「野心ではなく志を」。志で考える、世界の日本、世代交代、後継への引き際
SBIホールディングス株式会社
代表取締役執行役員CEO
北尾 吉孝
インターネットを通じ、証券や銀行、損保、住宅ローンなど、様々な金融サービスを展開しているSBIグループ。創業からわずか10年で80社を超えるコングロマリットへと発展を遂げた今、グループは新たな成長路線への舵をきり始めた。ネットによる金融サービスで変革を起こした、SBIホールディングス株式会社代表取締役執行役員CEOの北尾吉孝が描く、次なる事業戦略その全容に迫る。リーダーアンドイノベーション賢者の選択。
北尾そういうことでまずお客さんがたくさんできてくると、今度はヘーゲルの言うまさに量を拡大すればそれはまた質も変化に結びつき、その変化がまた量の拡大に結びつく、というヘーゲルの哲学が作用をしてくるんですね。お客さんの数が増えればいろんなお客さんがいるから、色んな商品を求めるだろうと。
だから色んな商品を開発すると。たくさんお客さんが出来てきたらサーバーとかシステム関係をますます充実しないといけない。そういう形でシステムをどんどん充実していく。システムを充実したからいろんな商品があるからじゃあお宅にまたお願いしようと。こうやってまさに量質転化のヘーゲルのいう法則がうまく働いてそしてどんどんとお客さんが膨らみ、そしてサービスもどんどん改善されると。こういうまさにヘーゲルの哲学の応用なんですね。これはヘーゲルだけではなくて毛沢東も言ってるんですよ。
北尾量の蓄積が質を規定する。まず量なんです。量をやれば必ず質が変化して良いように変えることができる。その時にいつも持ってなきゃいけないのが顧客中心主義という思想であり、これを持っているとちゃんと良いように変えられると私は思う。
宮川それでまあ次に変革としてはどのようなことを考えていらっしゃる?
北尾次はですね、私ども一応を生態系としてはほぼ完成したと。今度は量の拡大は終えて今度は質だと。
北尾質というのは企業の質というのはいかにして一株利益の利益を上げていくかと。そういうふうに規模の拡大を終えて今度は一株当たり利益をいかに拡大させるか。私はブリリアントカット化というようなことを言い出してるんですが。
北尾ブリリアントカット化というのはご存知のように、ダイヤモンドが一番美しく見える光輝くカットの仕方をブリリアントカットと言うんですね。今まではどちらかというと荒削りのダイヤモンドで一生懸命生態系を作ってきた。これが過去10年だと。こっからは一株当たり利益をどんどん上げて利益をきちっと大きく大きな利益を生んでいく、そういうグループにして行ってあげないといけない。それがまさにブリリアントカットにしていくと。そして光り輝くグループにしていこうと。まあこういうことなんですね。
そのためにどうしたらいいかと言うと、まずいらないもの、いるもの、選択と集中ということをやっぱりやっていかないといけないですね。ですからもうこれから、例えば三年以内に黒字化できないようなものは処分しようというようなことも明確に決めて。そしていかにじゃあ黒字の会社は利益を上げるかと。赤字の会社はいかにしてその利益を増やして黒字化させるかと。それをいろんな角度からターゲット絞って考えて行こうと。58面体がブリリアントカット化なんです。58面。だから58の重要会社を僕も選んできて、そしてそれをいかに磨き上げていくかと。ひとつひとつの面をね。これが今ブリリアントカット化ということなんですね。
白石ちょっとお話変わるかもしれないんですけど、私がちょっと興味がありますのはSBI大学院大学という社会人のための通信制の大学院を開校なさっていらっしゃいますけど、どのような意図を持った大学院なんですか?
北尾これはね、ちゃんとユニークなんですよ。
白石はい。
北尾即ち日本の大学院で人間学を教えるところはないんです。僕はこの人間学というと一言で言えば人間いかに行くべきかと。これを教えるような大学院でない。そして大学もないんです。本来はこういうのは家庭教育に始まって初等教育、中等教育あるいは高等教育ぐらいの間に、人間いかに行くべきかとものを形成していかないといけないんですね。
ところが戦後の教育の中で道徳教育というのは完全に欠落しちゃったんですね。ですから、そういうこともみんな勉強しないで大きくなっちゃった。起業したいという人にたくさん会ってみますとね、野心は持ってるんだけど志持って無い方が結構おられるんですね。野心と志というのは全く違うんです。
北尾志というのは世のため人のためそういう気持ちがないとダメなんですね。
北尾そしてだからこそ自分が死んでもその志を次の世代が受け継いでいくと。ところが野心というのは自分一代なんです。そして、自分のためだけなんです。そういうことで会社を起こし、成功しようと思ってる人は時間の問題で僕は消えて行くと思います。
宮川これからそういう起業しようという人たちが例えばそこで勉強しますとどういうことを伝えていきたいという風にお考えになりますか?
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