コロナ危機対応での日本の危機管理は最悪


時代刺激人 Vol. 316

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。
2021/07/20

コロナ危機対応での日本の危機管理は最悪

経済社会が危機に陥った時の政治リーダーの指導力は、国の命運を左右する。世界を大混乱に陥れた新型コロナウイルスでの危機管理時も同じ。政治リーダーが、根拠のない楽観見通しを打ち上げると、国民を不安に追いやるだけだ。危機の現状や想定リスクをしっかりと情報発信し、いま必要な危機管理対応策は何か強く明示することが重要。その点で、今回のコロナ危機対応での日本の政治は場当たり対応に終始し、危機管理は最悪と言っていい。

安倍前首相が誇示した「日本モデル」は功を奏したのか?

ご記憶だろうか。安倍晋三前首相が2020年5月25日、新型コロナウイルス感染リスクが消えていない中で、緊急事態宣言を解除した会見時に「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半でほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示した」と述べたことだ。

その日本モデルは、外出禁止といった法的な強制をとらず、密集など「3密」を避ける行動自粛、休業の要請による感染予防対策、それとクラスター(集団感染)を防ぐための濃厚接触者の追跡対策を組み合わせ、感染拡大と経済への打撃を抑える対応策などが軸だ。
ただ、当時はPCR検査体制の弱さ、保健所が過去の人員削減策の影響で感染拡大に対応しきれない現実、医療現場への対策遅れなどが指摘され、「日本モデル」と言って胸を張れる取り組みなのか、といった冷ややかな受け止め方が多かった。

今もワクチン接種率低さ響く、政治の場当たり対応が問題

それから1年以上たった今、政府が東京五輪対応に右往左往する中で、感染リスクはおさまらず、ますます悪化している。後手後手に回った政府のワクチン対策のツケが混乱をもたらし、主要7か国(G7)の中で日本のワクチン接種率の低さが際立つ。このため、国民の間では感染による重症リスクに加え、ワクチン供給の低さへの不満がピークに達している。この現実を見る限り「日本モデル」を誇示した安倍前首相の政治家の「質」が問われる。

冒頭に述べたように、危機の状況下での危機管理で最も問われるのは、政治リーダーの根拠のない楽観見通しだ。菅義偉首相もコロナ危機対応で「専門家の意見を踏まえて判断する」と、専門家の知見や見通し判断を最重視すると言いながら、いざ実際の危機管理に当たっては、世論を意識した場当たり対応、政治の思惑が常に先行している。GO TO トラベルなどはその典型。ワクチン接種対策も危機管理のまずさが出て、現場は未だに混乱状況だ。

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