

日本トップ=世界トップシェアでも「夢への挑戦」を!
第二、第三の矢とは?
ヤマシンフィルタ株式会社
代表取締役社長
山崎 敦彦
建設機械用油圧フィルタ一に選択と集中をしたことで、日本トップシェア、すなわち世界トップクラスのシェアを誇るヤマシンフィルタ株式会社。株価上昇率も注目のトップランナーは、トップゆえのリスクに目を配り、気を緩めない。そして、ぬかりない姿勢で臨む山崎敦彦(代表取締役社長)は、次なる成長へも確信をもつ。世界を変えるかもしれない、「ナノファイバー」で展開する、第二、第三の矢とは? 山崎代表が大切にする「夢への挑戦」の言葉、それを体現する「熱い挑戦と冷静なマネジメント」のストーリーをインタビュー。
蟹瀬 賢者の選択リーダーズ、ナビゲーターの蟹瀬誠一です。
福井 福井仁美です。
蟹瀬 今回は、革新的な技術を用い、豊かな社会の創造に貢献するあるメーカーの取組みに迫ります。
ヤマシンフィルタ株式会社。1956年、山信工業株式会社として設立。2005年、社名をヤマシンフィルタ株式会社に変更。設立以来、一貫してフィルタの専門メーカーとして、建設機械用油圧フィルタを開発・生産している。ヤマシンフィルタは、あえて建設機械用油圧フィルタ一本に集中。革新的な技術を用いて、高い濾過性能や、強い耐久力など、国内外の建設機械メーカーのニーズに応え続けている。現在は建設機械用油圧フィルタの生産技術を活かし、船舶・鉄道車両・航空機などに使用される産業用フィルタ、電子部品や薬品など、不純物をナノレベルで除去するプロセス用フィルタなども手がけ、2017年、東証一部上場企業の中で株価上昇率第3位と注目を集めている。これまで培ってきた技術を活かし、フィルタビジネスのさらなる発展を目指すのは、ヤマシンフィルタ株式会社 代表取締役社長 山崎敦彦。
山崎 フィルタを作る技術、素材を作る技術、こういった技術を用いまして、広く社会の土台となるような会社になっていきたいと思っております。
革新的な技術で豊かな社会を切り拓く。山崎が唱える、フィルタビジネスの新たな挑戦とは。
福井 それでは本日のゲストをご紹介します。ヤマシンフィルタ株式会社、代表取締役社長 山崎敦彦さんです。よろしくお願いいたします。
山崎 どうぞよろしくお願いいたします。
蟹瀬 創業以来、建設機械用の油圧フィルタ一本でやってこられたと。この成功の秘密はなんなのか、今日はじっくりお話をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
福井 よろしくお願いいたします。
山崎 よろしくお願いいたします。
福井 さて本日は、ヤマシンフィルタが手がけるこちらの油圧フィルタをお持ちいただきましたけれども、建設機械用の油圧フィルタというものは、こちらはどういったものなのでしょうか?
山崎 はい。建設機械というのは、土を削る、土を運ぶ、こういった作業については、油圧を使っています。油圧を使うとなると、油圧の回路というのは、いろいろなところでゴミを拾ってきますので、必ず油圧フィルタが必要になります。人間で言うと、油圧回路って、ちょうど血液みたいなものなのですね。油圧で使う油を作動油といいます。これは人間で言うと血液です。人間でもそうですけど、血液が体中を回って帰ってくるとゴミをいろいろ拾ってきますよね。そうすると腎臓で濾過しますよね。建機の腎臓がまさにこのフィルタになります。
蟹瀬 ああ、なるほど。そういうふうに考えると解りやすいですね。
山崎 ところでお二人に質問ですが、良いフィルタとはどういうフィルタとお考えでしょうか?
蟹瀬 僕は毎朝コーヒーを飲むものですから、カスが入らないで、おいしいコーヒーが早く入ってほしいという、そんなイメージですけどね。
福井 ちゃんとこう、スムーズに落ちてくるというか、コーヒーで言いますと、そういうイメージのものが……。
山崎 はい。お二人のおっしゃる答えももちろん正解なのですけれども、実はフィルタの技術というのは、なるべく目を細かくして細かいゴミを取る。しかもたくさん取る。でもサッと(油がフィルタを)抜ける。この矛盾する技術をどうやってバランスを取っていくのか、これがフィルタの技術ということになります。
福井 なるほど。
蟹瀬 今お話を伺っていて、いかにフィルタが優れたものかよく解ったのですけれども、そもそもなぜこの油圧フィルタというところにこだわられたのですか?
山崎 元々油圧フィルタではなくて、父が戦争で中国に行っていたのですが、ミシンの帆布の縫製加工始めます。縫製加工をやっているうちに、味噌とか醤油とかを濾過する濾布の話が参りまして、濾布をやり始めまして、濾布をやっているうちに、昭和30年代……これから高度経済成長が始まるという時代だったもので、自動車用のフィルタを手掛けようと考えたのですね。ところが自動車メーカーさんが、戦後戻ってきて昨日まで濾布を作っていた会社のフィルタを使うかと。そんな世間は甘くないのですね。そうすると、もうすでにある自動車用のフィルタメーカーさんの下請けから始まったのですね。順調に伸びていったのですけれど、ある日突然、「自動車用のフィルタの下請けをやめる」と父が突然言い出しました。理由はよく聞くと2つあるのですね。1つは、まず下請けですから「あまり儲からない」と。もう1つは、これもまた下請けの悲しさで、「もっとこういうふうにしたら良いフィルタができるのに」と思うのですけれど、それを勝手に変えてはいけないのですよね。この2つが大きな理由でして、それまで80パーセント、90パーセントの売上があった自動車用のフィルタを、これを全部蹴っちゃって、直接建機メーカーさんとのお取引ができるということで、自分たちの好きな開発ができると。こちらに行こうと、大決断をしたわけなのですね。
福井 本当にいろいろなフィルタがある中で、先代の社長はなぜ、建設用機械のマーケットを選んだのでしょうか?
山崎 建機の業界というのは、アメリカに世界で最大の大手の建機メーカーさんがあります。その他の建機のメーカーさんというのは、ほとんど日本なのですね。それで、アメリカの建機メーカーさんも、油圧織布の開発センタは、日本にあったのですね。ですから、日本でトップシェアを穫れば、すわなちグローバルトップシェアを穫れるということに、やっているうちに気が付いていったといったところなのです。
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