「野心ではなく志を」。志で考える、世界の日本、世代交代、後継への引き際
SBIホールディングス株式会社
代表取締役執行役員CEO
北尾 吉孝
インターネットを通じ、証券や銀行、損保、住宅ローンなど、様々な金融サービスを展開しているSBIグループ。創業からわずか10年で80社を超えるコングロマリットへと発展を遂げた今、グループは新たな成長路線への舵をきり始めた。ネットによる金融サービスで変革を起こした、SBIホールディングス株式会社代表取締役執行役員CEOの北尾吉孝が描く、次なる事業戦略その全容に迫る。リーダーアンドイノベーション賢者の選択。
北尾その時はまだそんなにインターネットがそんなに革命的なことができるはずがないと。5万口座もできたらいいというような調子でした。あっという間に200万口座超えちゃってるわけですね。銀行でもそうですよ。今私ども住信さんと一緒に住友信託銀行ですね、ネット銀行やってますけれどもう預金量1兆6000億超えちゃってますね。3年半や4年でこのレベルに達するということは昔では考えられない。地方銀行なんか延々と何十年の歴史を積み重ねてやっと1兆円の預金量に到達すると、そういうことでやってきた。それが3年や4年で1兆6000億って考えられない数字ですね。
宮川そしてその上場も素早く。
北尾ええもう早かったですよ。僕が自分のこの今の本体を上場するのも早かったですけど、公開してきた数というのは10社以上を公開してきたんです。通常、事業を作って自分で公開するというのは一生のうち1回ぐらいの人がほとんどですね。それも成功者と言われている人がそういう状況。僕は10社以上ぱぱぱぱぱ、と公開させた。非常にそういう意味ではラッキーだったんですね。
宮川やはりインターネットを使ったサービスが出てきましたけれども、その他社との違いというのはどの辺に置いてらっしゃるんですか?
北尾それはやっぱり、一つは哲学ですね。それは何かと言うと顧客中心主義。
北尾これをもう最初っから貫くと。顧客中心主義を貫かないとインターネットの世界では往々にして負けちゃう。だから、昔からWinner-Takes-allと勝利者が全部取っちゃう。だから是非ともここで勝利者にならなきゃいかん。
北尾勝利者になるためには顧客中心主義を貫かないといけないと、こういうことなんです。ですから顧客中心主義というのも次のキーワードなんですよ。まあ言ってみれば。
宮川なるほど。
インターネットを主要チャネルとした金融コングロマリットを完成させた北尾。その脳裏にある新たな成長戦略とは?
宮川先ほど生態系という風におっしゃいましたが、何かその中で一番強いやつみたいなものはいるわけですか?
北尾そもそもね、一社で戦うよりインターネットの時代というのはグループで戦った方が強くなるという風に私は思っていましてね。例えば証券だけやっているとこよりも、証券や銀行や保険やといろんなサービスをやっているところ。言ってみれば、こっちは1社でやっているところ片方でやあやあ我こそはと言ってるようなところ。我々マシンガンやミサイルを持ってこの競争相手と戦う。そういうぐらいの差があるんですね。
それはなぜかと言うと、例えば銀行と証券の間にものすごい大きなシナジー、相乗効果が働くと。銀行のお客さんが証券のお客さんになるとか、あるいは銀行のお客さんが保険のお客さんになるとか、お客さん同士が我々のグループの中を移動して回ってくれると。こういう風になることね。
それから銀行にあるお金をそれだけ確認したら、株はいつでも買えるって。いちいち証券会社にお金を振り込んでそれを確認してから株を買う必要性がない。そういう意味で全部シームレスでつながっている。ですからこういう生態系で戦った方が、ミサイル持って戦うのと刀を持って戦うのとどっちが強いんだと。明らかにミサイルの方が強いでしょと、こういう考え方なんですね。
宮川それからその顧客中心主義という哲学。こういう哲学を持たれた背景はどういうことですか?
北尾マンツーマンface-to-faceでやっていても、人ってなかなか信頼できないところがありますよね。ましてインターネットで事業をやるならどうやって信頼してもらうのかと言うと、やっぱり顧客中心主義。自分のこと考えるよりもお客様のことを考える。それがお客様にインターネットを通じてわかるような状況を作っていかないとダメだったという風に思うんですね。それを分からせる一番いいのは手数料をできるだけ安くするとか、預金の金利をできるだけ高くするとか、保険料はできるだけ安くするとか。まずこれでお客さんに応えましょうとこういうことですね。
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