リスクがあっても任せる人材育成。10兆円企業へ、先代から伝承した教えと夢
大和ハウス工業株式会社
代表取締役会長
樋口 武男
男は、創業オーナーの意志を継いで会長となった。赤字の関連会社を立て直し、本社の赤字も解消、大和ハウス工業・樋口武男(ひぐちたけお)代表取締役会長が語る、熱湯経営の哲学とは?
蟹瀬わかりやすいですね。
樋口大急ぎで12月になんとか間に合わして株主総会やったんです。で、1対0.3で承認を得て、4月1日でしょう。で、4月1日スタートする前に、また正月明けか12月末か呼ばれて、「合併で新しくスタートする前に、大和ハウスの全事業所を回ってこいよ」と。
蟹瀬自分の目で見てこいと。
樋口ええ。だから「支店でそんな私、30年も大和ハウスにおったんやから、わかってますやないか」と「そない言うけどな、8年間は大きいぞ」と、「新しい人も入ってるし変わってるぞ」と「だから見てこい」と。で、その前任のそれまでの社長とこれから社長になろうとする私と、非常勤の取締役でしょう?そのとき。それで全国、工場と支店、営業所全部回りましたよ。
蟹瀬実際に見てみて……。
樋口それで訓示しに回りましたよ。
蟹瀬どこが変わってましたか?
樋口そのときはそれほど感じなかった、自分が自己紹介しなければならないしと、6,000人からいるわけですからね。
それで今度こういうふうに決まったからということでずっと説明して、自分の思いを言うのと顔見せと両方ですね。それで回ってきて、4月1日スタートしたでしょう。4月1日スタートして、2001年4月1日は日曜日なんですよ。だから記念すべき日だから全部に振替休日取って出てくれといって出社してもらって、管理職600人ぐらいを2階の大講堂に集めてスタートの訓示したんですよ。
で、順番に回りながら、100人ぐらいいる部門がありまして、そこで担当役員が前で朝礼をやってるわけですよ。そこ一番最初に行ったんですよ。一番後ろで聞いていて後ろに立ってる子の横で、聞こえないんですよ。それでこっちの子に「きみ、聞こえとんか?」と言ったら「聞こえません」と言う。こっちの子に「きみ、聞こえとんか?」「聞こえません」と。そしたら頭にきて、「こらあ」言って怒ったんですよ。
蟹瀬(笑)。
樋口そしたら全員がビュッと回れ右しますよね。それでその朝礼している人間に「おまえは暇つぶしにやっとのか!」と言って「なんの目的でやっとんや」と「目的はなんや!」と詰めたんですよ。そしたら黙ってしまうからですね、「そんな無意味な時間つぶしをして、みんな聞いてるふりをしてるだけで、それもわからんで朗々としゃべっとってなんや!」と言って叱り飛ばして、それからまたずっと順番に行って、ある部署行ったら、ここは「きみらの仕事は、会社にプラスになるためにはどういうことをしようとしているんや?」と、首かしげてるから「そんな目的もはっきりせんような仕事やったら、あってもなかっても一緒や」と「つぶせ!」と。
蟹瀬「つぶせ」と?
樋口そんなこととか、部長が2人いるから部門が二つあるとかですね。
蟹瀬同じことをやってるのに、どっちかといえば。
樋口同じようなことなので、一つにできることを二つに分けていると。だから
樋口かつての野武士集団が、お公家さんになってしまっているということで、あっちこっち怒ったんですよ。それで……。
蟹瀬下のほうも、いわゆるヒラメ社員になっているということですよね? 上のほうばっかり見てるのをヒラメ社員というんですけど。
樋口で、4月の役員会のときに、そういう事例を挙げて思い切り怒ったんですよ。で、そのときにテープ録らせといて、
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