虐待防ぐ 母になる準備(vol.33)


BUSINESS FLASH

子供への虐待を防ごうと、大阪の助産師がこのほど、若いお母さんたちに、母になるための知識と心構えを教える専門プログラム『おかあさんになるおけいこ』を開発した。
妊娠したら誰でも気軽に参加できるよう工夫されている。

虐待の温床になっているのはお母さんの孤独感です。昔は大家族で支えあってきましたが、いまのお母さんには子育ての悩みを相談する相手がいないのです。

と開発者の岡いくよさん(48)。

岡さんは長年、妊婦や育児の相談にのってきた。その件数は約7000件を数える。
その経験から、出産前後のケアが必要と痛感したという。
岡さんが培ってきた専門知識とノウハウは、妊娠中と育児期のケアに役立つに違いない。

いまのお母さんたちはインターネットや雑誌を通してベースとなる知識は持っています。でも、妊娠中や出産後には予想できない事態がつきもの。そんな時、何でも相談できる専門家が必要なんです。

岡さんが開発したプログラムは〝ドクター未満・姑(しゅうとめ)以上の専門知識〟がコンセプト。若いお母さんたちが「ドクターに相談するほどのことではないけど、どうしたらいいかわからない」と思う悩みに、〝姑以上〟の専門知識で寄り添っていく。

出産準備期の「妊娠中のおけいこ」と、出産後の「乳児期のおけいこ」の2部構成で、それぞれ段階ごとに、さらに細かいプログラムが組まれている。
たとえば、「妊娠中のおけいこ」であれば、「つわり期のおけいこ」「安定期のおけいこ」「出産前のおけいこ」と3段階に分かれており、どの段階からでも気軽に参加できる。

お花やお茶、英会話など、独身時代にやっていたお稽古(けいこ)と同じ感覚で、気軽に参加できるのが最も大きな特徴です。いまの若い人は、個別レッスンだとかえって気を遣う人が多いですから。

お稽古の会場は主に百貨店や文化教室、あるいは自治体主催のイベントを想定。
できるだけに安価に設定し、一度参加したら育児仲間に出会えるようにも工夫している。

お稽古に通っているうちに出産も育児も楽しいと感じてもらえる内容です。そのうえで個別ケアが必要になったり、あるいは安産のためのマッサージなどの必要が出てきたら、私が責任をもって引き受けます。

さすがベテラン助産師。頼もしい限りである。
この『おかあさんになるおけいこ』は新年からスタートする予定で、現在、開催場所を提供してくれる百貨店や文化教室、自治体を募っている。

岡さんが始めた活動がやがて大きなうねりとなって、日本の少子化現象に歯止めがかかることを願ってやまない。

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  • 公開日 2011.11.25

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