M&Aの成功例・失敗例 シナジー効果を高める企業買収を成功に導く仲介者の信念
株式会社日本M&Aセンター
代表取締役社長
分林 保弘
マスコミでは敵対的買収ばかり取り上げられ、買収の99%を占めるという友好的買収には、ほとんど注目されていない。M&Aの最たるメリットはシナジー効果であるという、株式会社日本M&Aセンター 代表取締役社長(現代表取締役会長)・分林保弘が語る、M&Aの成功法則とは。買う側・買われる側双方の視点から探る。
蟹瀬それはどういう思いからですか?
分林オーナーでも、創業者もやっぱり本当にできる人にだったら仕えるのはいいのですけども、やっぱり2代目のできない経営者に使われるとかいうと、やっぱり自分が尊敬できる人じゃないと絶対嫌だということはありましたね。
蟹瀬なるほどですね。実際にはこの日本オリベッティでは具体的にはどういう仕事をなさっていたのですか?
分林コンピューターの販売をやっていたのですけど、私、営業を……。
蟹瀬営業ということですね?
分林営業ということですね。ただ、オリベッティって変わっている会社で、一切値引きはしないというような会社だったですから、むしろやっているときは今の仕事とあんまり変わっていなくて、もう20代後半から講演をしに回ったりとか、例えば京都にいるときは、卸業の粗利管理はどうあるべきかとか、在庫管理はどうしたらいいかとか、そういうことを経営者集めているセミナーばっかりやっていました。
蟹瀬でも京都っていうと、まず着物を思い浮かべますよね、西陣があって、あのあたりのそういう素材の管理というのはやっぱり難しかったでしょうけども。
分林だから、例えば西陣の織屋さんとやったのは、西陣というのは結構出機(でばた)といいますか、各機(はた)に全部生糸(きいと)、金糸銀糸を出すのです。結構ロスが多いのですよね。だから……。
蟹瀬それはどこかで少しずつ取られていってしまうのですか?
分林在庫を抜くのですよ、聞いてみたら。
津島抜いてしまうのですか?
分林ええ。だから出す前に全部目方(めかた)を量ろうと。
蟹瀬重量で管理をすると?
分林返ってきたらみんなそれの目方を一本一本全部量ろうと。で、各出機ごとにそれを取ったら、そしたら見る間見る間に効果が出まして、ほとんど抜かれないようになったりとか、あるいは非常にいい商品を作ったら、非常に利益が高く売れますから、そこには支払いをよくするシステムをつくったりとか、どちらかというとこの会社の経営は一番どうしたらいいのか。
そこにおけるコンピューターのシステムはどういうシステムがいいのかという、むしろ経営のシステムを考えているというほうが面白かったですよね。
蟹瀬その当時、学んだ商売のコツといいますか、そういうのというのは整理するとどういうことだったのですか?
分林やっぱりいろんな方に教えられてよく分かったことは、やっぱり儲かる商売というのは、できるだけたくさん売り上げをあげる。
ただし売り上げをあげるだけでなしに、やっぱり粗利益を取れる、値切られずにいい商品を仕入れる、あるいはいい商品を作る。
それで、その商品をできるだけ少ない在庫で、できるだけ早く代金を回収する。この四つの視点からやっぱり商売とはやるべきだということを、やっぱりいろんな方から勉強しましたですね。
蟹瀬営業スタイルとしてはどうだったのですか? 普通は「買ってください」と行くわけですよね?
分林私はすなわち、先生稼業の家に生まれたからかも分かりませんけども、やっぱり頭を下げることはできなかった。というよりも、私はやっぱり売り手と買い手とがどちらが得だといったら、絶対にいい商品だったら買い手のほうが得だと思うのです。
だから頭を下げて買ってもらうのではなくて、本当にいい商品をやっぱりこちら側がだから説明をして、納得して買っていただいて、逆に言うと1万円出したら1万円以上のものが、相手がプラスになると、喜んでいただける、そういう商品しか売りたくなかったですから、その商品をいかにきっちりやっぱり目で訴え、あるいは口で訴えて、やっぱり理論的にも実際的にもそれを証明すると。
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