世界の足元へ「よろこびを敷きつめる」、創業百年を見据えた伸びしろはどこだ
東リ株式会社
代表取締役社長
永嶋 元博
兵庫県伊丹市、この町に大正時代に建てられ、今も尚保存されている建築物がある。95年前の1919年大正8年に創業した会社の本館事務所である。その会社とは床材などに使われる、国産リノリウムを日本で初めて製造販売した、東洋リノリユーム株式会社、のちの東リ株式会社である。東リの95年の伝統と確かな技術に裏付けられた製品の数々は、社会の様々な場所に使われている。5年後の創業百年に向けて、更に飛躍するべく経営戦略をはかる、東リ株式会社 代表取締役社長・永嶋元博に迫る。
蟹瀬生産工程はいろいろなところで、工夫がされているのですね。こういう工場で作られた床材というのは、時代とともに相当イノベーションが繰り返されて、変わってきているんでしょうね。どのあたりが変わってきているんですか。
永嶋オフィスビルを例に上げて申し上げます。
永嶋オフィスの場合は少し古くなりますけれども、1968年に霞が関ビルができて、これは非常に話題になりましたけれども、1970年代に入りますと、東京の新宿、副都心をはじめとしまして、高層ビルの建築ラッシュが始まりました。
このときに非常に画期的だったのは、当時なかなかカーペットを土足のところにつかうなんて感覚はなかったわけですね。新宿の高層ビルで全館ロールカーペットを敷く、そんな現場が登場したのが象徴的な出来事でした。これが1980年代に入りますと、オフィスオートメーション化、OA化の流れに乗りまして、これまでの塩ビタイルですとか、ロールカーペットから、床下配線のOAフロア、このOAフロアに適しました四角い形状のタイルカーペットが、急速に普及拡大してまいりました。
蟹瀬何かあったときにね、その線を調べるのにそこをめくればいいということなんでしょうね。
永嶋もしオフィスのレイアウト変更をするときに、タイルカーペットでしたら、部分的に剥がすだけでその床下の配線のレイアウトも変更できますので、そういうことです。
蟹瀬かたちも時代のニーズに合わせて、変わってきたということになるんですね。
永嶋オフィスは当然、オフィス家具も時代とともにどんどん新しいデザインに変わってきますね。そうしますとオフィス家具との調和という意味では、床面のデザインというものも、非常に意識が高まってまいりました。現代のオフィス環境におきましては、そこで働く様々な働き方、こういったものに合ったインテリア空間という視点で、品質ですとか、あるいは機能ですとか、デザイン、こういったものをよりクリエイティブな仕事に適したものに仕上げていく、こういったようなかたちで、タイルカーペットもどんどん進化を遂げてまいりました。
蟹瀬昔はオフィスというと、どこへ行ってもこんなものかという時代が長かったと思うんですけれども、今働いている人たちの職業の種類だとか、快適に過ごすためにインテリアに力をいれると、そういう流れになったんですね。
永嶋そうですね。
白石より快適さを求めてということですけれども、私たちに身近なランドマーク施設にも、数多く活かされていると聞いたのですが、どのような事例がありますか。
永嶋東京の羽田空港の第1、第2、国際線、この各ターミナルビルには、私どもの別注タイルカーペットをご採用いただいております。
蟹瀬そうなんですか。普段その上を僕ら歩いているわけですね。
永嶋はい、そうなんです。独創的なデザインでありまして、タイルカーペットであるがゆえの、柄の継ぎ目、こういうものを感じさせない、技術的な工夫もこらしております。2012年に開業いたしました、東京スカイツリー、ここの展望デッキと、展望回路、ここにも当社の別注タイルカーペットを納入させていただいております。
蟹瀬あれはそうだったんですね。
永嶋非常に円形の回路になっていますので、実際の施工も大変、われわれのお客様にご苦労して施行して納めていただきました。
蟹瀬縁の下の力持ちという感じがしましたね。
永嶋最近では日本一の高さを誇っております、大阪の地元、あべのハルカスの展望台ですとか、全国各地の百貨店やショッピングセンター、こんなようなランドマークにも、私どもの塩ビ床材やタイルカーペットをご採用いただいております。
蟹瀬マーケットシェアが半分ですからね、これはすごいことだと思いますけれども。そのメインは床材、カーペットということですけれども、それを更に強化していくという必要は、当然出てくると思うのですが、そのあたりはどのようにお考えなのですか。
永嶋社内ではコア事業の再強化と表現しております。
これからどんな経営環境になりましても、次の成長に向けた、しっかりとした収益基盤にしていかなければいけない、そういう意味では常にグローバルな視点で、魅力ある製品開発に努めていかなければならないと、このように考えております。
当然国内マーケットのみならず、今後成長が期待されます、アジアを中心とする海外への積極展開も視野にいれて、取り組んでまいりたいと思っております。
蟹瀬そうするとまた競争相手というのも、変わってくるわけですよね。当然海外ではね。
永嶋そうですね。
白石続いてのキーワードは何でしょうか。
永嶋「伸びしろ」です。
蟹瀬「伸びしろ」、まだこれから伸びる。
白石ぐんぐんいきますね。
蟹瀬白石さんみたいだ。僕はもうない。
白石そんなこと言わないでください。
出演者情報
企業情報
関連コンテンツ
カテゴリー別特集
リンク