「不趨浮利」に象徴する住友の真髄、無私の精神と「透明なピラミッド型組織」
住友電気工業株式会社
取締役会長
松本 正義
住友電気工業株式会社。同社の起源は400年以上前に始まった、銅の精錬事業。これがのちに、愛媛県の別子銅山の開発へとつながる。そこで採掘した銅から、棒や板などを加工する事業を始める。現在、住友電工は自動車関連、情報通信、エレクトロニクス、環境エネルギー、産業素材など、幅広く事業を展開する。2017年に120周年を迎えた住友電工をけん引する、取締役会長、松本正義に、成長し続ける企業の取組みを聞いた。
竹内シカゴからお戻りになって、その後はどのようなお仕事をされていたのですか?
松本課長補佐みたいな形で帰ってまいりまして、「アメリカ戦略をどうするか」という事業部がアメリカで拡販するためには住友電工が独自の会社を作らなければいけないということを考えて、みんな、上司も含めて、いろいろ言って、その事業部は経験がないものですから、「大丈夫かな…」という心配もあったんでしょうね。「やらせてみ。失敗したら、責任取らせたらいいんだ」という話で、なかなか抵抗がありましたけれども、私の言うことを聞いていただいて、それでできるんですね。シカゴに。アメリカ戦略をどうするかという道筋を松本は作ってたなと。
ドーキンズ40歳でロンドンに赴任した松本会長は現地法人の社長として住友電工の製品の販売を拡大するという任務を遂行する一方、イギリスの業界情報を得て、本社へ送るという役目も担うことになりました。その情報を得るため、松本会長はロンドンにある業界の国際組織に参加することになりました。
松本それで、僕はよく、なぜ、僕はロンドンに行ったのか、よく分からないんですけれども、上のほうは「もう少し、あいつ、考え方がせまいから、もう一回、駐在に行かせたほうがいいのではないか」と言われたのかもしれません。
竹内具体的にはどんな活動というか、日々、どのような作業をされていたのですか?
松本一つは、私どもは銅をたくさん買っているんです。銅線とかを作ってる。そこは、The London Metal Exchange(LME、ロンドン金属取引所)という取引所がありまして、それに付随した世界の組織で、IWCC、The International Wrought Copper Council(国際銅加工業協議会)というところにも足を運んでいろいろな情報を取って、日本に送る。資金関係のこともやってたね。
竹内先ほど、アメリカ時代に、シカゴ時代に心がくじけそうになったときは詩が支えてくれたというお話がありましたけれども、逆に、このロンドン時代は何か支えになるようなものは何かあったのですか?
松本僕は絵が好きなので、絵を買いに行きますね。
竹内絵を買うんですか?
松本買った。
松本それで、何か象徴的なものを事務所に置いとかないといかんなと思って、ギャラリーに入って、モンタギュー・ドーソンがたまたまそこに4枚あったんですよ。4枚全部買いました。これから私は荒波を越えて、小さな住友電工を作るんだ。This is my spirit!とか言うわけです、下手な英語で。そうしたら、みんな、そうかそうか、松本さん、これがスピリット。
竹内その絵はまさに状況と心境がマッチして、未来へ向かっていくという感じだったのですね。
ドーキンズ1992年、48歳でロンドンから帰国した松本会長は自動車企画部長に就任。ワイヤーハーネスという自動車部品の販売を担当しました。
ワイヤーハーネスとは自動車部品の一種で電力や制御信号を伝える、ケーブルやコネクタなどからなるユニット製品。車の隅々まで張り巡らされ、人間にたとえると血管や神経のようなもの。
ドーキンズ当時、住友電工のワイヤーハーネスの世界シェアは7パーセントから8パーセント。そこから、松本会長の打ち出した戦略が功を奏し、売り上げは右肩上がりに伸びていきました。そして、現在の世界シェアは27パーセントまで上昇。住友電工のメイン事業となるほどに成長しました。
竹内帰国されて、自動車企画部長にご就任されたということで、その後はどうなのでしょう?
松本その後は、3つの柱、モノづくりは住友電装さん、一生懸命やってくれる。戦略と営業は住友電工がやって、ジョイントベンチャーの研究所(※オートネットワーク技術研究所)、これは一緒にやりましょうということで、この3つがうまいこと動き出した。
松本それで、僕はその中心にいたから大変、アメリカの駐在のときに悩み、いろいろしたこと、ヨーロッパでいろいろな素晴らしい人に会って、彼らから学んだこと、これがワイヤーハーネスのサクセスストーリーにつながっていったと解釈しています。
竹内松本会長が理想とする組織、こういう組織が望ましい、目指すところというのはどういう組織だと。
松本これはクリスタルなピラミッド組織。ピラミッド組織でもクリスタルでなければダメ。
竹内透明性がないといけない。
松本いけない。誰が何をやって、どういう結果をもたらしたのかということがよく分かる組織。少なくとも、ピラミッド組織は戦う組織。だけど、下の意見が聞こえないピラミッド組織では困る。そして、下からの上への特別ルートを持った組織というのが良いのではないかと思っています。
どんな困難な状況におかれたときでも、常に前にすすむことを選択する。
誠心誠意、努力をしていれば、それを必ず見てくれている人がいるから。
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