毎日1,000通の手紙を読む!「お客さんの声は宝物」の誠実さ
株式会社壱番屋
創業者 特別顧問
宗次 德二
家庭料理の定番、カレーライス。チェーン化は難しいとの世間の常識を打ち破り、夫婦二人三脚経営で成功をつかんだ男がいた。「もう自分がいいと思ったことは、やっぱり社員の人にも味わっていただきたい」。海外合わせて1,000店舗以上にのぼる成功の秘密とは?
蟹瀬そのまま社長でいかれればという気がしたんですけどね。
宗次これは、私は朝早く会社へいつも行っていたんですが、行くと証券会社の人が待っていて、「上場しなさいよ」「店頭公開しなさいよ」と「いや、自分はお山の大将で好き勝手な経営したいんで、わがまま経営したいんでやりません」と言っていたのですが、あるとき、ふと考えたら50歳になって500店舗になって、喫茶店以来この道25年という、いろんな意味で節目の年を迎えまして、いつまでも自分がお山の大将でやれるわけではないし。会社はもう自分だけの会社ではなくなってきてましたから、500店舗にもなって。株を公開して開かれた会社にしようと、ある日突然決めたんですよね。
蟹瀬それで会長になって、社長さんを探さなきゃいけないですね。
宗次ええ。それでその店頭公開を決めたときに、今から準備に入ってあと1年半ぐらい要するというときに、うちの嫁さんに「社長やらないか?」と言ったら「やってみようかな」と。
蟹瀬(笑)そうなんですか。
勝奥様が。
宗次やろうということになりましてね。
蟹瀬ご夫婦でずっとやられてきたんですもんね。
宗次店頭公開直前だとか公開をしてすぐ辞めると、いろんな憶測が飛んでもいけないので、もう決めた今、じゃあトップ人事代わろうということで私が会長になって、うちの嫁さんが社長になって、名実ともにもうそれ以前から、本当の社長らしい社長は奥さんという声もないわけではなかったので。
蟹瀬(笑)なるほど。
宗次私が一番そう思っていまして、もうじゃあそうしようということになったんです。
蟹瀬今でもアンケートはがきなんかいろいろやってらっしゃって、それには全部目を通されるそうですね。
宗次こだわりが強いんです、私。そのために朝の4時台に会社へ行こうと決めたんですね。
蟹瀬そうですか。
宗次4時10分に起きて、飛び出たら4時55分に会社に着くということで。もちろん2時、3時に目が覚めたら、そのまま行きますから。大体平均すると3時台だと思うんですね、会社へ着くのが。
蟹瀬そうですか。それは早いですよね。
宗次もう変人ですよね。
宗次でも行って、そのお客さまから頂く毎日1,000通頂く、そのおはがきを拝見するのが最高の楽しみでした。
蟹瀬1,000通?
宗次ええ。中には厳しいご指摘だとかクレームだとかお叱りだとか受ける、変な話ですがそのお叱りを受けたそのおはがきが宝物でして、もう天の声。
蟹瀬宗次さんからご覧になって、このお客さまから来るアンケートってどういうような存在なんですか?
宗次もうファンレターです、天の声ですもんね。これがあるから自分たち元気になれるしお詫びもできるし、「もう二度とココイチさん行きません」とお叱りを受けても、お詫びをすることによって、「また今まで以上に、私たちの声にも耳を傾けてくれて、ますますファンになりました」と、そんな繰り返しでしたから。
蟹瀬それ、まさに宗次さんのその経営哲学みたいなものは、実はその毎日来る1,000通のはがきの中にあると言ってもいいぐらいですね。
宗次これは自分の中では位置付けはそうでしたね。だから誰よりも、このおはがきは宝物でしたから、まず自分が真っ先に拝見しようと、ずっと十数年貫きましたね。
蟹瀬そしてまた、新たな分野を切り開かれるんですね。
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