時代刺激人 Vol. 321
牧野 義司まきの よしじ
1943年大阪府生まれ。
過去の高度成長期ビジネスモデルを捨てきれなかった?
なぜなのだろうか。私の見るところ、日本企業は、時代が大きく様変わりして、デフレ経済が30年間も続いているのに、依然として、過去の高度成長時代のビジネスモデルにこだわり、そのモデルを捨てきれなかった。しかも、消費購買力のある中間所得層の厚みが日本の場合、主要な国々に比べて際立っているため、主だった企業は、この消費者層をターゲットに企業エネルギーをつぎ込めば、企業成長はまず大丈夫、と安易に考えてしまった。
もちろん、すべての日本企業が内向きで、海外に目を向けず、輸出にもグローバル戦略にも対応していなかったとは言わない。しかも、世界の主要地域でインターネットを軸にデジタル化が進み、米国アマゾン、中国アリババなどのプラットフォーマー企業が台頭、これら企業がEコマース(電子商取引)をベースに電子決済するスピードの速さを駆使、グローバルネットワークづくりによって新市場創造していることなどに関して、日本企業は認識をしていた。ただ、積極対応する行動が伴わなかった、というのが現状だと見る。
ベトナムで韓国映画に人気、韓国は経済に加え文化も輸出
そこで、日本はゴルフで言うリカバリーショットを打つ時期に来た、と考える。ポイントは、国内経済を引き続き大事にするものの、グローバル経済への本格チャレンジ、戦略的な取り組み対応が必要、と考える。そのモデル事例として韓国やオランダを、と提案したい。
まず韓国だ。最近、ベトナム問題研究会という研究者のオンライン会合で、ベトナムに長く在住する日本人から興味深い話を聞いた。「ベトナムで最近、ライフスタイル願望に大きな変化が見られ、ベトナム国民の間で、米国映画と並んで韓国映画に対する人気が強まっている。韓国はアジアに対し経済のみならず、映画でも攻勢をかけている。なぜ日本映画が出ないのか、と関係者に聞いたら、日本は国内市場で利益を出せるため、海外に出る必要がないようだ、という。これには驚いた」と。日本の内向き志向が映画にも出ていたのだ。
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