世界での韓国の存在感すごい 核サミット開催力や世銀総裁人事


時代刺激人 Vol. 179

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

 韓国が最近、グローバルな分野で、またまた存在感を見せつけている。北朝鮮の弾道ミサイル発射が東アジアのみならず世界中に緊張を及ぼす中で、韓国の李大統領がタイミングよくソウルに主要国首脳を集めて核安全保障サミットを開催し、北朝鮮(朝鮮人民共和国)に対して強烈な牽制球を投げたのが1つ。

 韓国が最近、グローバルな分野で、またまた存在感を見せつけている。北朝鮮の弾道ミサイル発射が東アジアのみならず世界中に緊張を及ぼす中で、韓国の李大統領がタイミングよくソウルに主要国首脳を集めて核安全保障サミットを開催し、北朝鮮(朝鮮人民共和国)に対して強烈な牽制球を投げたのが1つ。もう1つは、世界最大の公的な金融機関、世界銀行の総裁候補に、事前予測報道で名前すら上がっていなかった韓国系米国人がオバマ米大統領から指名され、事実上、世銀総裁就任が決まりとなったことだ。

なぜ日本が同じ存在感を示せないのか、
内向き政治の現状が腹立たしい

率直に言って、この2つの出来事だけをとっても、韓国のプレゼンス、存在感はすごいな、と思わせるのに十分だ。なぜ、日本が同じ存在感を示すことができなかったのだろうか、とジャーナリストの立場で考え込んでしまう。

とくに、原発事故で世界中を震撼させた日本が、北朝鮮の暴発リスクが高まる中で、原発の安全確保のみならずテロリスクへの対応、核物質の拡散を避ける管理体制の強化などに関する首脳会議を日本でいち早く開催、という機敏な行動をとれば、日本の存在感は大きく高まっただろう。日本の政治がひたすら内向きになっているばかりか、政争に明け暮れている状況では期待すること自体が無理ということだろうか。何とも腹立たしいと同時に、くやしい思いがする。

北朝鮮危機を巧みに活用し国内結束の
バネに使う韓国の機敏さは見習う必要

そこで、今回のコラムでは韓国の強さ、とくにポイント部分で必ず存在感を見せる強さはどこから来るのか、同時にグローバルな世界で見せつける上昇志向の強さの裏返しとしての韓国国内でのさまざまな格差の拡大など社会不安材料、韓国の行きつく先はどこなのか、サムスン電子などグローバル展開型企業のビジネスモデルに対して、中国が社会主義と市場経済を巧みに使い分けて追い上げる現実に韓国企業はどう対応するのか、といった問題を、この機会に、再び考えてみたい。

まずは、北朝鮮の緊張をもたらす弾道ミサイル発射実験のデモンストレーションが目前という段階で、韓国主導で核安全保障サミットをソウルで開催するすごさだ。そして北朝鮮危機を巧みに活用し、韓国国内の結束のバネに使う機敏さも見習う必要がある。

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