時代変化を見据え「第2の創業」チャレンジを


時代刺激人 Vol. 306

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

日立も重厚長大型モデルから社会イノベーション

これまで大手商社は、新日鉄など既存の大企業のBUY&SELL、早い話が原材料の海外買い付け調達、そして国内で加工製造した製品の海外向け輸出に関与、それらビジネスにつながる海外鉱山開発などへの事業投資が主だった。
しかし三菱商事の場合、トップの垣内威彦社長がそのビジネスモデル安住では将来がない、とデジタル革命対応を軸に10数年ぶりの大胆な組織改革が必要との危機感を持った、と見た。日立製作所もすでに既存の重厚長大型ビジネスモデルに見切りをつけ社会イノベーションに大きく舵を切った。経営や組織の重い課題を抱える企業ほど「第2の創業」は重要なチャレンジテーマなのだ。

富士フィルムの話に戻そう。柳原さんが「強みと強みを掛け合わせ、新たなビジネスチャンスを生んだ」という。何かなと思ったら、ライバル企業の花王と事業連携、花王の毛髪制御技術、富士フィルムの染料技術を持ち寄ってレインボー染料という新技術を開発、光線の角度によってヘアカラーが自在に変わる製品をつくり市場評価を得た、という。まさに化学反応を起こしたわけだ。

作家楡周平さんの小説「象の墓場」のモデルは?

作家の楡周平さんがかつてコダックの日本法人に勤めていたのをご存じだろうか。楡さんは当時、米国本社コダックの戦略判断ミスに強いいら立ちを持っていたのがきっかけだったのか、小説「象の墓場」(光文社文庫刊)でフイルムメーカーのソアラという架空企業の凋落の話を書き、話題になった。

小説でこんな描写がある。「写真のビジネスモデルって確立され過ぎてんだ。カメラ、フィルムがなけりゃ、画像は撮れない。撮ったら最後、現像、プリントしなけりゃ見ることができない。そのすべてのところでソアラは儲けまくった」と。コダック破たんは、過去の成功へのこだわりが響いたといえまいか。

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