劣化が著しい日本、新ソフトパワーで再興を

2023/3/16

高齢社会対応のシステム改革進め、新興国にモデル提供

オランダや韓国といった国々は、人口が少なく国内市場も小さいハンディを乗り越えグローバル世界で際立った存在感を見せている。日本は超高齢社会のさまざまな課題への対応で苦しんでおり、負けずに頑張れ、と前回コラムで申し上げた。私はこの際、日本がさすがソフトパワーの国だと言われるような社会システム改革を大胆に進め、高齢社会問題への対応と経済成長との板挟みに今後、苦しむ新興国に対しモデル提示することだ、と思う。

政治業シニアを中心に世代交代が進まないのは問題

とはいえ今の日本は課題山積だ。米メジャーリーグ野球で大活躍の大谷翔平選手はじめスポーツ分野でグローバル評価が高く、頼もしい若手が存在感を見せるのに、国内を見渡すと、高齢者層に見られる「経年劣化」現象が強まり、経済社会に停滞をもたらしている。
政治がその典型だ。政治業者かと思う高齢政治家が現場を仕切り、世代交代に待ったをかけている。日本の周辺で起きる地殻変動にも鈍感だ。若手政治家がこれに全く反発しないのも不思議だ。今や政治に次代を見据える志も力もなく、三流レベルと言わざるを得ない。

経済も二流、三流の領域に入ってきた。バブル崩壊から30年間もたつが、その間のマクロ経済政策はちぐはぐで、年率1%前後の低成長を続けたままだ。政策検証が行われず、状況に流されているだけで、メリハリがない。また日本の科学技術水準は高いはずなのに、次代を画する凄いイノベーションが見えない。経済社会に構造問題がある、としか思えない。

日本はポストコロナを見据え戦略的な海外展開を

2022/12/27

韓国やオランダに学べ、人口減で需要縮小の国内は期待できず

お隣中国で今、「ゼロコロナ」に固執し国民に強権で行動制限を迫った習近平共産党政権への不満が爆発、社会不安が一気に政治不安に発展しかねない情勢だ。日本はコロナ感染リスクに関しては、国民への自主管理要請がプラスに働き大事に至っていないが、ドル高・円安を背景に、来日観光客が増大する中で、第8波感染の不安は消えず、油断禁物だ。
だが、日本にとって、コロナ対応で重要なことは、目先の問題に加えて、ポストコロナの世界を見据え、時代先取りの海外戦略展開を積極的に行うことだ。

日本は巨大消費市場に事実上安住、グローバル変化を見落とす

私がイチ押しで問題提起したいのは、日本が、オランダや韓国の戦略的な海外展開の取り組みを学ぶ必要がある、ということだ。両国とも人口の少なさ、国内市場の小ささなどから、必然的に海外に活路を求め、戦略的に行動展開して成功を収めているからだ。

日本は、率直に言って、これまで1億2000万人の巨大消費人口をベースにした国内成熟市場に事実上、安住してしまった。世界に誇るイノベーションも生まれなかった。そればかりでない。国内消費市場が今後、少子化による人口減少に伴い、需要縮小という現実が本格化することに関して十分な対策を打ってこなかったーーなどが反省点だ。
しかし、もっと重要な点は、グローバル市場で大きな変化が起き、中でもアジアが世界の成長センターになりつつあるなどの地殻変動を見落としてしまったことだろう。