300年企業が歴史的危機を乗り越えた「小商いのセンス」と「クラウド」とは
国分株式会社
代表取締役会長兼社長
國分 勘兵衛
江戸時代の初め、五街道の起点とされた現在の日本橋。この地で江戸時代から事業を繰り広げる創業300年の老舗企業国分(こくぶ)株式会社がある。国分は江戸中期に伊勢の4代目勘兵衛がしょうゆ醸造業を起業し日本橋に販売拠点を設けたことに始まる。明治に入って業態を転換し、卸問屋として様々な食料品を市場へと提供してきた。また、自社ブランドの缶詰製品なども生産、K&Kブランドとして消費者に広く知られている。元気な優良企業でいられるのは30年までと唱えられる一方で、老舗企業の長寿のゆえんとは。国分をけん引する國分勘兵衛の成長戦略に迫る。
國分日本橋菓房ではカルピス餅っていうのを作りまして、柔らかいちょっとした、羽二重餅みたいなものの中にカルピスを入れて、ちょっとしたおやつに食べられるような、そういうものもやってます。
白石ちょっとどんなものか想像つかないんですけれども、VTRがあるということなのでこちらをご覧いただきましょう。
宮川そうですか、今ちょっと考えていました。
国分は日本橋の老舗企業ばかりではなく、多くの食品メーカーとも共同開発をしており、カルピスとのコラボから生まれた商品もある。
日本橋菓房社長:宮崎カルピスという4文字のブランドを知らない日本人はおりませんので。
カルピス社員:増島社内の中でもお餅と来たかというような驚きの反応はありましたね。
現在その第2弾の開発も進行中だという。
宮崎言ってもいいんですか。羊羹(ようかん)なんです。
増島カルピスの味がきっちりするということで、ご協力をいただいて、食べれば納得ということで。
国分とカルピスとのコラボ、カルピス羊羹こうご期待。
宮川これは会長は。
國分もう食べましたよ。サンプルの時に。
白石実際にいかがでしたか。どうでしたか会長。
國分おいしかったですよ。
白石なんか本当に現代というか。
宮川やはりせっかくそれぞれが持っていらっしゃるブランド力というのがあるわけですから、それ単独ではなくて色々組み合わせることによって新しいものが出てきますね。カルピス羊羹も期待しております。
國分私も期待しております。
宮川ところで、先ほどお話にもありました、成長戦略のキーワードの一つとしてクラウドマーケティングという言葉が出てきました。これはどういう風な意味なんでしょうか。
國分メーカーは自分の商品を作って、自分のブランドをつけて販売をするんですけれども、そこにはいろんな技術があるんですね。うどんならうどん屋さん、蕎麦なら蕎麦を作って自分のブランドをつけて売るということはもちろんできるんですけれども、そこにその技術を、例えば、出汁ですとか、たれですとかいうものを、一緒に混ぜてそれで一つの商品に仕上げていくということですね。そういうことが小さなメーカーさんは、自分の技術とかブランドとか言うものをたくさんお持ちなんですね。
そういうものがコンピューターではありませんけれども、クラウドのように、雲となって飛んでいると。それを消費者のニーズがどこら辺にあるかということを問屋は探りながら、色んなそのクラウドからソフトを引き出してきて、一つの商品に仕上げていくという、そういうマーケティングをしたらいいんじゃないかということで、そういうことを言い出したわけなんですけれども。雲に浮かんでいるソフトを寄せてきて、それで一つの商品にして販売をするということをやっております。
宮川一般には広告代理店とか、そういった色んなアイデアを集めてくるところっていうのはあるわけですけれども、それは問屋さんの役割として、やっぱり食品ですから、ずっとこれまで扱っていらした専門家がこういったものを集めてくるということはやっぱり意味があることなんでしょうね。
國分ですから問屋というのは、問屋の資産は人材ですけれども、人材の他にお得意様なんですよね。ですからお得意様はどういう商品を欲しているとか、できたものはどこのお得意様に売ってもらえるとかっていうことのソフトをもっているわけですね。
ですから、広告代理店がいくら作ってみても、どこで売ったらいいのか、どういう風に作ってもらったらいいのかというようなことがなかなかソフトとしてないわけで、そういうのを持っているのが中間で、我々が生産者と小売店、消費者の間に入って情報を持って流通ルートを持っているの問屋の仕事ではないかなというふうに思っておりまして、そういうふうに考えると、雲はいくつも浮かんでおりますから、それをこの雲とこの雲をどういう風に合わせたらいいかというようなことをやればいいんじゃないかなという風に、今は思ってますけれども。
宮川これまでは私たち、国分さんでいうとK&Kというマークですけれども、これから新しい商品ラインとかそういうものは出てくるということですか。
國分そうですね。今度はtabete(タベテ)というブランドを立ち上げましたけど、その中にはいろんな種類のものが入っています。
白石具体的に言いますと、どういった商品なんですか、そのtabeteというのは。
創業300周年という節目に国分が打ち出した新ブランドtabeteには、簡便調味料シリーズの楽ちんCookの他、マンネリ化する昼食メニューを改善したいと考える主婦とその家族を想定して開発された、野菜と麺を組み合わせた、ひる麺シリーズ、また日常の夕食メニューに味のアクセントをつけたいと考える人たちのための具入り調味料シリーズONE SPOONなどがある。
白石そういったもので味のレパートリーというか、面白さも広がって。
宮川またその命名に一つ共通するようなものが、面白さがありますね。
國分そうですね。今K&Kとかそういう風にこだわらずに、世の中に受けるようなそういうデザインをして売るという風になりましたですね。
宮川こうやってこの日本のマーケットっていうのは挑戦をしてらっしゃるわけですけれども、今、色んな企業がやはり海外に、特に成長著しいアジアとか、そういうところを目指してらっしゃる企業が多いんですけれども、国分さんはどういう方針を持っていらっしゃいますか。
國分海外事業というのは、カントリーリスクというものもありますし、なかなか難しいですね。ですから、やっぱりそれに合った人材をまず作っていかないといけないということなんですけども。そういう点で色々海外に支店を出したりしていますけれども、やっぱり国分が出ていく以上は国分のブランドとか、国分のノウハウっていうものをもった人が行かないと、ただ語学ができるからってだけで中国に行っても何をやっていいか分からないですね。
ですから、まず国分のノウハウをもった人を少しずつ海外に出して、これからどういうニーズを持ったらいいか、探したらいいかということを今少しずつやっています。それと同時に、これはソウルですけれども、韓国ですけれども、そこにカレーショップをちょっと出しまして、TOKYO CURRY 日本橋という店の名前なんですけど、それを出してここ数年になりますけれども、やったりしています。
宮川まず、そうしますとやっぱり人材育成という、海外向けのことからやってらっしゃるということですね。
國分ですから、人材育成のために、若手の人で、海外チャレンジャー制度っていうのを作りまして、自分で一つ海外行ってやってきたり、勉強してきたりしたいという人はそれを申し出てアメリカ行ったり、中国行ったり、東南アジアの方に行ったりということで、3ヶ月ぐらいずっと回って勉強してくるという制度も取っております。
宮川そうなんですか。そうすると、着々と海外に目を向けていらっしゃる。
國分そうですね。海外は、これからは避けては通れないと思っていますから。体制を少し整えませんと、なかなか難しいという風に思います。
宮川その辺がやはり300年の老舗企業ですね。さっとはいかないと。まず。
國分時間をまずかけないと、300年かかったんですからね。そうは言うんですけれども、私どもは昔から海外にはずっと出ていまして、結局戦争で負けたときに全部それはなくなったというようなこともあるんですね、歴史も。これからまた世の中がどういう風に変わるか分かりませんけれども、一つの方向としては海外という分野もあるなという形になると思います。
宮川今年300年という節目ですけど、やはり次の100年はどういう目標を立てられるわけですか。
國分次の100年は、ちょっと目標は難しいですね、先のことは。100年前のことを思うとその頃は今1兆5000億ぐらいの売り上げですけども、その時の売り上げってどんなんでしょうね、わずかな売り上げだったと思うんですけれども、100年後はどうなるかとっても分からないので、100年先でも、社会に機能できる会社と。そういう風にもっていけばいいんじゃないかと思います。
宮川そのためには、先ほどおっしゃたように、一歩、ダメでも半歩、常に先を見て。
國分そうですね、半歩ぐらい先を見ながら世の中を渡って行けるような形になればいいんじゃないでしょうかね。
宮川どうもありがとうございました。
國分日本っていうのは、みんな豊かな生活をして、頼りすぎてますよね、誰か。国に頼ったり、両親に頼ったり、友達に頼ったり、そういう風に頼っている人が多いんですけれども、若者にはやっぱり「自分のことは自分でしろ」というのがいいんじゃないかなという風に思いますね。
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