ドローン活用してぜひインフラ総点検を


時代刺激人 Vol. 310

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

AI活用しビッグデータを価値創造につなげよ

大事なことは、たとえば、老朽インフラに関係するビッグデータをAI(人工知能)のディープラーニング(深層学習)の対象にして、そこから新たなイノベーションを生みだすようにすることだ。中国のIT先端企業のアリババグループは、くやしいことながらデジタル社会化を先取りし、電子商取引(Eコマース)やスマホ決済で集めた膨大な個人取引情報データ、信用データなどを積極活用し新たなビジネスモデル構築にしている。

ドローン問題に深くかかわる長年の友人、日立コンサルティング元社長の芦邊洋司さんは、ドローンで収集したデータに限らず、さまざまな機関、企業などのビッグデータの活用に関して、こう述べている。「率直に言えば、いまはデータ収集のレベルを終えて、それらデータを価値創造にどうつなげていくかだ。AIの活用もそこから始まる」と。

規制よりも「小さな政府」で常識破りを

先日出会った経済産業省幹部が、とても興味深いことを言っていた。
「デジタル化の新たな流れを引き出すためには、小さな政府にしないとダメだ、と痛感する。ドローン1つとっても、安全確保、安全保障がらみの観点などもあって、われわれ官僚はタテ割りの行政の守りの意識から、すぐに規制にこだわってしまう。でも、変化の激しいスピードの時代に、規制で民間などの新たな動きをしばって、また規制に走るようではイノベーションは生まれない。われわれ官僚も考え直す時期かもしれない」と。

こういった経済官僚が輩出してくれば、日本は規制で縛られずに、常識破り、イノベーション起こしの新たな動きが出てくる。官僚が時代を画するわけではないが、失敗を恐れない、リスクをとる官僚の登場を期待したい。

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