農業でもゲームチェンジ、1粒1000円イチゴ実現


時代刺激人

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

農業でもゲームチェンジ、1粒1000円イチゴ実現

企業経営の現場で最近、ビジネスモデルを根本から変革するゲームチェンジがキーワードになりつつある。ICT(情報通信技術)などテクノロジーの進化でデジタル化が急速に進み、これまでの勘や経験、伝統的な経営手法で対応しきれない現実が出てきたためだ。

現に、NTTがゲームチェンジにチャレンジした。光技術を使ったチップを独自開発したのに伴い、澤田純NTT社長は「電子回路を超高速の光子回路に変えることが可能になり、新たな経営チャレンジをする」と表明。民営化後、固定電話から携帯電話に切り替わっても巨大組織の弊害で伸び悩んでいた経営体だけに経営チェンジの起爆剤にしたい意向だ。

3.11被災現場で若手IT経営者が決断

そのゲームチェンジに農業現場でも大胆にチャレンジ、見事に成功した事例がある。ぜひ取り上げてみたい。3.11の東日本大震災時に、東京でITコンサルティングにかかわっていた若手経営者の岩佐大輝さんが、生まれ故郷の荒廃した被災現場に立ち、これまでの農業生産手法では復興再生が無理と判断、試行錯誤を繰り返しながら大胆なゲームチェンジによって、何と1粒1000円という高付加価値のイチゴの商品化に成功した話だ。

岩佐さんとの出会いは、私がメディアコンサルティングでかかわった日本政策金融公庫の雑誌企画「変革は人にあり」の取材がきっかけだ。岩佐さんによると、大地震・大津波のニュースに驚き、東京から必死で実家のある宮城県亘理郡山元町に戻った。幸い地方公務員の両親が住む実家は高台にあり、無事だったが、海沿いに広がるイチゴハウスは壊滅的な状況で、呆然とした。でも、何とか役に立ちたいと思った、という。

「イチゴが町の誇り」に刺激されゼロスタート

そこで、岩佐さんは、復興手助けの合間に、被災した人たちに「町の誇りは何だろうか」と聞いて回ったら「ここはイチゴの名産地で、それが誇りだ」という声が多かった。「希望を生み出すカギは誇りにするイチゴの再生だ」と感じた。しかし問題は、岩佐さん自身が農業に未体験だったので、支援活動に乗り出すには、一から学ぶしかなかった。
ゼロからのスタートは大変なことだ。でも、取材していて「この人はすごい」と思ったのは、そのチャレンジぶりだ。東京で展開するIT企業の経営を見ながら、とんぼ返りで山元町に戻ってイチゴ学習、復興支援生活の繰り返しだったが、「やるからには日本一、いや世界一をめざそう」と施設園芸の先進地オランダなどにも足を伸ばして学習を続けた。そして、イチゴ生産・加工・流通のスタートアップ企業GRAを設立した。

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