大学から世界に。新薬開発で病から解放したい思いを乗せたペプチドリームとは
ペプチドリーム株式会社
代表取締役社長兼最高経営責任者
窪田 規一
東京大学発の新薬開発を手掛けるバイオベンチャーが上場した。東京大学大学院教授の菅裕明と、ペプチドリーム株式会社の窪田規一が出会い、同じ夢を共有することで誕生。創業から7年経った今、ペプチドリームは国内外の大手製薬メーカーが共同開発を熱望する異色のバイオベンチャーへと成長を遂げた。二人が共有したペプチドリームの夢とは?
窪田まさに今言っていただいたプラットフォーム・テクノロジーという形で、プラットフォームを我々は開発いたしました。
蟹瀬それはかなり画期的ですね?
窪田あまり自画自賛しては怒られちゃいますけれども。(笑)たぶん同じようなプラットフォーム・テクノロジーは世界でも二つとないんじゃないかなと思っています。
蟹瀬要するにそのプラットフォームがあるから、その上にいろんな薬を作れる可能性があるということですね。
窪田仰る通りです。ですから、プラットフォーム・テクノロジーがあります。プラットフォーム・テクノロジーというのは、言うなれば種、シーズを見つけ出す、作り出すものなのです。ですから、種をいっぱい作り出すものを持っていて、そこから出てきた種を、いかに薬として芽を出させて、花を咲かせて、そして実にするか。ということが我々の仕事です。
蟹瀬なんかちょっと、白石さん、わかった気がしますね。
白石ちょっと。はい、まず第一段階。(笑)
蟹瀬目の前にドロップが並んでいて、これが置いてあるその下にある台みたいなものを作っていくと。
白石基盤を。それが最初に仰っていた最初のキーワードのフレキシザイム技術ということなのですよね。
窪田はい、まさに仰る通りです。ですから、フレキシザイムによって、今まで組み込むことができなかった。と言うより、非常に難しかった特殊アミノ酸を、非常に簡便に組み込むことができるようになった。これがスタートです。
蟹瀬これまでできなかったと思ったことを、じゃあやってみようじゃないか。という、この薬の歴史を、僕は本でずいぶん読んだことがあるのですけれども、そういう今までできないと思っていたものを、パッとどこかでブレイクスルーしていく。そういうところから、新しいものがどんどん生まれてきていますよね。これもその一つという風に考えればよろしいですね。
窪田まさにそうですね。
窪田それとさっきも言いましたように、理科の教科書のように、これはもうルールなんだから変更すること、変えること、チェンジすることはできないよ。っていうのが決まりだったんですね。そのルール自体を変えることができたというのが、手前味噌ながら、画期的なことだったんだと思います。
今まではそういう物質は世の中になかったんですね。これを私共と一緒に、この会社を起ち上げた東京大学理学部の菅教授が、20年ぐらいの歳月をかけて開発されたものです。このフレキシザイムは、私が最初に出会った時にその内容を聞いて、正直言って「ええっ?」って驚くと同時に「もうこれノーベル賞級だな」っていうのが本音のところですね。
蟹瀬画期的なのですね。
窪田ですから、一つはもちろんお薬を作ること、そして菅教授にノーベル賞を取っていただくこと。これも我々の夢です。
蟹瀬なんかちょっとワクワクしてきましたね。
白石ですね。ということで、今回はそのフレキシザイム技術の生みの親、東大教授の菅裕明さんにお話を伺ってまいりましたので、こちらをご覧ください。
窪田がノーベル賞級というフレキシザイム技術。その発明を菅教授本人はどう評価しているのか。
菅僕はそう思っていません。出てきた時にみんなが「バッ!」て、できなくちゃいけないんですよ。iPS(アイピーエス)はすごく注目されて、一気にみんなそれに飛びついて、自分達のところですぐ簡単にできる実験なんですね。そうすると一気に広がってその領域ができて、それでノーベル賞に繋がっていくんです。私みたいに技術を作ってずーっと積み上げているのは、要は私しかできない技術になっちゃっているんですよ。
だから、なかなかそれはノーベル賞の対象になるかって言われると、ならないと思います。けれども、将来例えばこれから薬が出て、多くの人類の人が助かったとか、それからアフリカの人達とか、そういう第三国の人達が安い薬を手に入れられて助かったとかっていうことになれば、そういう話も来るかもしれないですけれども、ノーベル賞を目指して研究しているわけではないので。
世界の大手製薬メーカーが注目するフレキシザイムとはどんな技術なのだろうか。
菅例えば、クラスに48人の人がいたら、絶対に仲のいい友達が一人ぐらいできますよね。要は、数がけっこうあれば誰か必ずマッチングできるわけですよ。例えば薬の標的だったら、薬の標的に強く結合するものっていうのはあるはずなんですが、私は最初から一兆とか作ってしまえば、それで出てきたものというのは絶対にばっちりのペアだと思うんですよ。要は数をちゃんと用意できるかどうか、で、それをちゃんと当たったものを見つけてこられるかどうか。
薬の標的というのは千ぐらいは確実にあると思うんですけれども、千に対して全部やってもたぶん一兆用意していれば必ずいいものが一つずつ見つかる。その中でそれが本当に薬になるかどうかというのも、また更に確率が下がるんですけれども、見つからなければもう手も足も出ないですよね。だけど、我々の技術はそこを確実にやってあげますよ。ということなので。
しかも、出てきた最初のヒットがみんな「おっ?」ってびっくりするぐらいのレベルなんですね。そこがやっぱり大きいんだと思いますね。なんで世界中の製薬企業が一緒にペプチド研究をやってるかっていうと、最初はお試し的なことをやるんですけれども、その時に彼らが期待していたものの千倍ぐらいいいものが出てくるんですよ。だから、
もうみんなが腰を抜かすぐらいびっくりするんです。「えっ、ちょっと待てよ。こんなことができんのか」みたいなぐらいのところまで出しちゃうんですね。我々は絶対嘘はつかないです。できそうにもないことをできるようには言わない。できないって。できるかどうかは絶対わからない。と言う。ものすごく正直な会社だと思います。非常に。
窪田さんといつも言ってることはですね、我々一つの新しいモデルを作って、我々がやってることだけが正しいわけじゃないけれども、こういうユニークな技術でユニークなことを考えてやれば、バイオベンチャーとしても黒字で成長していけるんだっていうことを示そうよっていうことをずっと言っていたので、そこは徐々に達成されていると思うんですね。
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