コンサルタントは語る!「失敗から何を学んでいるか」の重要性


株式会社プロノバ
代表取締役社長
岡島 悦子

特選インタビュー

日本に一人でも多くの経営者を輩出したい。そして、40歳の社長を生んでいきたい。こう提唱しているリーダーシップ開発コンサルタントがいる。注目を集めるコンサルタントが語る、なぜ「40歳」なのか、これからの時代に必要なリーダーとは?

40歳社長

岡島私は、リーダーシップは年齢とは関係ないと思っているのですが、敢えて今回40歳という数字を出させていただきました。これは分かりやすいようにということなんですけれども、では、なにがリーダーシップと相関すると思っているかというと、意思決定の数だと思っているんですね。
「Aを採っても、Bを採ってもどっちもどうなるか分からないよね」というところで、選択していかなければいけない経営者、リーダーをつくっていこうとしたときは、やはり、意思決定をたくさんした人の直感、ロジック、これはアートとサイエンスの両方だと思うんですけれども、これがすごく重要になってくるので……。
今、多くの経営者から「岡島さん、何で目利きするの?」って言われたら、「意思決定を、その人はどのくらいしてますか?」という話をします。
で、今回、40歳と申し上げているのは2つあって、そこまでに意思決定をするという機会がなかなか今の枠組みの中でいうと、大企業は少ないと思っているので、とにかく、打席に立たせて、意思決定を小さいなりにも、どんどんやっていってもらうというようにしていかない限りは40歳の社長はできないと思っているのが一点ですね。
それから、40歳ということをすごく言っているのはデジタルともすごく関係があって、ここからAI革命みたいなことになってきたときには、どんなビジネスであれ、ITを手段という形で使っていかざるを得ない。
意思決定をするときに、プログラミングができる必要はないんですけれども、ITでできることがどれぐらいのことなのかなどの意思決定軸みたいなものがないと厳しいと思っているので、デジタルネイティブの人たちを意思決定の中には入れていかないとまずいだろうなと思っています。
もう一つあって、それは40歳と言っているのは、今、たくさんの経営者と話しているのですが、ここから変革をしていくときには、おそらく少し長期政権でないと、社長が厳しいだろうなと……。

松田なるほど。今はまさしく変革の時代だから。

岡島そうなんです。だから、変革ってやはり、今までの習慣とは違うことをやることなので、みんな、やりたがらないんですよね。そっちの船に乗ってもらうということは4年ぐらいだと、いつかまた先祖返りできるのではないかと思ってしまう人がたくさんいるわけです。
でも、「10年やられます」って言われると、白旗を上げないとさすがにまずいなという感じになるので、やはり、「次の社長は10年とか15年だね」という話を今の社長さんたちとしているケースが多くて……。
そうすると、55歳で10年やられると、65歳じゃないですか、ちょっときついじゃないですか。そうすると、15年やってもらおうということを考えると、やはり、40代ぐらいでなってもらってということを考えて逆算していくと……。
今の、たとえば、サクセッション・プラン(後継者育成計画)で、数万人の会社なんですけれども、200人ぐらい選んでいるのは、一番下は28歳、一番上が45歳で200人ぐらい選んでいたり、30歳から45歳ぐらいで100人ぐらい選んでいたりといった母集団をつくっていたりという感じですね。
ただ、今、お話ししている話は「社長を創る話」なんですよね、次の社長を創る話なので……。
実は、次の副社長を創る話とはまったく違う話で、おそらく次の副社長や役員を創る話は今までの階層別研修みたいなものでも私は大丈夫だと思っているんです。
ただし、社長はもしかしたら、一人だけ若く40歳ということも、次、出てくるかなと思っていまして、経営トップの重みが重くなるのと同時に、やはり、そこは今までとは全然違うことをやっていただく社長ということなので……。

松田意思決定の場数を多く踏んでもらうということだと思うのですが、たとえば、AさんとBさんがいます。Aさんには1000回意思決定をしてもらった。Bさんにも1000回意思決定をしてもらった。Aさんはその中で意思決定をして、実は60パーセント当たった。Bさんは実は40パーセント当たった、ということは失敗した数のほうが多い。
それはたとえば、岡島さんの中ではどちらをリーダーとして引っ張っていくのか、一つの考え方を教えていただければと思うのですが。

岡島実は成功確率ではあまり見ていないんですね。何を見ているかというと、「失敗から何を学んでいるか」ということもすごく見ています。それからどういう意思決定の種類をしているのかも見ているので、成功確率ではあまり目利きはしていないですね。

松田なるほど。本当に打率だけではないのですね。むしろ、失敗を多くされた人のほうが社長になったときに……。

岡島手痛い失敗をしてきているケースもありますね。

松田分かりました。では、サクセッション・プランニングの(期間は)、もちろん、会社によって違うでしょうし、その人の質によっても違うでしょうけれども、大体、イメージ的にはどのくらいを考えたらよろしいですか?

岡島そうですね、3年から5年、中期で一緒に走るぐらいのことを考えていただいているケースがやはり、多いですね。

松田結構、長いですね。

岡島はい。それからホールディングスの社長を今の経営者がやっておられて、そして単体というか、事業会社側の社長にこの人を据えて、これで並走しているパターンがやはり、多いので、現存の社長がコーチングをするみたいな形がすごく多いかなと思います。

松田やはり、大切なのは意思決定なんですね。

岡島後ろを向いたら誰もいない、背水の陣だという、「私が決めないとしょうがない」ということをたくさんやってこられていると思うんですけれども、そのハラハラ感というか……。

松田そうですね。本当に分からないんですよね。Aで行くべきか、Bで行くべきかというのは。

岡島どちらでも迷うじゃないですか。

松田そう、どちらでも迷います。

岡島どちらでも副作用はあるわけで……。で、一番よくないのは今、決めきらないことだと思うので、タイミングの読みみたいなことがすごく重要なので。

松田本当にそうですね。やはり、そういう意味では組織のトップというのは孤独なのですね。

岡島本当にそう思います。

リーダー論

岡島社長って、実は意外に身に合わないよねっていうか、報酬と合ってないよね、それは給料を上げろという意味ではなくて、ものすごく孤独で、そして、ここからでいうと、グローバル企業なんかだと、相当出張して回らなくてはいけなくて、体力的にも厳しくて、銀座で遊んでいる場合でもなくて(笑)
コンプライアンスとか大変なので、それこそ、身ぎれいにもしなければならないし……。
これをすごくやりたいという業、ビジネスがあるとかだといいんですけれども、そうじゃない限り、このビジネスでうちの会社を変えていこうみたいな熱量みたいなもののリワードを感じられる人でないと、本当、難しい。リーダーシップって、より難しくなっていると思います。

松田本当にそうですね。

出演者情報

  • 岡島 悦子
  • 1966年
  • 東京都
  • ハーバード大学経営大学院修士課程(MBA)

企業情報

  • 株式会社プロノバ
  • 放送日 2017.10.29
  • 業種:
  • 人材、コンサルティング
  • 本社:
  • 東京都
  • 所在地住所:
  • 東京都新宿区西新宿6-15-1-3910
  • 資本金:
  • 750万円

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