国産医療ベンチャーが「地鳴りのように」ポジティブに変える医療現場とは?
大研医器株式会社
代表取締役会長
山田 滿
目まぐるしく変化する世界経済と地球環境。かつてない変化とスピードの違いに我々はどう向き合う。時代を牽引する賢者のターニングポイント賢者の選択。外資系企業が席巻する日本の医療機器市場にその牙城を崩そうとするある国内メーカーが現れた。大阪に本拠を置く大研医器株式会社。クーデック、クーデターバイテクノロジーというブランド名を掲げ、独創的な製品をこれまで数多く開発してきた。院内感染の防止、患者の身体的負担の軽減、最先端医療の現場の声を反映した製品はその多くが国内トップシェアを誇っている。そしていま世界へ大きく市場を広げようとしている大研医器創業者山田満。その経営戦略の全容に迫る。
蟹瀬開発秘話は相当おありな感じがするんですけど、聞かせていただけませんか?
山田どのあたりからさせていただきましょう?一つはですね、シリンジェクターという商品があるんですけれども、これは人間の体の中に例えば手術する時に例えば血液を凝固させないとか、色々な6種類ぐらいの薬をね注入するために機械にセットして体に入れるポンプなんですね。これ実は文系の人が考えたんですね。
蟹瀬どういうことなんですか?
山田それはですね。ディスポーザブル。使い捨てのシリンジございますね、プラスチックでできた。今そればっかりはガラスじゃないですもんね。
蟹瀬注射器みたいなですよね?
山田注射器です。それをどうしたらサクション引っ張れるかということをやってる時にたまたまこの吸い込む注射器のここ、手で持ってやってるうちに引っ張ったらひっぱり込めると。ところが真空のところが手で作れるということ彼は発見したんだね。そうしたらポンと離したらポンと返るわけです。
蟹瀬要は針がついてる部分のところを押さえて引っ張ると中真空になると?
山田そうそう真空になると。そして離すとまた元に戻ると。それを何回もやってもその真空の状態に結局空気が入らなく、リークしなくて何回でもこうなるということで要するに電気とか駆動源を全然使わなくて中の薬液を押していくという。
蟹瀬何かコロンブスの卵のような感じがしますよね。
山田そうですね。それをやったことで今まで世界はバロンジェクターと言いまして、風船の中に薬液を入れてそれが縮まるあれで入れてたわけです。ところが世界で初めてシリンジでそういう駆動源なしで駆動源よりか電気からそういう動力がなくて中に注入できるという発明。
蟹瀬ちゃんと入ると言う。
山田そうです。そうしますと患者は固定されないから自由に歩ける。今よくご存知だと思いますけど病院内歩いてるとこういうイルリガートルというあれに何かつけて歩いてる患者さんおるんです。
蟹瀬はい、点滴しているような。
山田あれももうしばらくするとなくなると思いますよ。
蟹瀬その他どうでしょうか?
山田それ以外でしたら、フィットフィックスというのがあるんですね。それは何かと言いますと。例えばここを全開しまして、がんの手術をしましても、何にしましても、ここのものをとにかく除去する時に大きく開きますね。そうすると中で血液が溢れます。それからいろんな廃液が出てきます。それをですね従来はガラス瓶に入れて放っていたわけです。
ところが今はそうではなくてこういうプラスチックのボトルに入れまして、廃液廃血を処理する。ところが一番初めに申し上げた通り、院内感染と言うことは非常に強いですから、それをですね一時テレビで流行りましたけれど、固めるテンプルという油がありましてね。それをヒントに、その廃液廃血を固めてしまう。それを固める樹脂を中で開けなくて、中で内蔵しておいて樹脂で固める。そして廃棄できる焼却できるということをやったのがフィットフィックスなんです。
人間の血液なんかはなかなか病院でもらえないので、我が社が考えたのは、今の食品の加工している工場の血液をいただいて、それを使ってどうしたら凝固できるか、どれくらいの比率でその樹脂凝固剤を入れたらいいか、そんなことをするために大研医器に入った研究員は必ずそのそういう加工場に行って、それで血液をもらって帰ってくるということがありました。
蟹瀬だけど今お話伺ってると、企業のあるべき姿と言いますかね、社会的な使命というものも私は感じられたじゃないかなと思うんですけど、その辺りはどうですか?
山田最近ね、私が色々見ていて社会貢献というね、そういう言葉が割と薄くなってる、希薄になってるんちゃうかなと。それでねやっぱり私どもはやっぱり病院というのは一番社会貢献、それからもっと言いましたら使命というんでしょうか、そういうことがわかりやすい。
蟹瀬そうですね。
山田それで特にね私社員の人に全社員にいつも言ってますし、今年もそういう事言ってるんですが、とにかく病院にまず行きなさいと。病院へ行けば難病奇病なんかで苦しんでおられる方がものすごく多い。そういう方を目の当たりにすることでこの人たちを治してあげると。ドクターと協力して、医療機器も絶対大事な分野ですし、この患者1日も早く一週間でも早く社会復帰していただく。
そのために我々には大きな使命それがあるわけですから、それが分かりやすい社会貢献につながっていくだろうといい風に思っていますね。
蟹瀬まあそうやって色々新しいものを作られてきた開発改良されてきた現在取り組まれてるものって具体的にどういうものがあるんですか?
山田今現在ですね、死亡率で一番高い、三大病気と言われている癌です。それから心臓、それから脳。この三つです。
いずれもですね、これを治療するとなると全部外科的な処置が必要になってきます。その外科的な処置、私どももまだ今までやってないですね。しかも先ほど言いましたように95%近くは外国製品がね。これは日本放っておく手はないなというのが私の持論です。それでまずですね市場を見てみるということで。低侵襲治療という非常に難しい言い方ですけど。
山田侵というのは侵すという字です。襲というのは襲うという字です。
蟹瀬何か怖いですね。
山田どういうことかと言いますと、外科は人間に傷を与えるわけですからやはり侵襲なんですよ。だけど低がついてるわけですから。
蟹瀬多少は仕方ないと?
山田多少は仕方ない。なるべく少なく傷とかそういうのは小さくして、それで手術をすると同時にやることは結局は治療を早めて結局的には社会復帰が早くできるということでですね、この低侵襲治療に今一生懸命マーケティングを含め、開発もどういう風にやろうということ一生懸命スタディしてる最中です。
新たな市場開拓に乗り出そうとする山田、その未来戦略とは?
蟹瀬さてここで、山田さんにはこの番組で恒例になっております魅力戦略のキーワードというものをぜひお書きいただきたいのですがよろしくお願いいたします。
蟹瀬じゃあちょっとあちらのカメラに見せていただけますか。これは先ほどお話のあったことですね?
山田はい。これから時代はどんどんスピードが変わっていくと思いますね。ましてやその外科領域でですね日本ではほとんどこの機器の開発はできてないですけども、この低侵襲もどっちかいいますと、この治療も厚生省も結局積極的に推進していくと言うことを言っております。
私どもも世界もそうですし、これをやることでその三大疾病のこのあれをやはり未然に防止するじゃないですけど治療する、しかも患者に負担を与えない、そういうことではやっぱりこれは将来の未来に対するキーワードなのかなと思います。
蟹瀬なるべく体にはメスを入れない形で病気を治療していくと?そういうことですね。
山田そうですね。予防医学もありますけど、やっぱりそれだけじゃダメです。なったものはなるべく早く発券して同時に除去を早くする。しかも非常に傷を小さくするということですね。
蟹瀬なるほどね。さて国内のマーケットありますけどもそこまで来られたら世界進出というのも当然視野に入ってくるんじゃないかと思うんですけども、いかがでしょうか?
山田日本とですね今の西洋の医療の、西洋医学の医療との私は現在でも10年以上のギャップはあるなと思います。かなり日本は遅れています。これは日本の先生方には申し訳ないけどね、やはり研究医もおられないし、そういう面ではかなりギャップがある。
そこでね、我々医療機器メーカーもやはり若い人を私も元々会社を上場させるのも、やはり若い人材を採りたいと言うことでやったわけですから、そういう若い人材をどしどし欧米に派遣していく。そして、その医療行為、医療技術そのものを、ある程度一生懸命勉強してくる。そしてそれを持ち帰って、日本でやっぱり開発に持ってくるというようなことをやらないと、いつまでたっても日本は遅れをなしてるという。このままであったら、なんか私この業界に入った意味がないなという風に思いますね。
蟹瀬いずれは日本発信、日本から世界へ出していくというくらいの力を持ちたいとことですかね?
山田そういうこと。そういうことを是非持ちたいですね。
蟹瀬さて番組の方を時間がだいぶなくなってきたんですけども、最後にですね、ご覧の皆さんにベンチャービジネスとしてスタートされてここまで来られたわけですから、そういうこと志している方に何かメッセージをいただければと思うんですけど。
山田私はねそういう風に聞かれたらやはり「地鳴り」と言いたいですね。地鳴りを覚えるというんでしょうか。
蟹瀬地鳴りって地面がグーッという感じですか?
山田人間というのは苦境に立った時に、そのプラス思考のエネルギー、こんなものを駆使しましてね、苦境に立っているところを越えていく。
山田その時にね、そういう強い勇気、意志、こんなものはね足元からふつふつと地鳴りとしてこう湧いてくる。是非ねそういう意味ではそのこれから起業される方は勇気を持って、やっぱりプラス思考というのがいいですね。
蟹瀬こういう不況の時代だからこそ余計必要ですね?
山田はい、もう本当にこういう時こそ本当にプラス思考で余計に行っていただく。私なんかマイナス思考ってないですもん。いやそういうはそうじゃなくてね。実際には本当にプラス思考でやりたいなと未だに願望としてはそう思いますよね。
蟹瀬どうもありがとうございました。
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