着実に進む日本の衰退、若手政治家はなぜ動かない?


時代刺激人

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

日本国富を吸い上げるマグニフィセント7に政治はどう対応?

次に、若手政治家たちが重視すべき取り組み課題は、グローバルレベルで活動するIT・デジタルプラットフォーマーのGAFAの問題だ。GOOGLE、APPLE、FACEBOOK、AMAZONの4社の頭文字をとったのはご存じのとおり。ところが、友人の専門家によると、GAFAは今、マグニフィセント7と名称を変え、さらに強大化しつつある。
つまりGAFA4社にソフトウエア開発のマイクロソフト、半導体のエヌビデア、電気自動車(EV)のテスラ3社が加わり7社となった。エヌビデアなどは独自の国際標準を作り上げ、二重、三重のパテント保護バリアーで防御網も敷いている、という。こわい存在だ。

しかし、問題は、彼らがインターネット上の決済、データ通信のサービス、さらには集荷配送の物流サービスなどプラットフォームを通じたサービスによって、日本のマネーやデータ、情報を巧みに吸い上げていることだ。日本の国富が吸い上げられている、と言っても過言でない。若手政治家たちはこれらにどう対応しようと考えているのかがポイントだ。

公取委は規制対応に躍起、中国プラットフォーマー対応も課題

これら米国勢に今や中国のプラットフォーマーのBATH、端的にはBYDIU(バイドウ)、ALIBABA(アリババ)、TENCENT(テンセント)、HUAWEI(フアウエイ)も同じような形で、日本市場に食い込み、マネーのみならずビッグデータを吸い上げつつある。

公正取引委員会(公取委)は、これらプラットフォーマーがそれぞれの分野での独占的な事業展開によって、後発企業の事業参入を妨げたり、公正競争を阻むことがあってはならない、とEU(欧州連合)と連携し、デジタルプラットフォーマーの行動に歯止めをかけるのに躍起だ。最近のスマホ特定ソフトウエア競争促進法での規制対応もその1つ。

日本は今後「国際標準」を強みにする企業の輩出が重要

日本での今後の重要ポイントは、米国や中国の巨大プラットフォーマーに対抗する独自「国際標準」を強みにする企業群の輩出がどこまで期待できるかどうか、という点だ。
思いつくのは、フリーマーケットアプリのメルカリ、それにヤフー、LINE、楽天グループなどだが、率直なところ、スケールの大きさで見ても、まだ太刀打ちできる状況にない。ましてや米国や中国からマネーやデータを逆に日本へ吸い寄せられるか、と言えば、マグニフィセント7や中国BATHへの対抗は難しい。デジタル化への対応の遅れが未だに響いている。自民党の若手政治家は、この現実をどう見ているのだろうか。

関連コンテンツ

運営会社

株式会社矢動丸プロジェクト
https://yadoumaru.co.jp

東京本社
〒104-0061 東京都中央区銀座6-2-1
Daiwa銀座ビル8F
TEL:03-6215-8088
FAX:03-6215-8089
google map

大阪本社
〒530-0001 大阪市北区梅田1-11-4
大阪駅前第4ビル23F
TEL:06-6346-5501
FAX:06-6346-5502
google map

JASRAC許諾番号
9011771002Y45040