

経験無用!?「過去の経験が全く生きない」時代の先見性
慶応義塾大学
政策・メディア研究科 特別招聘教授
夏野 剛
「個人の能力が最大化できる時代になった」。i-mode、おサイフケータイなどの誰もが知るサービスを立ち上げ、ニコニコ動画を仕掛けるなどさまざまな展開を図り、大学でも教壇に立つIT業界のカリスマはいかに旧来モデルを打ち破ったのか、そして今後をどう見据えているのか?
夏野ちゃんとブラインドテイスティングとか真剣にやってるんですよ。
蟹瀬そういう新しい広がりが出てきて、そこに新しい発想が生まれてくるのはすごいことだと思います。
夏野これも先ほどの多様性という事に密接にかかわっていて、人間の趣味はスポーツだけでもこんなにたくさんあって、自分の該当する番組がたまたまその時間に流れているという、遭遇確率が低いものですから、それを補完するメディアが必要になってきます。それがニコニコ動画だと思います。
江口夏野さん的には経営とワインって深いかかわりが?
夏野あるんですよ。
江口どういったところですか?
夏野予測が出来ない。過去の経験が全く生きない。やってみてなんぼ。飲んでみてなんぼ。誰かに言われたことは自分で経験しないと分からない。美味しいワインは飲んでみないと分からない。
江口経営は?
夏野経営もやってみないとわからない。毎回違う事が出てきます。
僕はワインを飲んでいると、人智を超えているなといつも思うんですが。何かっていうと、刻一刻と状態が変わっていく。それから畑と天候と作り手の組み合わせで、絶対いいワインが出来るところから美味しくないものが出来たりするとか、全然だめだと思われているとこから名作品が生まれたりする。それがこちらの年齢とか経験とか、何年たってるかによって常に変わっていきます。無限の組み合わせがあるので、ワインを全て知ることは不可能です。だからこそ、無常を知れます。
蟹瀬奥に入れば入るほど深いのが、ワイン道ですかね。
夏野制覇すること不可能って最初からわかってるものが好きなんですね。
蟹瀬ワインの話をしだすと、時間が足りなくなってきますからね。3つ目のニッポン元気化戦略キーワード、10年後のニッポン。これはどういう意味なんですか?
夏野今日本が元気がないって言われてるんですけど、よく見ると国民が持っている個人金融資産は1,450兆円あるんですね。
夏野国の負債が1,000兆円と言われてますけど、国が資産持ってるから差し引きだといいますけど、債務の発行残高を見ると、1,000兆円。でもまだ450兆円あります。あるいは、上場企業の内部留保、250兆円あります。
蟹瀬これはすごいですよね、日本は。
夏野合わせると、1,000兆円差し引いても700兆円ありますGDPを上回るお金が余ってます。こんなお金が余ってる国は、今時日本くらいです。アメリカも持ってません。また人材の質の意味で言うと、今の若者うんぬんかんぬん言われても、例えば新入社員を放っておくと、僕に、私にできることありませんか、と。こんな奇特なことを言う国民はいませんよ。労働力極めて高いんですよ。
夏野マネジメントの授業で、海外のMBAでまず教えるのは、いかにさぼらせないかです。それにたいして日本はそこにボランティア精神がある。優秀なものが作れる。こんな素晴らしいアセット2つ持ってるわけです。
出演者情報
企業情報
関連コンテンツ
カテゴリー別特集
リンク