創業100年を迎えた老舗封筒企業のリーダーが目指す「成長を続ける企業 」とは


株式会社イムラ封筒
代表取締役社長
井村 優

特選インタビュー

株式会社イムラ封筒は、1918年に荷札の製造販売からスタートし、現在では封筒業界でトップシェアを誇る老舗企業だ。代表取締役社長 井村優は「これからは製造業でもサービスを売っていく必要がある」と唱える。企業の進化を促すために井村が行った改革は、社員の意識を少しずつ変えていく。

社内改革

蟹瀬 社長になられて、さぁこれから改革だということになったと思うんですけど、具体的にはどのように改革を進められたんですか?

井村 まず、社長になりまして、社員は私の方をいろんな形で見ている。まず、自分をしっかりと見つめ直すということで、自ら自分の無駄を省いていく、ということをしました。例えば、社長車を廃止にして、新幹線は普通席、飛行機も普通席に乗っておりまして、そういったところから社員と同じ視線にしていかなければならないと思ってやってきました。

社長就任後、社員と同じ視線に立つために、井村は社長職の改革に着手。その後は現場改革の一環として、フロアの無駄なコピー機を削減、各地に点在していた社員寮を廃止など、徹底的に無駄を省く改革を断行した。社員は井村の取り組みについてどう思っているのか、話を聞いた。

(インタビュー:メーリングソリューション 営業統括部長 根岸 秀尚さん)

坪井 井村社長が、改革をされる前というのは、会社の雰囲気はどんなような感じだったんでしょうか?

根岸 そうですね。いい意味で家族的なとこもあるんですけど、あまり変わりたくないというか。ちょっとした改革もすごく抵抗があったりとか、「古き慣習・文化を大事にしろ」という気持ちを持っている人が多かったですね。

坪井 井村社長が提示された改革にはどういう印象を受けましたか?

根岸 確かに私も抵抗はあります。そこまで言うかっていうところがあったんですけど、ただやっていくに当たって成果が出ていくと「やっていることは正しかったっていう」実感をしてくるんですよね。

坪井 改革を進めていく中で、ここが変わってきたなって実感されることは、どういったことでしたか?

根岸 社員の発言というか、後ろ向きなところがなくなってきたと思います。次やるために「私はどうしたらいいんだ」とか、今まで発言なかった人間が発言するようになったりとか、「私はこうしたい」とかいうのが出てきておりましたので、そういう建設的な意見が多くなってきたような気がします。

(インタビュー:メーリングソリューション営業統括部 次長兼メーリングソリューション第二部長 田村 哲也さん)

坪井 実際に改革を始めてからはいかがでしたか?

田村 移転もそうなんですけども、急に移転するというよりも長い期間かけて書類を減らしていったりとか、無駄も減らしていってここに移ってきたりしたので、いつの間にか変わっているというところもあって、ああ、上手く乗せられているなっていうところも感じています。

坪井 オフィスの移転も大きな改革の一つだったと思うんですが、実際にオフィスを移転されてみていかがですか?

田村 移転するって時間もすごくかかるし、手間もかかるので、ちょっと駅からも遠くなるということで、やっぱ反対も多かったんですよ。入ってみると、とにかく綺麗だし、フロアでは今まで見なかった人とコミュニケーションが取れるので、そこの変化というのが非常に良かったな、というふうに思いますし、会社に来るのが、ちょっと楽しくなってくるんですよね。

坪井 会社に来るのが楽しい、それは素敵なことですね!今後の展開に関しては、どのようにお考えですか?

田村 まだまだ変化の途中だと思いますので、終わりなき変化を続けていきたいなと。イムラ封筒で働いている誇りというか、自信というか、そういったものを、私もそうですし、メンバー、社員全員が持てるような会社に少しずつ変えていきたいなというふうに思います。

こちらは神奈川県相模原市にあるイムラ封筒相模原工場。イムラは改革の一環として、工場に新たな機械を次々に導入しているという。

(インタビュー:相模原工場 和封平袋課長 岸 栄司さん)

 井村社長は、設備の投資をしていただいております。覚えることの大変さもありますが、新しいことを覚える楽しさですね。そういったようなところもあるかな、というふうに思っております。
それに慣れてくると「自分の機械」というような形になってきますので、いろんなところで、自分の機械は自分が守るというようなところが芽生えてくるのかな、というふうに思っております。
納期が最近やはり短くなってきておりますので、受注生産の私達の力というんですかね、そういったようなところを生かして、大量生産で、短納期で、いいものを仕上げるっていうのを目標に掲げております。

女性社員活躍のために

井村 当社は、男女の比率でいきますと、非常に女性の多い会社になってきております。私個人的にはですね、ちょっと女性の中に入ってきて何か物を喋るというのが正直得意ではなかったものですから、入っていくことも出来たんですけども、彼女たちに構えさせないためにも、同じような経験をして、同じようなコミュニケーションスキルを持っているような人に入ってもらおうと思いまして、タイミング良く2人の顧問を招聘することができて、すでにもう3年経過いたしました。

(インタビュー:人事部 顧問 安井 祐子さん、下出 久子さん)

坪井 初めて会社にいらっしゃって、社員の方々と接したときには、どういうような印象を持たれましたか?

安井 複数人でインタビューをさせていただいたんですが、そのときは結構活発に意見も言いますし、すごく積極的な方たちが多かったんですね。ただ、自分の意見を言ってもできない、どこかで諦めているものを持ってらっしゃるんだなっていうことは感じました。

坪井 実際にお話をされていく中で、社員の方々は何を望んでいるとお感じになられましたか?

下出 二つありまして。このままでいいんです、ほっといてくださいっていう考える方がいる一方で、変われるなら変わってみたい、どんなことが吸収できるんだろうって前向きに捉えてくださっている方もいらしたので、怖いけど一歩を踏み出せるならって、そんなことを望んでらしたんじゃないかなと思いますねぇ。

坪井 お二人が社長と社員の方々とのパイプ役というふうに伺っておりますが、実際にはどのように社員と社長をつないでこられたんですか?

安井 最初の頃は、例えば「私達と一緒にランチをしたいと思っている方いますか?」っていうようにメールで投げかけて数人とお昼を食べたり、そんなところから現場で何が起きているのか、誰がこう言っているではなくて、今現場ではこういうことが起きてるっていうことを社長に申し上げたり、こんなこともしてみたいと思っている人たちいますよって申し上げると、社長が「どんどんやっていいと思いますよ」って言ってくださるので、それが力になりました。

下出 製造業ですので、各工場が全国に8ヶ所ありますので、そこともやっぱり繋がっていかなきゃいけないですね、なんていうご提案を人事部からさせていただいて、各工場を社長と一緒に回るような、そんな活動をしていきました。

坪井 お二人も、みなさんが変わられる様子というのは、だんだん実感されていきましたか?

安井 皆さん本当にすごく積極的にいろんな意見を持ってらっしゃるんですが、どこかでこれやっていいのかな?という部分があったと思うんですね。それが「やってみよう」にだんだん変わってきていることが笑顔にも繋がるでしょうし、すごく対話も増えてきたような気がします。

下出 オフィスが変わってからは特に皆さん表情が明るくなって、社長との距離もぐっと近づいたような気がします。

経営者にとって大切なこと

蟹瀬 これまでお話を伺っていますと本当に大変な改革をなさってこられたと。そんな中で経営者にとって、一番大事なことはこれだっていうのは、何か見つけられましたか?

井村 経営者というのは、いわゆる心理学を勉強してないと、私はできないと思っております。どういうものかというと学問的なものではなくて、相手の気持ちをどう汲み取れるかっていうことが一番必要だと思います。
もちろん、いつでも相手の気持ちのいい言葉だけをかけるわけではなくって、厳しいことを言わなければならないんですが、結果的にはどうやって相手が動いてくれるのかっていうことを想定しながら、言葉を発することが一番必要なのかなというふうに思っています。
例えば、イムラ封筒というのは、社長も井村であり、会社名もイムラであり、要するに井村家のものだと思っている人が、少なからずいると思うんですが、私がずっと思っている、あるいは社員にも伝えているのは、会社は「イムラ」という名前が付いていますが、会社はみんなのものですよと。だから、この会社をみんながどうして行くのかっていうことを考えましょう、ということをずっと言い続けています。

社員の思いを推し量り、それをモチベーションへと昇華させる。そのモチベーションが組織を活性化させ、イノベーションを生む。それが井村が考える経営者として一番大切な仕事。

出演者情報

  • 井村 優
  • 1963年
  • 東京都
  • 慶應義塾大学

企業情報

  • 株式会社イムラ封筒
  • 放送日 2018.10.07
  • 業種 
  • 文具等の製造・販売
  • 所在地住所
  • 大阪市中央区内本町二丁目1-13
  • 資本金
  • 11億97百万円
  • 売上高
  • 213億31百万円
  • 従業員
  • 796名

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