ローマ法王にも愛された! 日本発!! 世界に負けないブライダルデザイナーの裏側に迫る
株式会社ユミカツラインターナショナル
代表取締役社長
結城 由美(桂 由美)
幼い頃は夢見る少女、おとぎ話の世界に浸り、やがて彼女は世界的なファッションデザイナーになった。日本にブライダルという言葉を定着させた、株式会社ユミカツラインターナショナルの代表取締役社長・結城由美(桂由美)。世界の桂由美の成功を支えているものとは何か。いくつものチャンスをものにした彼女の思いとは。
蟹瀬そしてもう一つ、このローマ法王ヨハネ・パウロ2世の復活祭のときの祭服ですか?これ、どういういきさつなんですか?
桂これもね(笑)、その頃、西陣織の組合と、いわゆる九州に博多織というのがあるんですけど、この二つの組合から顧問を頼まれて、ずっと10年ぐらいその指導をやっていたんです。何をやっていたかというと、できるだけその西陣織、博多織の伝統の織り方を生かして、柄とか色を現代の私の感覚の色にして。
そしてそれを広幅で織る。今までは狭いんですよ、和服の帯なんかつくっていたから織機(しょっき)が狭いんですけど、いわゆるドレスを作れるように、さっき言ったような広い幅の織機を入れるから、それの柄とか色とかを指導してくれというのでそれをやっていたんです。
で、10年たったときに、「あれはもうリヨンの絹織物に匹敵する」と私言ったんですよ。だから打って出ろと。パリに大きなプルミエール・ビジョンというそういう生地だけの大きな国際的展示会があるんですけど、だけどやっぱり、なにしろ着物で皆さん帯締めなくなってしまったから、両方の組合とも私を頼ってドレス地を織りたいとこうなったわけですから、もう本当に経済的にそんなことをやるほどの力がないわけですよね。
それで他にPRの方法ないかって思って、博多織、特に博多織のほうは絹でずっときましたから、なんとかこれ生かしてあげたいなと思って、「一番似合うのはローマ法王だけど」って言って…。
津島えー!
桂そして(笑)私ローマまで行って、カトリックの信徒の人と一緒に行って話をしたんですよ。そしたら割合開けていますよね。それで、ともかく作ってくださいと、献上は受けると。受けるけど使うか使わないか、ローマ法王、そのときヨハネ・パウロ2世というのは、やっぱり演劇をやっていたそうね、ポーランドで、だからなかなかうるさいと。「特にお年召しているから重かったら駄目ですよ」と、こう言うんですよね。
蟹瀬では軽く作って、お召しになるかどうか分からないけれども献上をされたと?
桂そう。
蟹瀬そしてそれを実際にお召しになったというのは、どうやってお知りになったのですか?
桂(笑)朝、たまたまテレビひねったら、ちょうど海外放送で「あ!私のあれだ!」という、復活祭の朝です。これおそらく…。
蟹瀬中継をやっていて?
桂そうです。
蟹瀬その画面見たら、ご自身のお洋服を気に入られて着ていらっしゃったと?
桂そうなんです。
蟹瀬へえー!
津島(笑)。
蟹瀬それは…。
桂純金ですから軽く織るのが一番大変難しかったと思うんですよね。で、私はポーランドの方なんで、ポーランドの国花というのがパンジーなんですよ。パンジーをちょっと図案化してあげて、「これで織ってください」とそのパンジーの花が立体的に膨れるような感じに織って、これは素晴らしかったですから。
その献上祭のとき大司教さんたちがみんな集まってきてしまって「これはきれいだねー!」と言っていたんですよ。多分、おそらく私の想像、それが1月だったかな、それで復活祭でしょう、その間2カ月ぐらいしかなかったので、復活祭に着るものってもうその時点では決まっていたのではないかと思うんですね。だけどあんまりきれいだったから多分(笑)。
蟹瀬変えられて。
桂変更してしまったのではないかと。
蟹瀬すごいですね。
桂で、朝日に輝いてね、それ。私は現場にいなかったのですけど、「きれいでしたよ!」と日本の方が言ってくださった。
蟹瀬そして今度ちょっと日本のほうへ戻りたいんですが、日本のブライダル、ドレスと着物というふうに大きく分けて二つありますよね? そして、これ僕が言っているわけではないですが、桂さんが日本の着物を駄目にしたみたいなことをおっしゃる方もいらっしゃいますよね?
蟹瀬そういう点というのはどういうふうにご覧になっていますか?
桂だってそれは、私たちはどんなものであろうと、やっぱり美しいものを作るということではないですか。そして、その着物を研究し着物を美しいものにする人たちというのは、たくさんいたわけですよ、その1960年代当時。山野愛子さんとかエンドウアツコさん、その他もろもろたくさんいらっしゃる。
それで、ともかくウェディングドレスを皆さん着たいと言っているんだけど、いいウェディングドレスを作るってのはうちしかなかったから、それやってきただけで、別に着物滅ぼそうとか着物に取って代わろうとか1回もないです。どうしてかというと、その当時から私、着物とドレスの両立というのを言っていて、今もアジアブライダルサミットというのをやっているんですけど、それ何のためかといったら、ヨーロッパは二者択一、つまりウェディングドレスを着ますか、民族服を着ますか、どっちか。
蟹瀬AかBかというね。
桂AかBか、だからそしたらウェディングドレスになってしまったの。だから今、ヨーロッパ行って民族服の結婚式探そうなんて思ったって、もうフィンランドの山村でも行かないとないというぐらいないんですよね。だけどアジアはチマチョゴリ、韓国があり、インドにサリーがあるじゃないですか、日本の着物とかですね。だから着替える、つまり非常に厳粛な式服から華やかな宴会着に着替えるということを、やっぱりアジアの特色としていたらどうですかと。
蟹瀬お色直しということですね。
桂そうです。そうすると両立するわけですよ。式服が和服だったらお色直しで洋風にする、あるいはその逆にするとかね。
それを今、アジア全体に呼び掛けて、ともかく洋風化の波というのは、これはもう避けられないですよ、ここで止めようなんてことはできないから。どんどんほっぽっておくと、そういうふうに世界一つになってしまって、それでは婚礼文化として面白くないではないかと、どこへ行ったって同じ白いドレス、タキシードではですね。
だから日本には日本、韓国には韓国、それぞれの伝統的な美しさを持ったウェディングをずっと検証していくべきではないかということで、アジア各国に呼び掛けてちょうど11年になります。
蟹瀬今後はどういうことをお考えなのですか?
桂今後ですか。
蟹瀬今後の展開。
桂そうですね。まだまだ…。
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