リスクがあっても任せる人材育成。10兆円企業へ、先代から伝承した教えと夢
大和ハウス工業株式会社
代表取締役会長
樋口 武男
男は、創業オーナーの意志を継いで会長となった。赤字の関連会社を立て直し、本社の赤字も解消、大和ハウス工業・樋口武男(ひぐちたけお)代表取締役会長が語る、熱湯経営の哲学とは?
蟹瀬あいうえお?
樋口あなどるなと。
樋口威張るなと。
樋口うぬぼれるな。
樋口ええかっこするな。
樋口おごるなと。
蟹瀬どれも全部ちょっと耳に痛いですね、なんとなく(笑)。
津島響きますか(笑)。
樋口「それが人間の弱さや」と。で、私はそういうことを言うことによって、みんなに言うからには自分がその範を示さなければいけないでしょう?
そういうことで、地位が上がって、それは36歳から支店長やられてもらったおかげなんですよね。偉そうにふんぞり返ってする人や、あくまでも年齢に関係なく目線を合わせて話してくれた人や、いろんな人を見てるから、反面教師みたいなものですね。
蟹瀬なるほどですね。それと組織としては支店制というのを採られてますよね? それまでは事業部制、今、大抵の企業は事業部制やってますけども、あえて支店制にされたというのはどういうことなんですか?
樋口それはちょうど1年たったときに、能登へ行って、その間ずっと社長として回ってますよね。それこそヒラメみたいな、事業部制だから事業部長が支店長がいて、下に住宅とか集合とか流通とかいろいろ営業所がありますよね? その所長の人事は事業部長がするでしょう。支店長を頭越しにやってしまうわけですよ。
蟹瀬なるほど。
樋口そうすると、支店長は本社とかその担当役員ばかり見てるわけですよ。
蟹瀬上のほうばかり見てるわけですね。
樋口ええ。だからこれはいけないなと、人材が育たないと。だから任せて
樋口多少リスクあっても任すことによって人は育つということで、オーナーの所に行って、「もう事業部制つぶしまっせ」と「支店制にします」と言ったら、それはもろ反対しましたね。
「17年間事業部制でちゃんとやってこれて、なぜ変えなあかんのや?」と言われたので、「人が育ちません」と「事業がこれから発展していくために、一番大事なのは『企業は人なり』と言われる通り、人材育成です」と。「それが、支店長が経営を勉強する一番いい場所やのに、上の顔色ばっかり見たり、本社を気にしとって一人前の経営者になりません!」と「人材育成のためにやらしてくれ!」と言ったら、反対されてたけどそれでやりとりしているうちに、「わかった!やれ、すぐやれ!」と。
で、それをやったんですよ。ところがやっぱり冷静になった後で考えたんでしょうね。制度を変えたけど人を変えなかったら、変わらんないはずだと思って向こうが考えて、僕翌月行ったら、「樋口君な、組織変えても人を変えんかったら変わらんのんちゃうか?」ときたんですよ。「それはおっしゃる通りでございます」と「一人一人もう一度見直します」と言って、支店長人事をやったんですよ。
蟹瀬もう一つはやっぱり財務という大変な重しがありますよね? これ、先ほどのお話だと有利子負債が1,000億超えてた、1,400億ぐらいあった、これ合併のとき、これはどういうふうに整理していかれたんですか?
樋口それを最初は「合併して1,400億の借金を4年で返してくれよ」と言われたんですよ、4月に。で、8月になったら、「樋口君、あれ3年にしてくれ」と「頑張ります」と。また4カ月たって12月になったら「樋口君、あれやっぱり借金な、2年で返してくれ」と「まあ200〜300億は残ってもええけどな」と、こうきたんですよ。
蟹瀬どんどん厳しくなったと。
樋口それは自分の健康状態と考えて、自分の目の黒いうちに無借金、せっかく無借金になっていたやつを、団地と一緒になって借金ができた、だから自分が目つぶるときは無借金にしときたいという思いがあるんだなと思ったから。というのは、創業者というのはゼロからスタートしてるから、金借りるのも知名度も何もないから、ものすごい苦労されたと思うんですよ。で、そこまで言われたので、「ベストは尽くしてみます」と。
蟹瀬でも、オーナーは亡くなられたわけですよね?
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