超高齢社会時代対応、日本が率先して先進モデルを


時代刺激人 Vol. 324

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

団塊世代「2025年問題」への対応はプラス思考で

時代の先をネガティブに捉えずプラス思考で対応する、という点では「2025年の団塊世代問題」への対応が重要だ。推定700万人強と言われる団塊の世代の巨大な人口の塊(かたまり)が、2年後の2025年に75歳の後期高齢者入りした時に、日本は間違いなく超高齢社会時代が現実のものになり、その対応などで大きな試練の時期を迎える。
しかし、この巨大人口群が、医療や介護の世話にならず元気なアクティブシニアになったら、社会保障に関する給付と負担のバランスは大きく改善する。この際、プラス思考で考えることが重要だ。とくに政策当局には、その課題対応への踏み込みを強く求めたい。

私がメンバーでかかわる一般社団法人ディレクトフォースが東大高齢社会総合研究機構と連携し、超高齢社会時代に対応するまちづくりに関して最近、意見交換した際もその点がポイントだった。民間の企業が地域社会貢献につながる高齢者雇用の創出、生きがい就労の場づくりをどうするか、という点だ。定年退職後の65歳以降、7、80歳でもパートタイムで元気に働ける場など、新たな雇用や社会のシステムをつくれば、文字どおりアクティブシニアが生まれる。企業が目先の人手不足対応でシニア雇用を考えるのでなく、元気な地域社会づくりのため、雇用面で企業の支援体制をとれば、十分に先進モデル事例にもなる。

OECDに生産年齢人口定義を「75歳未満」に引き上げ提案

世界で突出した超高齢社会国として、日本は、先進モデルづくりにチャレンジする姿を
世界に向けてアピールするチャンスがあったのに、残念ながら、日本の政治や行政は行動に移していなかった。しかし、チャンスはまだある。欧米先進国を中心に日本も加わり、今は加盟国が38か国に及ぶOECD(経済協力開発機構)に働きかけ、世界各国が今後、直面する超高齢社会時代に対応した社会システムづくりにチャレンジしろ、と提案するのだ。

OECDが国際的に定義する生産年齢人口の「15歳以上、64歳未満の生産活動に携わる人口」のうち、「64歳未満」部分に関して、超高齢社会が今後、本格化することを見越して「75歳未満」へと基準を引き上げ、加盟国が政策対応するように求める。その際、75歳未満までパートタイム労働をベースに「ジョブ型雇用」で対応の体制をーーなどだ。

課題抱えるアジアに日本の「失敗事例」示せばリスペクトも

そればかりでない。私は、このコラムで以前も問題提起したが、アジア成長センターでは今、中国、シンガポール、ベトナム、タイなど人口高齢化による社会保障支出の急増で、経済成長の果実を充当せざるを得ず、「中進国のジレンマ」に陥る国が増えつつある。経済低迷に苦しむ中国は、長期デフレ経済に陥った日本を研究しているが、この人口高齢化対応も重要テーマのはず。そこで、日本はこれらアジアの国々に対し、自ら経験した政策失敗の事例を提示し、「学びの対象」にしてもらえばいい。リスペクト評価の対象になるはずだ。

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