BUSINESS FLASH
何かと物騒な時代だが、古いマンションには無防備な物件が多い。
オートロックにしようとしても、大規模な工事と莫大な費用が必要で、そう簡単にはいかないのが実情だ。
そんな中、大阪の通信設備会社サンノーベルが、手軽にオートロックを設置できるシステムを開発した。「トリムX」という名前で、簡単な工事でどんな古いマンションでも、たちまち〝オートロックマンション〟に様変わりする。
舘➖➖長年、電話事業に取り組んでおり、そのノウハウを応用しました。大規模な工事も必要なく、電話の通信費だけで万全のセキュリティー環境を確保できます。
と舘清通社長(61)。
防犯設備士の資格をもつ後継者の孝明さん(32)とともに開発を進めてきた。
「トリムX」の最大の特長はインターホンを電話回線につなぐ点にある。
そもそもオートロックのしくみは、マンションのエントランスに設置されたインターホンと住居の専用装置をつなぎ、エントランスの扉を住居内から開錠できるもの。
そのため、住居内に専用装置を設置しなければならない。
この点、「トリムX」は電話回線につなぐため、既設の電話で応対することができ、専用装置が必要ない。
来客がエントランスのインターホンで住居番号を押すと、電話が鳴って対話できる。
開錠するときは電話の「♯」を押せばエントランスの扉が開く。電話の転送機能を使えば、携帯電話で対応することも可能だ。
このため、例えば、宅配便の配達時に不在の場合、訪れた配達員と携帯電話で対話でき、外出先で再配達の日時を打ち合わせることもできる。
このシステム、ひょっとしたら、新築マンションに設置されている最新オートロックシステムより便利かもしれない。
舘➖➖開発のきっかけは、ある中古マンションの管理組合の話でした
『建物が古くなるほど資産価値が下がる。せめてオートロックをつけて価値を安定させたいけど、工事費用が莫大なので、規定の管理組合の費用ではまかなえない』という話でした。
それなら、管理組合の費用で支払えるオートロックシステムをつくればいい。
その単純な発想が、長年営んできた電話事業の応用を生んだ。
設置費用は従来の工事の4分の1程度ですむという。
また、維持費は電話回線を利用するため、各世帯月150円程度ですむ。
この金額なら毎月の管理費にプラスしても負担にはならず、住民が得るメリットの方が格段に大きい。
舘➖➖今後、古いオフィスビルのセキュリティーにも取り組みたいです。
と舘さん。
電話回線を使ったセキュリティー事業に期待をふくらませている。
企業情報
- 公開日 2011.04.12
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