亡き夫の意志を継ぎ、
モノづくり精神を組織に
浸透させた環境・働き方改革
株式会社ユーシン精機
代表取締役社長
小谷 眞由美
株式会社ユーシン精機は1973年設立の工業用ロボットメーカーだ。京都の小さな町工場からスタートし、後発ながらプラスチック成形品取出ロボット分野で世界トップシェアを誇るまでに成長している。代表取締役社長 小谷眞由美は創業者である亡き夫の意志を継ぎ、いまなお従業員にモノづくり精神を伝えている。小谷が推し進める「働き方改革」の現場に迫る。
小谷 これはその頃、業界にはなくって。ですから値段も1台850万とか。そんな高い850万の機械を買う人はいないって言われていたんですけどね。
蟹瀬 製品をさらに世に知ってもらうということが必要なわけですよね。そのためにはどういうことなさったんですか?
小谷 貸与キャンペーンです。貸し出しです。使っていただければ買っていただけるとこっちは思って。
蟹瀬 無料で貸し出されたわけですか?
小谷 無料です。
ドーキンズ 無料で!?
蟹瀬 そしたらクライアントの方たちは「やっぱりこれ良いから買おう」という。
小谷 射出成形機で物をつくる機械の上にこの機械が乗って24時間、ほとんど1年間動いていたらもう下ろせないです。下ろすのは返すということですから、毎日の売り上げに貢献している機械なんですね、その機械は。だから、まぁ返ってはこない。
ロボット事業を始めて7年目。ユーシン精機は取出タイム0.5秒という当時の世界最速を記録、その後、0.15秒、0.069秒と記録を次々に更新。現在、取り出しタイム0.069秒は世界最速タイムとなっている。しかし、0.069秒という世界記録を更新した2002年、創業者小谷進が急逝、その後は当時副社長だった眞由美に託された。
蟹瀬 しかし、事業をゼロからスタートされて成功にまでたどり着くって、これは大変険しい道のりだと思うんですね。その中で創業者の方はどういう思いでやってこられたんでしょうかね?
小谷 自分がしたいと思う商売をやっている内にお客さんからどんどん注文が来たという感じです。
蟹瀬 やはりお客さんの方から「この方は信用できる」ということでしょうね。
小谷 そうですね。そんなに宣伝もせず彼の魅力で売っていますからね。
蟹瀬 部下の方々には何かおっしゃっていたことあるんですか?
小谷 社員の方相手には、「できない、無理だ、は出発点」とか。なんか標語とか書くのが好きなんですね。当社が小さいときに、できないとか無理だっていうことは、他所も同じだから当社に仕事が来ているんだっていう。
蟹瀬 できないと諦めちゃだめだっていうことですかねぇ。
小谷 そうですね。
創業者、小谷進は、社員にとってどのような存在だったのか。創業者とともに開発に携わった社員に話を聞いた。
(インタビュー: 開発本部 装置開発部 装置機械課 國領 秀機さん)
國領 技術的なことに関しては一切妥協をしなかった人だと思います。私、入社して2、3年目に非常に難しい特注機の物件を任せていただいたんですけれども、そのときも、非常に親身になって、打ち合わせに入って一緒に参加していただいて、会議して装置を組み上げたといったような思い出が残っています。「できない、無理だ、は出発点」と言ったような社訓がありますけれども、部下に対してもその信念、考えは引き継いでいきたいな、というふうに思っております。
「できない、無理だ、は出発点」その信念がゼロからのスタートで世界トップメーカーの一つにまで成長したユーシン精機の原動力。
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