中東危機の今こそ、脱石油依存と再生可能エネシフトを


時代刺激人 Vol. 332

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。
2026/6/8 公開

省エネでの内需抑制懸念恐れるな、新型太陽光電池開発も

イラン・ホルムズ海峡封鎖など中東地域での緊迫した事態が続いている。産業用石油などを海外に頼る日本にとって、原油価格高騰のエネルギーリスクが大きい。1ドル150円台に張り付く円安も、輸入品の国内物価高を誘発するリスクがあり、無視できない。

エネルギーの自給率が脆弱な日本は、中東危機の今こそ、地政学的リスクの大きい石油依存を減らすことが最重要。同時に、エネルギー利用構造の再構築が必要だ。端的には太陽光など再生可能エネルギーへの大胆なシフトにチャレンジすべきだ、と問題提起したい。

まずは石油への依存度合い減らし、米国産などに地域分散を

まずは、脱石油への取組みが避けて通れない。日本のエネルギー利活用の現状は、調達面では石油が圧倒的シェアで36%を占め、次いで石炭25%、天然ガス(LNG)21%、原子力や水力、それに太陽光などの再生可能エネルギーが続いている。

このエネルギーを取り巻く日本の現状を見た場合、誰もが考える今後の対応は、間違いなく石油対策だ。価格高騰リスクのある石油への依存度合いを減らすことが必要。同時に、地域リスクの高まる中東依存を大きく見直し、米国産などに地域分散することだろう。

「エネルギー節約が経済にブレーキ」とみる首相判断は間違い

政治が、時代の先を見据えて危機管理判断を行い、政治指導力を発揮することも必要だ。

高市早苗首相は、今年4月27日の国会審議で、「省エネは間違いなく重要。しかしエネルギーの節約行動を国民に求めることは経済活動にブレーキをかけかねないので、踏み出す必要はない、と考えている」と述べた。内需抑制につながるエネルギー節約要請が国民受けせず、経済停滞に陥りかねないため、政治にとってリスクという判断なのだろう。

しかし、その首相判断は間違いだ。中東危機は楽観できる状況にない。危機管理対応という意味で、原油価格高騰を含めた最悪事態を想定することが重要。政府は備蓄原油の取り崩し対応をもとに、あとは物価対策で対応との判断のようだが、不断の省エネ対応が必要だ。

韓国は危機意識が強くエネルギーの節約行動に動いているが、日本は、1970年代の石油ショック時のような大掛かりな節約行動はまだ必要ない。ただ、エネルギーの消費節約に無頓着となり、中東危機をしっかりと受け止めないことの方が、日本にとってはリスクだ。

ガソリン補助は石油消費促す結果になり危機対応に逆行

それよりも政策判断が問われるのは、原油高騰対応の物価対策としてのガソリン補助だ。政府が2026年3月19日からレギュラーガソリンの全国平均価格を1リットルあたり170円程度に抑えるため、石油元売り会社を通じてガソリン対策補助金を出した。

ところが、石油消費を促す結果になり、脱石油依存につながっていない。しかも政府補助金が月額で5000億円にのぼって税金負担増となっている。明らかに見直しが必要だ。

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