題専門家の伊藤邦雄一橋大名誉教授がいたが、小林製薬の株式の30%を持つ創業者一族の中核に小林氏が隠然たる力を持っているため、賛成多数の「数の論理」で承認となった、という。本来ならば、長老の企業私物化に反発し、小林氏への特別顧問職解任決議といった事態に持ち込むべきなのに、取締役会は積極対応しなかった。消費者がこのまま見過ごすと思っているのだろうか。

着実に進む日本の衰退、若手政治家はなぜ動かない?

2024/5/15

円相場は1995年時に比べ通貨価値が半減のリスク

日本は今や政治の劣化がひどすぎる。経済も着実に衰退が進みつつある。その1つが大幅な円安だ。対米国ドル為替レートが最近、一時的とはいえ、1ドル160円台をつけた。1995年4月に記録した1ドル80円割れの円高時に比べて通貨価値は半減、しかも円の対外購買力も大幅に下落する結果となっており、経済的に無視できないリスクだ。

ところが、今の政治は、大幅円安を含めた経済の衰退に強い危機意識を持っているようには見えない。とくに次代を担う若手政治家たちに時代を変革しようというアクティブな動きがないのが何とも残念だ。彼らこそが時代の先をじっと見据え、行動を起こすべきだ。

強靭化に向け大胆な改革策を、霞が関の若手官僚と連携も

若手政治家にとって今、重要なのは、衰退する日本の経済を再度、強靭なものにするため、大胆な経済構造改革策に積極的に取り組むことだ。早い時期に、その具体策を次々に世の中に対して積極的に働きかけ、国民のみならず、市場関係者に「若手政治家たちは、しっかりとした問題意識を持っている。捨てたものでないぞ」と思わせることだ。

その際、霞が関の行政官僚の中には、旧態依然の政治の枠組みに反発して日本を変えたい、という問題意識ある若手官僚がいるので、若手政治家は、その官僚たちと連携して、経済構造改革に関する政策面でのバックアップを得て行動に移せばいい。そして「日本は、30年間に及ぶデフレに苦しんだ。だが、今後はイノベーションに積極的に取り組み、諸課題解決型の凄い国に作り変えるアクションプログラムに挑戦する」とアピールすればいいのだ。

日本企業がアジア成長センターで見向きもされなくなる?

2024/2/21

スピード時代に経営判断を先延ばし、話にならないと強い反発

かつてはアジア諸国から技術力、事業力で高評価を得て、企業経営面でも尊敬の対象だった日本企業。なぜか最近、アジア成長センターの企業の間で「スピードの時代に経営判断が遅く、話にならない」と、反発が強まっている。日本企業経営者がリスクをとらず、経営判断を先延ばしすることが多い点を問題視している、というのだ。

「全権持つCEOが『最終判断は帰国後の東京会議で』に唖然」

私が以前、中国深圳で地元のベンチャー企業経営者を取材した際、日本企業経営への不満を聞かされた事例を思い出す。CEO(最高経営責任者)の肩書を持つ日本企業経営者が、ビジネスで全面合意した中国ベンチャー企業経営者に対し「東京に戻り取締役による経営会議で決めるので、待ってほしい」と述べたため、中国経営者は「発言に唖然とした。企業代表として全権を持つCEOがなぜ、東京の本社に戻って最終決定の手続きが必要なのか。アジアは今、スピード経営が主流だ。日本はこれではビジネスで敗北する」と怒った、という。

タイ財閥サハ・グループのブンヤシット・チョクワタナー会長も今年1月5日付けの日経新聞インタビューで「日本企業は事業運営で従来のステップ・バイ・ステップを踏襲して経営判断が遅い。スピードが速い今の世界には合わない」と批判している。サハ・グループは消費財を中心に日系企業80社と合弁ビジネス関係にあるだけに、発言に説得力がある。

日本への「持ち帰り文化」は損失招くと日タイ橋渡し企業

アジアの現場の声も紹介しておこう。朝日新聞オピニオン欄の最近の「日本と東南アジアの50年」特集で、日タイ橋渡し企業CEOのガンタトーン・ワンナワスさんはタイ国内の日系企業の「持ち帰り文化」が問題だ、と指摘した。最初は、持ち帰り文化が何をさすのか、わかりにくかったが、記事全体を読んで、その意味がわかった。深圳の中国ベンチャー企業経営者が問題視したことと全く同じなのだ。

その日系企業の場合、タイの合弁企業や系列の部品生産企業に対しコスト削減に関してうるさく言うのに、なぜか自身の経営判断になると対応が遅い。タイ日系企業にとっては現地判断こそが重要なのに、親会社を気遣ってか、日本に持ち帰って本社で検討する「持ち帰り文化」現象に陥っている。こんな経営手法を続けていると、グローバル時代のスピード経営に対応できず、日本企業は機会損失していく、というのだ。確かに重要な問題指摘だ。