徹底した顧客目線。先端技術のセキュリティ会社が売りにする「真心」

トータルサービス

福井　それをスタッフの方たちに周知させるために、どんなことをされていらっしゃいますか？

加藤　「トータルサービスマニュアル」というものを作りまして。実はこれ、ここまで仕上げるのに7年ぐらいかかっているんです。社員が1人1人悩み、苦しみ、作ってくれたものでございます。

福井　最初「まずはじめに」というところから始まってますけれど、『トータルサービスを実践することにおいて最も大切なのは自己の主張ではなく、常に謙虚な姿勢で、感謝の気持ちを忘れずに臨むことです』。そして「目的」、『顧客ニーズや現地の状況を確実に把握し、より良い提案を行えるようにする。』もう本当に失礼ながら一般的なことかもしれませんけれども、これをしっかり文字で書いて、皆さんで共有するっていうことが大切なんですか？

加藤　全ての行為に目的があると、そこの目的をはっきりとさせなさいと。この一言だけは言いました。

ティービーアイで働く社員は、トータルサービスマニュアルについてどう思っているのか、話を聞いた。

（インタビュー：情報コミュニケーション部　部長　井澤　勇輔さん）

井澤　トータルサービスという言葉ができ、意識してはやってたんですが、それをどう明文化させるか、体系立てるか、この辺をメンバーでは非常に気をつけながら作ってました。私達だけではなくて、新しく入ってくるメンバーたちもこの目的に向かって、一つ一つやれば私達はうまくいくんだと、信じられる文言にするっていうことにだいぶ苦労した部分ですね。このトータルサービスっていうのは、時代が変われば、進化していかないといけないし、マニュアルもそのたびに改定していくものだと思ってます。これからも進化させていきたいと考えます。

（インタビュー：東日本営業本部　千葉支店　係長　中村　勇気さん）

中村　我々営業員は、お客様のところで様々な提案をさせていただきます。そのときの指標になるようなものと考えています。これからいろんな市場で我々が戦っていくに当たって、このトータルサービスマニュアルがあれば、我々の強みを生かして行けると。どの市場でも戦っていけるようなものに発展していきたいと思います。

独自戦略

宮川　今の3つの事業を展開されていますが、会社の中では何か統一した何かテーマがおありなんでしょうね。

加藤　私ども会社の目指す方向として、安全、安心、地球環境、こういうものを掲げておりますので、方向性にあってるものであれば、他事業を展開していきたいと考えております。ただ、ターゲットは他社に真似のできないニッチなマーケットと。こういうふうになってくるんじゃないでしょうか。

社員全員が経営者のように的確な判断を下し、ニッチなマーケットに全力で取り組む。それが、ティービーアイが考えるお客様のお悩み解決への第一歩。

東京貿易入社

福井　さて、加藤会長のプロフィールを拝見いたしますと、ティービーアイを設立されるまで、東京貿易ホールディングス株式会社でお仕事をされていらっしゃいましたよね。こちらでは、どのようなお仕事をされていらっしゃったんですか？

加藤　当然入社の時は、世界にする雄飛する商社マンを夢見て入社したんですが、実は私、高校時代に野球をやっておりまして、当時の野球部の部長が、経理本部の常務でした。当時入社して営業に行きますと、3年ぐらいでみんな海外駐在なんですね。経理に置いておけば、とりあえず国内に留められると、多分そういう理由だと思うんですが、経理財務、25年間やりました。

立ち上げの経緯

福井　どういった経緯で、このセキュリティ事業を立ち上げられたんですか？

加藤　偶然なんですよ。東京貿易のニューヨーク支店の方から、こうこうこういう会社がありますと、会いますか？という連絡が来まして、ちょっと会ってみようか。で、会ってみましたら、監視カメラの会社。当時私1人で新規開発してましたんで、調査費だとかそういうお金がない、銀座、赤坂、六本木、新宿、池袋、自分1人で調べて。じゃあやってみようかと、こんなところからカメラビジネスに入ったということでございます。

福井　その当時のセキュリティマーケットは、どんな感じだったんですか？

加藤　本当にこれは若いマーケットでしてね。各社の社長さんなんかも30代、40代の方が多かったんですね。実は、私これ（髪を）染めているんですけれども、私50でこのマーケット参入しました。それで白髪の私が行きますと、いろんな情報をいただけないんですよ。これじゃあまずいなと思って、一念発起しまして髪の毛染めたんです。

福井　へえ。

加藤　そうしたらですね。仲間が来たと、こういう感じでね。受け入れてくれました。それ以降は、いろんな情報をいただきましたね。