「シェアは取り過ぎない」「ライバルをわざとつくってるんですよ」に潜む展開力
株式会社ライブドア
代表取締役社長兼最高経営責任者
堀江 貴文
コミュニケーションツールとして社会に定着したインターネット。その世界で風雲を巻き起こす男がいる。堀江はいかにしてブームとなるほど会社を急成長させることができたのか。遥かなる先見性でビジネス界に新風を吹き込む手腕、その背景となっている姿勢とは?
堀江タイタニック号に乗るのがいいのか自分で全部コントロールできる小舟に乗るのがいいのか、どっちに乗るのがいいんだという話なんですよね。自分で運転してたら、氷山を見つけますよね、一生懸命運転してるから。でもタイタニック号に乗ってたら、安心してしまうじゃないですか。
要は他人の自分の運命をコントロールされる、さらに年功序列とか終身雇用とかという幻想のもとに搾取されると。よくよく考えたらこんな割に合わない商売はないわけですよ。
勝それは大学に入った頃から、そういった考えでいらっしゃったんですか?
堀江理論化できたのはここ数年のことなんですけど、漠然と、ちゃんと考えたことはなかったんですけども、頭の中でなんとなくそうだなと思っていましたね、子どもの頃から。周りの人たちが就職をするのもよく意味が分からなかったですし、だから就職活動を1回もしたことがないんですよね。
木村学校の先生にとっては、いやな生徒かもしれませんね。小学生ぐらいの頃からこういうマインドがあったとしたら、先生の言うことも聞かないし。
堀江そうですね。
木村「なんでみんな同じ方向を向かなきゃいけないんだ?」とか言ってませんでした?
堀江言ってましたね。だから通信簿に協調性がないって書かれてましたから。
木村ある種の、でも褒め言葉かもしれませんよね、協調性がないというのは。
堀江そうでしょうね、今で言えばね。
木村オリジナリティーがあるということだもん。当時の社名というのは、最初の会社の社名というのは、なんという社名だったのですか?
堀江オン・ザ・エッヂという社名だったんですけれども、たまたま思いついた言葉を。
勝これは何かきっかけがあってこの名前にされたとか?
堀江会社を立ち上げるときに、社名を考えなきゃいけないということに気づいて、堀江商事とかってしたらかっこ悪いじゃないですか。かっこいい名前考えなきゃなと思って考えたんですけど。
木村なるほど。
勝最初はでも7畳ほどの小さな事務所からのスタートだったんですね。
堀江そうですね。
勝でも、ああ起業したぞ!という、何か自分で……。
堀江そんなのは全然ないです。
堀江とにかくインターネットのマーケットで、一番早くシェアを取りにいかなければいけないという気持ちで、もう頭の中がいっぱいでしたから。その会社を作る前の1、2年と、その後の3、4年というのは、どっぷり浸かっていましたよね。
木村そうやって起業されて大いに成長され続けてるわけですけども、その成長の秘訣というのはどういうところにあると思います?
堀江普通にやってたら、成長市場ですから成長するに決まってるじゃないですか、ということなんですけど、市場全体が膨らんでますから普通にやってたら膨らむはずですよね。
木村でも、ただその会社を作ったということに満足して、ベンツ乗り回して社長風を吹かせて満足している人もいるではないですか。
堀江それは意味がよく分からないというか、なんなんですかね? 会社作ってから月収100万円切ったことがないんです、1回も。だから月収100万あるとかなりいい暮らしができるんですよ。
木村そうですよね。
堀江なのであんまりそれ以上いい暮らしをしようなんて思わないですよね。それ以上物欲が湧かないですよね。
木村それでも企業は成長させようと。
堀江そっちのほうが、全然エキサイティングで面白いですよね。要はモチベーションが湧くわけです、そっちのほうが。
木村 社長の考えられる仕事術というか、というのは?
堀江仕事術ですか? いや、どうなんですかね。これから重要になってくるのは、おそらく情報でしょうね。情報といっても人脈とか限られたインサイダー情報とかではなくてパブリックな情報をいかに吸収してそれをいかに早く処理できるか、自分のものにできるか、というのがポイントになってくるでしょうね。
情報というのは、予言につながるわけですけど、というのは要は情報力の差というのは見えないもの知らないものというのは、この世にないのと同じわけです。物理学の不確定性原理ではないですけど、要は観測できないものというのはこの世にないのと同じであるという原理なわけなんですけれども、それと同じで、自分の知らない情報というのは世の中に存在しないのと同じではないですか。
例えば津波がスマトラ沖で起きても、知らなければ、それはその人にとっては、要は起こったことではないんですよ。過去のことではないんですよね。情報も他の人が処理できていない情報を自分が処理できていたらデータを基にして、こういうふうにしようと思うと、これは予言になってしまうわけです。なんであいつは、だから未来がこうなるのが分かっているんだと? いうことになってしまうんですよね。その分、人を出し抜けるわけですよ。情報処理能力の差がこれから大事になってくるでしょうね。
97年2月に東大を中退。そして7月、株式会社オン・ザ・エッヂへ組織変更して、代表取締役社長に就任。2000年4月、東証マザーズに上場、データセンター事業を開始します。そして2002年6月、アスキーECを買収。11月には日本最大の無料プロバイダーを運営するライブドアの営業全部の譲受けをします。そして2003年4月、株式会社オン・ザ・エッヂからエッジ株式会社へと社名を変更。8月にはLinuxベースのOS「Lindows OS」日本語版を独占販売という展開をしています。
勝東大、結局中退してしまったんですね。
堀江はい。
勝もう勉強どころではないと?
堀江いや、東大入って勉強してないです。
勝で、会社のほうが忙しくなって?
堀江そうですね。
木村でもなかなかね、東大せっかく入ったんだからと思いません? 全然そんなこと思わなかったですか?
堀江思いません。東大のブランドというのは入学することで得られます。
木村なるほど。
堀江実際得られましから。これもちょっと常識の罠みたいなものなんですけども、なぜか東大生って悪いことしないと思われてるんですよね。悪いやつもいると思うんですけど、要はそれだけで信用されるみたいなところがあって、商売のカウンターパーティーとしても非常に信頼されますよね、普通の人よりは。それはすごくメリットになりましたよね。
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