イノベーション都市深圳レポート 番外編 日本経済が今や中国、新興国から問われている


時代刺激人 Vol. 304

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

オープン&クローズド戦略で技術はブラックボックス化を、セーレンが見事に実践

ご指摘のとおりだ。そこで、私はオープン&クローズ戦略のうち、クローズド戦略に関しては米インテルがコア技術のCPU(中央処理装置)をブラックボックス化しているのと同じように、技術ノウハウをクローズドな所に押し込める際、特許取得など知財管理せずにブラックボックス化し外部にわからないようにする戦略で臨むべきだ、と修正したい。

その点で思い出したのが、福井県を拠点にグローバル市場で事業展開する総合繊維メーカーのセーレンの外部に絶対に技術ノウハウを流出させない独自戦略だ。セーレン代表取締役会長兼最高経営責任者の川田達男さんが編み出したもので、川田さんによると「ハード、ソフト、染色の3つ技術を総合させて完成品にするが、その3つを別々に管理し外部には知られない仕組みにしてある。すべてを把握しているのは私だけと言っていい」という。これもブラックボックス戦略だ。小ロット、短納期、在庫持たずの強み戦略でVISCOTECS(ビスコテックス)というデジタル製造システムを武器に、日本以外、11か国で現地生産しているだけに、技術管理は徹底している。素晴らしいイノベーターだ。

コマツ坂根さん「常に技術で事業化めざせ、盗まれまいと技術を守るのは無意味」

もう1つ、前回コラムに対するご意見で、「確かに、そのとおり」と納得したことがあるのでぜひ追加の問題提起にしたい。それは、秘伝のたれを含めたコア技術を後生大事に秘匿することに必死になるのではなく、事業化にこそエネルギーを費やせ、という指摘だ。

最近お会いした建設機械コマツ元会長で現相談役の坂根正弘さんは、日本のモノづくりが世界を極めるには技術の強みをさらに磨き「ダントツ商品」をつくり出すことだ、という持論の持ち主だが、コマツの取り組みについて、こう述べている。「コマツは自前主義を改め、グローバルレベルで技術補完し合える戦略パートナーがいたら積極連携するオープンイノベーション経営に切り替えた。ポイントは顧客サービス、ソリューション、技術の3つの分野でダントツを徹底追求していくこと。とくに技術に関しては常に事業化することをミッションにしている。盗まれまいと技術を守ることに必死になるのは無意味だ」と。

イノベーションネットワーク西口さんも同意見、「組織の想像力阻むもの」が面白い

イノベーション問題に取り組む一般社団法人JAPAN INOVATION NETWORKの西口尚弘専務理事も、坂根さんと全く同じ問題意識だった。西口さんは「日本のイノベーションを阻む問題は何か、といった議論ばかりしていても事態の打開にはならない。イノベーションの先行モデル事例、とくに大組織病の殻を破って、技術などを生かして事業化する実例づくりが重要だ。いま私たちINOVATION NETWORKは、それを可能にするビジネスリーダーの人たちと問題解決に取り組んでいる」と語っている。

その西口さんがとりまとめた「組織の想像力を阻むもの」がなかなか興味深いので、紹介させていただこう。
1)スローガン先行&実体不在型 2)イノベーション担当経営者不在型 3)トップ無関心型 4)トップ独走型 5)新事業受け皿型 6)組織設計優先型 7)自前主義型 8)現ビジネスモデル継続型 9)施策間連携不全型 10)異端児放逐型

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