日本中の「記憶にとどめた」、生活インフラ企業が瀕死から作った奇跡の軌跡


株式会社ウィーヴァジャパン
取締役社長
高岡 本州

特選インタビュー

瀕死の機械メーカーがある技術の転用で新素材を開発。BtoBからBtoCへと業態を転換しマットレス業界に新規参入した。ハイエンドなユーザーを魅了する新次元マットレスパッドとは。急成長中の株式会社ウィーヴァジャパン取締役社長高岡本州のブランディング戦略に迫る

高岡2009年の秋になりますと、翌年2010年バンクーバーオリンピック。当時、日本の選手で活躍される期待されている選手が、上村愛子選手、もちろん浅田真央選手、そういった方々だったのですが、たまたま上村愛子選手のトレーナーさんをご紹介いただく機会がございました。
やはり北島選手がメダルとった瞬間の感動がなんとも忘れられなく、何かサポートさせていただきたいと思い、2009年の11月ぐらいにこのマットレスをご紹介させていただきました。で、そのトレーナーさんが使って、まあ上村さんなんかも評価いただきました。それから12月1月の間に、もうバンクーバーの選手代表から要請が来まして。結果として2月のバンクーバーオリンピックとの時は日本選手の7割ぐらいに提供しました。

バンクーバーオリンピック日本選手団(選手98名)の約7割にエアウィーブを提供

蟹瀬すごいですね。

高岡選手たちが私どものマットレスをご自分で持っていかれたんです。

蟹瀬成田空港から選手が返ってくるときに、あのカートの上にマットレスがまいてあったりして、あれなんだろうって思いましたもんね。

高岡そうですね。もう少しそこにマットレスってガーンって書いておけばよかったって最初は。

佐々木でもすごくいい宣伝になってますもんね。

高岡そうですね、2010年の2月にはバンクーバーでたくさん選手が使って、さすがにその時まではPRの方法も多少勉強しまして。

蟹瀬そうするとオリンピックでじわじわと来てると。

高岡はい。

蟹瀬次はっていうとどんな感じだったんですか。

高岡研究が終わった後、内田先生とお食事をしました。2010年の2月ぐらい、ちょうどバンクーバーのオリンピックやってたころに、「高岡さんよかったですね。研究もできたし、選手も使ったということでもうこれで万歳だよね」と、これからやることの話になってたんですね。で、そしたらもうないけどだけど一つだけあるねと。ちょうど2010年の6月が南アフリカのサッカーのワールドカップだったんです。

蟹瀬ワールドカップ。メジャーイベントですね。

高岡はい、そうですね。たまたま内田先生の同僚の太田章さんという、早稲田大学のスポーツ科学院の教授なんですが。レスリングで銀メダルオリンピック2つ取られた有名な方です。

高岡それでこの方が内田先生の同僚でちょうどそのお食事をする何日間か前にぎっくり腰をやったらしくて。俺の同僚の太田君が太田先生がぎっくり腰だと。で彼らは岡田さんってよくしってるんで。

蟹瀬岡田監督ね、ええ。

高岡その太田さんにトライしてもらったらどうだってことになって、お渡ししたんです。そうしたら、3日、4日したら内田先生経由で太田さんのぎっくり腰が治っちゃったと。まあ自然に良くなったタイミングもあると思うんですが、とにかく感動していると。

蟹瀬なるほど、このマットレスにしてよかった。

高岡そうです、で当時の岡田監督、日本の代表としていろんな所からワールドカップ大丈夫かと言われてたりしたんで、もう周りがすごい盛り上げようとしてて。で、太田先生は少しでも役に立つんだったらということでうちのマットレスを紹介するって。

蟹瀬すごい情熱が人脈につながってその人脈がビジネスにつながってる。

高岡まあそうです、今でいうとあれはすごい早いパス回しが。

蟹瀬上手いですね。

高岡はい、でただですね、それで日本代表の岡田監督としてトレーナーの方にお渡ししてトライしてもらったんですが。代表チームとしてこれを持ってくかというのは、これはまたチームとして別問題なんで。いいことは分かったけどそこまで必要ないんじゃないかとというお返事でいったん断られたわけですね。

蟹瀬そうなんですか。

高岡はい、そのサンプルを前もってトレーナーさんに試してもらうために送った場所が合宿所だったらしくて。合宿所で選手がマットレスが置いてあるのをみたらしいんですよね。そしたらこれどうしたのって選手がトレーナーさんに聞いたら、代表チームのこれ、提供してくれるって話あったけどそこまでいらないと思って断ったっていったんですね。そしたらそこにいた選手の何人かはこの2、3年の間に我々ご要請があると、興味がある人には渡してた。俺使ってるけどこれいいんだよと。

蟹瀬これいいよと。

佐々木知ってる方が。

高岡いったん断られたんですが4、5日後にいや用意してくれますかってお話がございまして。これですね。

蟹瀬この中にマットレスが入ってるんですね。

高岡はい、これがマットレスがこうたたんで入ってます。

佐々木この大きさなんですね。

蟹瀬すごくコンパクト。

高岡岡田監督。

蟹瀬あ、岡田監督。

高岡はい、ここのサインは日本の代表チームのみんなが寄せ書きをして、私どもに頂いたもので。

蟹瀬ちょっとどの選手か教えてもらえますか。

高岡えっとですね、これは本田選手ですね。

蟹瀬本田選手

高岡なかなか解読が大変だったんですけど。

蟹瀬これ説明がないとわからない。

高岡で、これが長谷部選手です。ですからワールドカップにいった日本のサッカーチームのみんながこれを持ってって、で、記念にってことで一個のマットレスにサインをして。

蟹瀬これは高岡さんにとってどういう品物なんですか?

高岡もうお宝、なるのと同時にやっぱりここに来るご縁ですね。ですから今思い出すのはこの事業インフラだって思って初めて、2008年の北京で売れなくて。ですけど研究しないと思って2008年の北京の後もう本当に売れなくて困ってお金もなかった時に、大学との研究を始めた。でそれが1年半後にこういう形になって。

蟹瀬今振り返ると、そのブランド力っていうのをつけるのに一番大事なものって何だってお考えですか?

高岡やっぱコツコツ僕は実績を積み重ねるですね。

ブランド力とは実績の積み重ね

高岡つまり、先ほど申し上げたお客様との約束を守るつまり期待を裏切らない。それが一番大事かと思っています。

佐々木高岡社長これから手掛ける変革をキーワードで表すとなんでしょうか?

高岡記憶にとどめる。

蟹瀬3つ目のキーワード、「記憶にとどめる」。ちょっとイメージしにくいキーワードが出てきたんですけどもこれはどういう意味合いなんですか。

記憶に留める

高岡つまり、エアウィーブという商品が皆さんの記憶の中にとどめていただかないとなかなか買っていただけない。そういう商品ですね。

蟹瀬そのためにどういうことをするか、それでアスリートとつながっていったと。

高岡そうですね、実績作りっていうのが一つですね。

蟹瀬やっぱりその、浅田真央選手をブランドアンバサダーにしたのがすごいですね、インプットは。

高岡そうですね、幸いなことに彼女は2009年の12月くらいから使い始めて、バンクーバーオリンピックにも持っていってくれました。そのなかで、2011年の2月の末だったんですが、4大陸選手権に出かけるときのテレビ映像、ニュースを私どもが見てまして、びっくりしたことがあるんです。

蟹瀬なんなんですか?

高岡ちょうど日本から外国に出るときですね荷物と一緒に取材されて、でいろいろ答えている時に手に何か書いてあるのをテレビのインタビュアーが見つけて、それなんですか?って。

蟹瀬ありましたね。

高岡でここにですね「マットレス」ってかいってあった。

蟹瀬マットレスって書いてあった。かわいらしい。

高岡それなんですかって、いや、朝マットレスを忘れないようにと思ってと手に書いてきました。でそこまで使っていただいてるんだったら他にもういないわけですよね。それ見た瞬間。それで浅田さんに、事務所を通して是非とも私どものブランドアンバサダーにと。

蟹瀬ご本人も実際使ってらっしゃったっていうことが強みですよね。

高岡そうですね、つまり実績じゃないと広告でお願いするってのはちょっと会社のポリシーに外れてくるんで、やっぱり使ってる浅田さんにお願いできるってのは最高だったと思います。

蟹瀬浅田真央選手を起用したってのは非常に素晴らしい選択だと思うんですけど。それとキーワードのあの記憶にとどめるこれ何か関連ってあるんでしょうか?

高岡我々のマットレスっていうのは今すぐ必要なものでもないわけで、残ってないといけないわけですね。残ってるタイミングが合ってどうしても腰がしんどいもっと快適な睡眠がほしいっていったときに買っていただくと。

蟹瀬あ、あれがあると。

高岡ですから、記憶の中に沈みこまないといけない。で、そのために浅田さんを広告に使わせてブランドアンバサダー担っていただいて、やっぱり彼女はすごくみんなの記憶に残ります

蟹瀬そうですよね。

高岡 で、彼女と一緒に我々のエアウィーブの過去のいわゆるオリンピックとかそういったいろんな所で使われた事実が鎖のように引っかかって記憶の中に沈むと、それであの商品を見たときにじゃあ買ってみようかということになると思うんですよね。

蟹瀬じゃあ浅田真央選手が言ってみりゃイカリみたいな形で。

高岡そうですね。

蟹瀬沈んでてそこにぴったりとこうとまってると。

高岡まあイカリですね、アンカー効果みたいなはい。

蟹瀬まあそういうお話伺っているとほとんどトップアスリート制覇したと。

高岡はい。

蟹瀬いう感じですよ、その次って発想としてはあるわけでしょ?

高岡やっぱり一番限られて高級な高級でしかも製品に対する要求水準が高い世界。

蟹瀬ハイエンドのこと。

高岡ハイエンドですね、やっぱり製品に対する要求水準が高い所で勝負していかないと、その我々としても製品の品質を高く維持することができませんから。そういう面で航空会社のファーストクラスですね。

蟹瀬それは案外気が付かないところですね。

高岡限られた狭いスペースの中で限られた時間をいかに快適に過ごすかで、すごいお金を払う方々がいらっしゃるわけですよね。

蟹瀬そうですよ、だってヨーロッパとかいったら170万円ですからね。

高岡おっしゃる通り、でそこの睡眠をサポートしたいなと思ってですね。

蟹瀬その気づきがすごいですね。

高岡そんなことはないですけど。

蟹瀬だって他のメーカーも考えるわけでしょ当然。

高岡最初はちょっと分厚い物を作ってきましたら搭載できないっていわれて。

蟹瀬やっぱ飛行機の場合は重量がものすごく大事な要素になりますよね。

高岡幸い我々素材を作れる技術があるんで、そしたら。

蟹瀬そこが強いですよね。

高岡そうですね、で、もっと薄いぎりぎりの物を作りまして。

蟹瀬それ以外はどうなんでしょう?

高岡はい、やっぱその次にってことでホテル旅館ですね。で、しかも要求の水準の高い所ということで現在は和倉の加賀谷さん。

蟹瀬あ、加賀谷さん。

プロが選ぶ日本のホテル旅館100戦の総合部門で31年連続1位の石川県和倉温泉加賀谷では迎賓室にエアウィーブを採用している。

高岡で、あとですね東京の丸の内にあるフォーシーズンズ丸の内さん。

世界最高のホテルチェーンといわれるフォーシーズンズホテル。海外のVIPが愛用するフォーシーズンズ丸の内東京もお客様一人一人に合ったカスタマイズサービスとしてエアウィーブを提供している。

谷岡あのいらっしゃったときに長旅でだいぶお疲れでいらっしゃったんですけれどもちょっと堅めのマットレスを用意してもらえると腰が楽になりますっておっしゃったので、こちらの、エアウィーブのマットレスを入れさせていただいたんですけども。翌日のチェックアウトの時に、もう疲れがもう全部とれて楽になったので快適でしたとおっしゃっていただくことができました。

蟹瀬フォーシーズンズはもう、世界でもうトップクラスですからね。

高岡はい、で六本木のリッツカールトンさんもスパで使っていただいたり。

蟹瀬ホテルとか旅館ていうと、当然これまで付き合ってるそういう会社があるわけでしょうから。この辺で営業って相当厳しいんじゃないですか?

高岡そういった高級なこだわってるホテルさんなんかに比較的簡単に採用が決まります。やはり彼らは非常に要求水準が高いですから、特に高級な旅館ホテルはそういうのは選ぶエキスパートがいますんで。

蟹瀬やっぱりサービスをね最優先にするわけですから。

高岡それとすべての部屋を全部してくださいっていうといろいろな軋轢もありますけど、我々別にすべての部屋じゃなくて一番いい部屋だけで。

蟹瀬トップレベルの所だけで。

高岡とお願いしてますんで。

佐々木そういったハイエンドな世界に営業のすること意味合いっていうのはなんなんですか?

高岡いろんな分野のトップっていうのはそれなりの分野でこだわってるというわけですから、そこに使っていただくというのは我々としての製品を開発してお客様に売ってく上での一つの基準になるわけです。

高岡これね、非常に強いブランドを構築できるわけこのハイエンドの所で認知されるっていうのはね。

佐々木はい。

高岡いろんなファッションブランドはみんなそうですよね、やっぱりこれは高いけども素晴らしいものだってっていうバッグだとかそういうお客様が高いお金を払ってもそれをやっぱ買いたいと思うそれブランド力ですもんね。

佐々木それではここで高岡社長の戦略のもとに積み上げられてきたブランド力を示す現場、というものを取材してきました。まずはこちらのVTRをご覧ください。

伊勢丹全店舗の売上高の半分以上を占める伊勢丹新宿本店が、2011年12月からエアウィーブの取り扱いを開始した。

関係者ちょっとこのグラフを見ていただくと一目瞭然でわかるんですが。2万円、3万円台、7万円台、ここが一気に今年は増えた、これがエアウィーブです。

関係者最初スタートした日からどんどん売り上げが伸びていくっていう状態です。もちろん広告を見ていらっしゃった方ですとか、その賑わいを見ていらっしゃる方っていうのがおりますが、これから繁忙期でお客様も増えてきますので。売り上げもこのまま伸びていくと思っています。

蟹瀬高岡さん、これ評判いいじゃないですか。

高岡そうですね。おかげさまで非常にたくさん売れています。

蟹瀬当初はやっぱりデパートの反応っていうのはそんなに温かくはないのかな、って僕は想像しちゃうんですけどね。

高岡どうしても新規参入っていうのは、どこまで実力があるかが重要なんですね。ただ、ちょっと売れ出しましたんで、みなさん一生懸命にプッシュしてくださって。本当に感謝しております。

佐々木そのブランド力を上げる試みとして、他にはどのようなことを実施されていますか?

高岡現在はちょっと違った分野ということで。今ポーラさん化粧品のポーラさんのエステサロンにひいていただいてます。ポーラさんの訪問販売商品として大ヒットでですね、マットレスパッドが。

高岡美容の世界に今度は広がっていってるってことですね。

高岡やはりきれいに睡眠がとれるってことは、ホルモンのいい代謝にもつながってきます。

蟹瀬成長ホルモンってのは寝てる間にでるって聞きます。

高岡おっしゃる通りです。

蟹瀬研究されてますもんね。

高岡はい、ですから、そういう分野にもこの製品がつかわれていることは、より幅広い世界にエアウィーブの技術を自己紹介できる場と。まあそんな風に思っております。

高岡これからね、シニアのマーケットは僕なんかを含めてね、非常に団塊の世代って大きな商品マーケットがあるわけですよね。そこで健康のニーズってのはとても大きいわけですから。この辺はしっかりもっと新しいものを開拓していただいて、わたくしがぐっすり寝られるような。いわゆる素敵なシニアと美しい方をサポートできるように頑張っていきたいと思ってます。

蟹瀬どうもよろしくお願いします。

高岡ありがとうございました。

佐々木ありがとうございました。

※出演者の会社名・役職など掲載情報は、収録当時のものとなります。
※著作権保護の観点から、動画の無断転載・流用などを禁じます。

出演者情報

  • 高岡 本州
  • 1960年
  • 愛知県
  • 慶応義塾大学大学院

企業情報

  • 株式会社ウィーヴァジャパン
  • 放送日 2012.01.15
  • 社名:
  • 株式会社エアウィーヴ
  • 業種:
  • 寝具製造業
  • 本社:
  • 東京都
  • 所在地住所:
  • 東京都中央区八重洲2-1-6八重洲kビル4階
  • 資本金:
  • 3000万円
  • 売上高:
  • 93億円(2014年2月期)、53億円(2013年2月期)、11億円(2012年2月期)
  • 従業員数:
  • 200名(2014年9月現在)

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