「凡事徹底」できる企業が生き残る。世界と戦う分析・計測機器メーカーの経営戦略
株式会社堀場製作所
代表取締役会長兼グループCEO
堀場 厚
株式会社堀場製作所は京都に拠点を置く分析・計測機器メーカーだ。元は小さな一軒家からスタートした会社だが、今では国内外の企業を傘下に収めるグループ企業へと発展、その事業は自動車、環境、医用、半導体、科学分野など多岐に渡る。代表取締役会長兼グループCEO 堀場厚は経営の舵を繊細かつ大胆に切ることで、厳しい世界経済の中でも常に前進してきた。堀場が語る世界と渡り合うために必要なもの、日本の企業に欠けているものとは?
松尾 賢者の選択 Leaders、ナビゲーターの松尾英里子です。今回は、高い技術力をベースに、鋭い先見性と決断力でグローバルに事業展開する、あるメーカーの取り組みに迫ります。
株式会社堀場製作所―1945年、堀場雅夫が学生ベンチャーの先駆けとして、前身の堀場無線研究所を京都で創業。1950年、国産初のガラス電極式pHメーターを完成。「pHメーターの堀場」として事業を展開。1953年、株式会社堀場製作所創立。1980年代に入ると、半導体分野に進出。1994年には世界初のX線分析顕微鏡開発に成功。現在は高い技術力をベースに、自動車、環境、医用、半導体、科学分野における分析計測機器の製造販売を中心に事業を展開している。
創業から70年を超えてなお、飽くなき探究心で世界を見据えるのは、代表取締役会長兼グループCEO、堀場厚。
堀場 やはり京都っていうのは、「ほんまもん」をすごく大切にする街なんですね。やはりその結果、1200年、都として続いてきたと思うんですね。だから我々もですね、「ほんまもん」にこだわって世界一になっていきたいと思ってます。
京都生まれの誇りを胸に、世界一を目指す!堀場が唱える「ほんまもんの技術」とは?
松尾 こんにちは。松尾英里子と申します。
堀場 こんにちは。堀場です。どうぞよろしく。
松尾 今日は「ほんまもん」の技術がどういったものなのか、いろいろお話を聞かせてください。よろしくお願いいたします。
堀場 はい、わかりました。
松尾 さて、冒頭のVTRでもご紹介がありましたけれども、堀場製作所では多岐にわたって事業を展開されてますね。マンパワーも必要かなと思うんですけれども、人材育成の面とか、気をつけてらっしゃることってありますか?
堀場 そうですね、我々、海外入れてトータルで8,000人、1,000種類ぐらい製品があるんですね。
松尾 そんなに!?
堀場 それぞれを開発して、生産して、営業して、サービスしないといけない。となると、一人ひとりに自覚とオーナーシップがないと、対応できないオペレーションなんですよね。今回の成績が良かったんですけれども、一人ひとりの自覚がないと、なかなか成績っていうのは今の時代良くなっていかないと思うんですね。
我々が指示したことだけしかしない社員だと、これは無理だと思うんですね。そういう面では、一人ひとりの海外入れた「ホリバリアン」というんですけど。
松尾 ホリバリアン?
堀場 はい。堀場で働いてる人たちを「ホリバリアン」っていうのですけど。そのホリバリアン一人ひとりの自覚があるから、今の成績に繋がってるんだと思いますね。
堀場 普通の日本の会社だと本社に技術があって、似た技術の会社を買収していって対応するんですけど、我々の場合は日本にない技術の会社を買収していったんで、結果的にこのマネージメントがすごく大事なんですね。
それから、大きい会社をいくつか買収したんですけど、いずれも彼らの方から堀場グループに入りたいって言ってきてくれたんですね。
松尾 そうなんですね!
堀場 ここがすごく大事なポイントで、やっぱりスピリットの部分なんですね。多分、私が思うのに我々の社是「おもしろ、おかしく」、英語で「Joy and Fun」っていうんですけども、このスピリットに惚れて、我々の傘下に来てくれてるような気がするんですね。
それからもう一つ、私が心がけているのは「Open and Fair」っていうことで、彼らに対して我々の考え方をオープンにする。それからいろんなことをフェアにジャッジしていくと。これはかなり意識してますけども。
これは口コミっていいますか、そういう噂っていうのも同じ業界ですから、伝わっていくんだと思うんですね。だからぜひ、日本の堀場の傘下で、自分たちの事業を広げたいということで来てくれてると思うんですね。
松尾 多くの企業が海外進出しようとして、うまくいかなかったというような話も聞きますが?
堀場 そうですね。まず、買収した方の人っていうのは「買収したよ」っていう感じがありますよね。そうでなくても、彼らはやっぱりある種の買収されたとか、いろんな気持ちがあるわけですね。
それを彼らを立てる。あなたたちの技術は素晴らしい。でも、何かやはりグローバル展開するのに、我々のネットワークが必要ですよね?我々の資本あるいはその投資が必要ですよね?そこはやりましょう。しかし、あなたたちのやれるところは、あなたたちでやりなさい。やれないところはカバーしましょう。堀場っていうブランドの下で対応していきましょう。
当たり前のことなんですよね。この当たり前のことができないんですね。多分会社の経営って、当たり前のことを当たり前にすれば必ず成功します。
松尾 そうですか!
堀場 当たり前のことを当たり前にできないんですよね。それにはやはり時間がかかったり、お金が必要であったり、いい人を集めないといけないっていうのがあるわけです。
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