世界の足元へ「よろこびを敷きつめる」、創業百年を見据えた伸びしろはどこだ
東リ株式会社
代表取締役社長
永嶋 元博
兵庫県伊丹市、この町に大正時代に建てられ、今も尚保存されている建築物がある。95年前の1919年大正8年に創業した会社の本館事務所である。その会社とは床材などに使われる、国産リノリウムを日本で初めて製造販売した、東洋リノリユーム株式会社、のちの東リ株式会社である。東リの95年の伝統と確かな技術に裏付けられた製品の数々は、社会の様々な場所に使われている。5年後の創業百年に向けて、更に飛躍するべく経営戦略をはかる、東リ株式会社 代表取締役社長・永嶋元博に迫る。
東リは一体どんな社風なのだろうか。
西日本営業開発部開発第2グループ・伊井一言でいうとアットホームな会社ですかね。
フロア開発部カーペット開発グループ・細谷 比較的自由に開発できる立場で、やらせてもらっているかなとは思いますよね。
東京ショールーム・保井誠実で真面目な会社?
フロア開発部床材開発グループ・竹川前向きな失敗ということに関しては、失敗を受け入れてもらえる土壌はあるので。
大阪第1営業所・黒潟社内の連携というのが数多くありますので、成功したときにはそういった人々と、喜びを共有できるので、そういう社風があると思います。
白石賢者の選択leaders、本日お招きしていますゲストは、東リ株式会社代表取締役社長の永嶋元博さんです。
蟹瀬さて2つ目のキーワード、「伸びしろ」とおっしゃいました、私なんか64歳になると、人生の伸びしろが少ないなと思うのですけれども、具体的にはどのようなイメージなんでしょうか。
永嶋成熟した経済社会の中で、「伸びしろ」というものを見出すのは、難しいことだと思います。誰の目にでも入りますような、成長分野だけではなくて、未だ手付かずであったり、あるいは開拓や改善の余地がある、こういった伸びしろを自ら作り出していくことが、非常に重要だと考えております。
「伸びしろ」というのは、製品開発やマーケットだけではないと思っております。人材、これはもちろんですけれども、収益性やコスト競争力、そして財務力、あらゆる視点で「伸びしろ」というものを、とらえよう、こういうかたちで私は常々社内に呼び掛けております。
こういった積極的な取り組みをしっかり積み重ねていくことが、5年10年先にどこにも負けない高い組織力、これの力の源になるのかなというふうに考えております。
蟹瀬具体的にはどういうアプローチが、考えられるんですか。例えば既存の事業を、「もうあまりみるところないよね」みたいなところにも、「伸びしろ」は発見できるものなんですか。
永嶋リフォームで例を上げさせていただきますと、先ほども少し触れましたが、浴室専用の床材というのがございます。これは元々医療福祉施設の浴室、こういったところに使っていただくことを目的に開発したものなんですが、実際に販売してみますと、一般住宅のリフォーム用途でも、非常に高い評価をいただく結果となりました。
例えば冬場の入浴時、こういったときにヒートショックを緩和するですとか、表面を水はけをよくしておりますので、転倒防止に繋がる。こういった技術的な工夫が、新たな浴室用シートというマーケットを生み出したことになります。
福祉施設、こういったところでは、介護のお手伝いをする方々にとりましても、膝の負担が和らいで非常にいいという効果がございました。そういう意味でも今後もこのニーズは拡大していくと、このように思っております。
やはり成熟した世の中ですから、大量消費型の大型新製品というよりは、独自な付加価値を持った、魅力ある中型新製品、こういったものを次々と世に送り出していくことが、重要だとこのように考えております。
蟹瀬伸びしろというのを考えたときに、利便性、新しいニーズありますけれども、今の時代になりますと、今度は環境への配慮ということも、重要になってくるのかなという気がするのですけど、そのあたりはどうなのでしょうか。
永嶋環境への取り組みでいくつか例を上げさせていただきますと、古くは30年以上も前からなのですが、農業用のビニールハウスございますね。あの覆っているビニールシートを、再生塩ビとして、実はもう塩ビタイルの一部に再利用しております。
蟹瀬そうなんですか。リサイクルできていると。
永嶋近年は滋賀の工場にプラントを立ち上げまして、タイルカーペットのリサイクルにも取り組んでおります。メンテナンスに関して申し上げますと、丈夫で長持ちする製品作りはもちろんですけれども、汚れたタイルカーペット、これを当社の厚木に独自の洗浄ラインがございまして、ここに持ち込みましてきれいによみがえらせて、また繰り返し使っていただくと、オフロケーションシステムという、メンテナンスサービス、こんなことにも実践しております。
蟹瀬今のお話伺っていると、品物を納入しておしまいではなくて、アフターケアーというところに、相当力点をおかれてきているという感じですかね。これが「伸びしろ」になってくる。
永嶋はい、そうです。
蟹瀬大変面白い「伸びしろ」の話を伺ってきたのですが、やはりその「伸びしろ」、それをいかに伸ばしていくのかということになると、そこにいる人材にかかってきますよね。どんな人たちがこのために努力してくれるのかと。このへんの人材育成というのは、どういう感じで進められているのでしょうか。
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