

そうした中で最近、巨大マネーを動かし話題多い米投資家のジム・ロジャーズ氏が「捨てられる日本」という題名の著書で、鋭い指摘を行った。一時1ドル150円にまで円安が進んだ日本の現状について「大半の海外投資家は、これまで日本円を安全資産で、リスク回避のための避難通貨をみなしてきた。しかし昨今、彼らは、この国を徐々に見捨て、『円売り』の動きを加速しつつある」と述べている。悔しい話だが、日本自体の劣化で円評価がかつての円高時に比べて大きく下落、国際的な信認が落ちていることは間違いない現実だ。
もう1つ、厳しい評価がある。英BBC東京特派員を10年続け、最近、中国上海特派員に転出したルーバート・ヘイズ氏が「過去にとらわれる日本」と題した日本卒業?レポートで「かつて米国や欧州から経済台頭を恐れられた日本が今、経済低迷に苦しみ、変化に対する根強い抵抗と過去への頑な執着が前進を阻んでいる」というのだ。以下に提言が続く。
「私は、老人世代が支配する日本の未来を心配している。(中略)日本は次第に存在感のない存在へと色あせていくのだろうか。それとも自分を作り直す気があるのだろうか。日本が繁栄するには世界の変化を受け入れ(自らを変えていか)なくてはならない」と。
これらの人たちの指摘は厳しい。日本は今や二流、三流国に転落し、将来展望がない国になったのだろうか。私の答えはNOだ。もちろん、日本には「経年劣化」現象が見られ、今後、人口の少子化、そして高齢化をきっかけに、成長への制約となる問題や課題を数多く抱え、成熟経済社会の負の側面が出てくるのは確実だ。それは否定しない。
しかし、ここからが日本の踏ん張りどころだ。自らの強み、弱みをしっかりと見極め、強み部分を伸ばすことが重要だ。その場合、軍事力などハードパワーを誇示することは日本ではあり得ず、ソフトパワーを全面に押し出すことだ。ソフトパワーには、いろいろなものがあり得るが、日本としては成熟経済社会の先進モデル事例を示すことがポイントだ。
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